CX-80をキャンパー目線で試乗!

2025年1月18日

キャンプ沼

t f B! P L

 去年末から販売が開始されたCX-80。

直列6気筒ディーゼルターボという、時代に逆行するといえるスペックで発売されたCX-60から2年。遂に、3列シートのCX-80が発売されました。

直列6気筒を示す「INLINE6」のエンブレム。

CX-8を3台乗り継いでいる私としては、当然大注目のクルマですが、マツダのラインナップの中で最上位車種ということもあり値段もお高いので、おいそれと買い替えるわけにはいきません(苦笑)。

とは言え、CX-8がディスコンとなった現在、買い替え候補の1番ということになりますから、キャンパー目線で徹底的に試乗してきました


CX-80について

CX-80は、ラージモデル商品群の第2弾で、先に発売されたCX-60を前後にストレッチし、最大8名が乗車できる3列シート仕様のSUVです。マツダのラージプラットフォームは、FR・直列6気筒を基軸に、それに合わせたクラッチ式8速ATが採用されています。直列6気筒は、エンジンが長くなるため、エンジンルームが前後に長くなってしまうため、V6に比べて車内が狭くなるというデメリットがあります。そのため、場所をとるトルコンATではなく、クラッチ式にすることで小型化し、容積面でのデメリットを少しでも軽減しています。

一方で、直列6気筒とすることは、これまではパワー面ではメリットですが、燃費面ではデメリットでした。しかしマツダは、電子制御で最適化することで、直4よりも燃費を向上させているというのですから驚きです。直6をラージプラットフォームで採用したのは、パワー面だけでなく、燃費面でもメリットがあるからです。

エンジンラインアップは3種類で、CX-60にあった2.5L直列4気筒ガソリンモデル(SKYACTIV-G)が省かれています。

  • 3.3L直列6気筒ディーゼル+マイルドハイブリッド e-SKYACTIV D
  • 3.3L直列6気筒ディーゼル SKYACTIV-D
  • 2.5L直列4気筒ガソリン+プラグインハイブリッド e-SKYACTIV PHEV

2列シートのCX-60に比べると、3列シートでボディも大型になっており、車重2トンオーバーのヘビー級ですから、2.5Lガソリンモデルではパワー不足ということもあってのことでしょう。

駆動方式については、「SKYACTIV-G」にのみ2WD(FR)の設定がありますが、他は全て4WDのみとなっています。4WDと言っても、フルタイムではなく、基本はFRベースで状況に合わせて4WDに切り替わる方式です。これは、マツダの4WDに共通のスペックですが、CX-8がFFベース、CX-80がFRベースとなるので、乗り味は大きく変わってきます。

グレードについては、プレミアムスポーツ・プレミアムモダン・エクスクルーシブスポーツ・エクスクルーシブモダン・エクスクルーシブモード・Lパッケージ・Sパッケージ・XDの8種類。これにエンジンの組み合わせで、18種類のモデルが用意されています。

価格も、PHEVプレミアムスポーツ/モダンの7,122,500円から、ディーゼル(2WD)XDの3,943,500円と、300万円以上の開きがあります。


外装

CX-80は、ラージモデル商品群の第2弾ということで、第一弾のCX-60の延長線上にあります。そのため、デザイン面では大きな変更はなく、フロントから前ドアまでは同じです。

唯一の違いは、フロントグリルでしょうか。CX-80には、3本のシルバーアクセントが入っています。

一方、3列シートにするために全長が60の4740mmから4990mmへと250mm延長されています。ホイルーベースは、2870mmから3120mmと丁度250mm増加していますから、延長分は全てホイールベースに使われていることが分かります。

言い換えると、60の前ドア後ろ側から後ろドア最後尾までの間を伸ばしたのが80ということになります。


リアのデザインも、リアゲートの角度が若干鈍角になっている程度で、殆ど変わりがありません。


唯一の違いは、マフラーです。60はバンパー埋め込み式でスポーティーなデザインに仕上げられていましたが、80はマフラーが直接見えない位置に変更されており、より大人しいデザインになっています。


ヘッドランプ回りも、基本的には60と同様です。



CX-8では、リアコンビランプから横にシルバーのラインが入っていたりと、CX-5とデザイン上の差別化が図られていたのですが、CX-80では60と同じになってしまいました。

これを、兄弟車としてのデザイン統一とみなすか、コストダウンとみなすかは意見が分かれそうです。


大きさを比較すると、60が4740×1890×1685mm、80が4990×1890×1710ですから、幅は同じで、車高がやや高くなっている程度で、長さがストレッチされているのがよく分かります。

CX-60の寸法(マツダカタログより)

CX-80の寸法(マツダカタログより)

細かい話ですが、ボディ高さは60が1505mm、80が1540mmと少し高くなっていますが、室内高は1215mmから1211mmへと僅かに低くなっています。これはおそらく、ストレッチするに当たって剛性を高めるためにフロア周りを中心に強化されているからだと思われます。ボディ高35mm差は、デザイン上は殆ど影響がないため、80が60を長くしたようなデザインになっているのには納得できます。


内装

私が試乗したのは、e-SKYACTIV Dのプレミアムモダンでしたので、内装もかなり豪華でした。

シートは、ナッパレザーのピュアホワイト。

2列目はセンターコンソール付きのキャプテンシート。

いずれも座り心地は極上です。ナッパレザーのホールド性能も上々で、滑るとかそういった感触は無く、運転していても違和感はありませんでした。

滑るとかムレるとかでレザー嫌いの私ですが、これなら選んでも良いと感じました。

お高いですが・・・


3列目は分割可倒式のベンチシートですが、こちらもナッパレザーで座り心地は悪くはありません。

実は、CX-8に比べて、CX-80は室内長が2690mmから2650mmへ40mm小さくなっているため、僅かに狭くなっているのですが、座った感じの差は感じませんでした。


近年のマツダ車は、いずれもシートが良く、適度な沈み込みとホールド感、背中から肩周辺のサポートなど、ロングドライブに適したデザインに仕上がっています。

CX-80も同様その方向性で纏められおり、CX-8から乗り換えても良い意味で違いを感じません。スポーツ走行をするなら、もう少しホールド感があった方が良いでしょうが、キャラクター的には違うのでこれが最適解でしょう。

シートの姿勢コントロールに関しても、運転席・助手席とも電動で細かく設定可能ですから、座り心地で文句を言う人はまずいないでしょう。

運転席側は10Wayパワーシート(XDのみ手動)。
助手席側はグレードにより10Wayと8Wayがある(XDとSは手動)。


2列目のキャプテンシートは、角度調整程度なので1列目ほどの調整は効きませんが、シートヒーターとベンチレーションは完備されているので、1列目同様の快適な乗り心地が実現されています(7人乗りベンチシートはシートヒーターのみ)。

3列目へのアクセスも、電動になっているので、クルマ音痴の妻でも簡単に操作できます(苦笑)。

写真右の窪みがワンタッチウォークインのスイッチ。

空調に関しても、2列目用のコントロールパネルが用意されており、かなり細かく調整が可能です。


また、2列目の窓には、CX-8にもあるサンシェードが設置されています。

1つだけ気になったのが、2列目の窓がフルオープンにできないことです。

実用上、困ることはないと思いますが・・・


内装デザインも、高級車らしい仕上がりになっています。

ステアリングは勿論本革で、ヒーターが仕込まれています。

写真では分からないが、ステアリング裏側にはパドルシフトも付いている。

インパネも、ステッチ入りのクロス張りで、高級感があります。掃除が大変そうですが・・・


センターディスプレイは、12.3インチで解像度も高く、視認性抜群。

最安値のXDでは10.25インチ、Sパッケージではオプションで12.3インチに変更可能に。


センターコンソールパネルには、本杢(メープル)が使われており、高級車らしさが演出されています。


コントロールパネル周りは、スタイリッシュに纏められていますが、温度調整がスイッチになっており、他のスイッチ類もやや小さめなので押しにくさを感じます。

この辺は、CX-8などのダイヤル式の方がよかったと思うのですが。


ドアトリムにも、本杢(メープル)が使われており、クロームメッキのベゼルにはLEDライトが仕込まれており、ぼんやりと光ります。

更には、ドアを開けるとカーテシランプが点灯し、足元を照らしてくれます。


私が試乗したCX-80は、オプションのサンルーフがセッティングされていたのですが、これもなかなか魅力的でした。

うちの場合、ルーフボックスつけっぱなしになるので、サンルーフはあまり意味ないのですが、内装が白のプレミアムモダンだと明るく映えるので、これはこれでアリです。

娘も、「コレほしい!」と言っていましたが、「それは80を買えと言うこと?」と言うと、助手席に座っていた妻から刺すような視線が・・・。


内装デザインだけで比較すると、明らかにCX-8よりも1~2段上がっており、マツダもここまで来たかと思える高級感に仕上がっています。ここまでくれば、BMWやメルセデスのような高級欧州車と張り合っても十分勝負できるレベルですし、実際それらから乗り換えるオーナーも多くいるとか。

実は、CX-80の各グレードの内装は、CX-60と同様になっています。この点からも、良くも悪くもCX-80は60をストレッチして3列シート化しただけと言えます。


試乗(e-SKYACTIV D)

今回は、マジで買い替えることも考えて、ガチで試乗しました。短距離とは言え、高速も走っているので、それらのインプレッションも含めてお伝えしたいと思います。

クルマに乗り込んで、先ずはハンドルのチルトやシートポジションの調整。ハンドルのチルトは、電動で左側のスイッチで行います。

流石はフラッグシップ!


シフトレバーは、CX-60同様、Pが右で左に入れてRNDとなります。


走行モードは、NORMAL、SPORTS、OFF-ROADの3種類。

ノーマル


スポーツ


オフロード


ノーマルは、ジェントルで燃費重視。

スポーツは、多少回転数を高めに保ちつつ、加速を重視したセッティング。

オフロードは、雪道などスリッピーな状況でより積極的に4WDモードに切り替わります。


イグニッションをONにすると、エンジンが動き出します。直6のエンジン音は、CX-8に比べて明らかに静かですし、回転もスムース。ディーゼルですから、BMWのシルキー6とまではいきませんが、それに近いフィールがあり、やはり4気筒との差を感じさせます。

試乗車は、前回のCX-60同様e-SKYACTIV Dですから、スタートから適宜モーターアシストが利いているはずです。はずですというのは、モーターらしさを殆ど感じなかったからです。CX-60の時は、低速でのモーターアシストに若干のぎくしゃく感があったのですが、80ではそれが綺麗に消えていました。この辺は技術的な熟成が進んだようです。

モーターは、走行中だけでなく、赤信号などで停止するときも積極的に使われており、低速でアクセルを離すとエンジンが停止し、モーターの回生ブレーキが使われます。この一連の流れがスムースで、エンジン音も静かなことから、タコメーターを見ていないと気付かないぐらいです。

トルクフルなディーゼル6気筒ですから、直ぐにシフトアップしていきますが、湿式多板クラッチのATもスムースで、ショックなども感じず、普通に街中を流して走るのには何の不満も感じません。

乗り心地に関しては、やや硬めですが、路面からの突き上げもなく、とても上質です。20インチのタイヤは、19インチのCX-8に比べても更にシャキッとしていて、ふらつくことも皆無。CX-60と比べても乗り心地が良いと感じるので、サスペンション周りの熟成も進んでいるようです。

CX-60は、キャスター角が立てられているため、コーナリング時の復元性に劣り、やや違和感があったのですが、CX-80ではかなり抑えられていました。おそらく、電動パワステのチューニングで、コーナリングの立ち上がりでよりリニアになるように調整されているのでしょう。

特筆すべきは、高速コーナリングで、FRらしい荷重移動と安定した走りは素晴らしいです。高速道路のインターを降りる時に長いカーブを走ったのですが、CX-8に比べて5~10km/hは速く走っても安定感がありました。これは運転していた私もそうですが、2列目に座っていた娘も「すごい、乗り心地が違う」と言っていましたので、ラージプラットフォームの面目躍如といったところでしょう。

ステアリング応答性についても、意図通りの曲がり方をするので、気持ちよく曲がってくれます。とはいえ、2トンオーバーのヘビー級ですから、スポーティなステアリングというわけでは無く、リニアに応答してくれるという感じです。

最小回転半径は、5.8mとCX-8と同じで、CX-60の5.4mよりも大きいので、そういった点でも、CX-60に比べるとスポーティーさにはやや劣るといえそうです。但し、CX-8からの乗り換えであれば、全く違和感なく乗れますし、車幅が350mm大きくなっているものの、狭い自宅周辺を走っても大きさは感じませんでした。


さて、高速道路も10km弱ほど走ってみました。インターから本線に入る加速時は、軽く踏み込むだけで十分。3.3Lディーゼルターボのトルクは凄まじく、追い越し時にフルスロットルにすると、あっという間に120kmまで加速するので、2.5LのCX-8との差を明らかに感じます。

直進安定性に関しても、ロングホイールベースと相まってとても良好です。CX-60の時は高速は走っていませんが、直進安定性に関しては、やはり80の方が上だと思います。

勿論、車線変更などのステアリング動作もスムーズで、怖さは皆無。ロードノイズ含めて静かなため、長距離移動での疲れは、CX-8以上に緩和されそうです。私は、年に数回は東京-大阪間を走るのですが、CX-8に代えてからかなり運転がラクになり、休憩も1~2回で十分になりました(因みに、前車はBMW323(E90)です)。CX-80なら、そんな私でも、更に疲れ知らずとなりそうです。


以上、試乗した感想としては、CX-60から2年間で確実に熟成が進んでおり、乗り心地が良くなっていました。

コントロール性やスタビリティも良くなっており、内外装含めて高級車としての作りの良さを感じます。

全長が大きくなったことで直進安定性が増し、コーナー立ち上がりの復元性なども調整されており、CX-60と比べても運転がよりラクになっています。

スポーツモードも試しましたが、重量増とロングホイールベース化により、クイックな挙動は難しくなっているので、カウンターを当ててグイグイ曲がるようなスポーティな乗り方をしたいならCX-60でしょう。ステアリングシフトスイッチ(パドルシフト)も試しましたが、これを使って積極的に攻めていくというのは違う気がします。

そもそも、CX-80はラグジュアリーなSUVなので、スポーツ走行を目指すのは間違っていますが、意のままに操れるという意味では、コーナリングの安定性も含めて良いクルマに仕上がっています。


ラゲッジルーム比較

キャンパーにとって、やっぱり気になるのが積載量

なんと言っても、荷物の多いメタボキャンパーの私にとって、積載量は死活問題です。

ということで、3列目シートを倒した状態で、メジャーで測りまくった結果がコチラ!


CX-80
  • 奥行き:最大109
  • 幅:開口部113、最大117
  • 高さ:開口部75、最大78

CX-8
  • 奥行き:最大124 
  • 幅:開口部110、最大112
  • 高さ:開口部73、77

※値は何れもcm


奥行に関しては、CX-8の方が15cmほど上回っていますが、幅と高さはCX-80の方が若干大きいです。

問題はサブトランクです。

CX-8にはラゲッジスペース下に大型のサブトランクがあります。

このサブトランクは、冬用寝袋を4個入れてもおつりが来るほどの大きさがありますので、とても重宝しています(コールマンのC0×2、NANGAのオーロラライト600DX、900DX)。


一方、CX-80はサブトランクがほぼ無く、トノカバーなどが入っているのみです。


また、CX-8はリアフェンダー上の空きスペースが結構大きく空いているのですが、CX-80ではあまり空いていないので、荷物を押し込むスペースとしては物足りないです。


我が家のキャンプスタイルでは、特に真冬の雪中キャンプの場合は、荷物をぎゅうぎゅうに詰め込んでいるので、サブトランクが無いというのは死活問題になります。

奥行に関しては、2列目シートを前にずらすなどして調整可能ですが、サブトランクについては如何ともしがたく、真冬の北海道で寝袋なしはキツイです(苦笑)。


尚、私の試乗したe-SKYACTIV Dは、マイルドハイブリッドですが、トランクルームに100Vの電源ソケットが付いていました。

あまり高出力な電気製品は使えないと思いますが、電動ポンプなどを使うのには重宝しそうです。


まとめ

CX-80は、パッケージやデザイン面では、良くも悪くもCX-60をストレッチして3列シート化しただけですので、差別化ができていません。車格的にはBMWで言えば、X3とX5の関係に当たりますが、X3とX5では、サイズや内装などで明確なグレード差がつけられています(以前に比べればだいぶ近づきましたが)。そのため、X5はよりプレミアム感が高められており、車格の違いにつながっています。但し、それがそのまま値段に直結していますので、400万円台から買えるCX-80は、寧ろ良心的と言うべきかもしれません。因みに、X3は790万円から、X5は1198万円からとなっていますので、比べる私の方が間違っているのかもしれません(苦笑)。

そういった観点から言うと、マツダのプレミアム車を購入したいというのであれば、グレードはプレミアムスポーツかモダンを選択し、5人までなら2列シートのCX-60、それ以上なら3列シートのCX-80というのが一般的な選び方になると思います。

直列6気筒というエンジンは、BMWのシルキー6を引き合いに出すまでもなく、極めてスムースで振動の少ない構造です。マツダの直6は、ディーゼルターボですから吹け上がりのフィールについては高回転ガソリンエンジンには及びませんが、それでもスムースな回転フィールを十分味わうことができ、ディーゼル特有のトルクと相まって、高いドライバビリティを約束してくれます。


問題は、キャンパー目線で考えた場合です。

ドライバビリティ、乗り心地、高級感については間違いなくCX-80ですが、積載量では、サブトランク分が無くなりますので、CX-8に軍配が挙がります。また、僅か40mmとは言え室内が短くなっていますから、2列目シートを少し前に出してラゲッジスペースを稼ぐというような場面でもCX-8の方が有利です。

上質なルーセントクロス張りやナッパレザーシートは、確かに高級感があって良いですが、アウトドアで汚れることを考えると、合成皮革やファブリックシートの方が好都合です。CX-80でもSパッケージまでグレードを落とせば、インパネは樹脂でシートもファブリックになりますが、クルーズコントロールやパワーゲートなどの基本オプションをつけると480万オーバーで、税金等を含めると乗り出し500万オーバーとなります。

500万オーバーというのは、私のようなクルマ好きでも流石にためらう価格ですから、アウトドア好きでそこまで乗り味に拘らないなら、やっぱりCX-8が良いと思います。


何でマツダはCX-8をディスコンにしたかなー

┐(´д`)┌ヤレヤレ



CX-60の試乗記はこちら



プライバシーポリシー及び免責事項

QooQ