九州キャンプ旅行記 12日目(東京九州フェリー~横須賀)

2023年11月3日

キャンプリポート

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2023年8月18日(金)


キャンプ旅行12日目。

昨夜、23時55分に出航したフェリーは、20時45分に横須賀港に到着します。ですから、この日は1日中、フェリーの旅を堪能します。


東京九州フェリーは、新日本海フェリーなどと共にSHKライングループに属する会社です。

私の乗船した「はまゆう」は、姉妹船「それいゆ」と共に、SHKライングループの最新鋭船です。

2021年3月の就航時には、新日本海フェリーの舞鶴・敦賀-小樽・苫小牧航路に就航していましたが、同年7月の東京九州フェリーの運航開始に伴い、横須賀-新門司航路に就航しています。

はまゆうの造船は、三菱重工業長崎造船所で、総トン数15,400トン、全長222.5m、幅25m。全長が200mを超えるのは、日本国内のフェリーでは珍しく、さんふらわあシリーズはいずれも200mを僅かに切っています。これは、日本国内では、全長が200mを超えると大型船扱いとなり、航路などに制限が加えられるからです。

そのため、汎用性を考慮してフェリーは200mを切る大きさで建造するのが一般的ですが、はまゆうは222.5mと、22.5mもオーバーしています。これには理由があり、スピードアップを図ったためです。

はまゆうは、全長は200mを超えていますが、幅は25mと、くれないの28mや苫小牧航路のふらのの27.2mよりも細くなっています。これによって水の抵抗を少なくすることができ、最大船速のアップが図られているのです。そのおかげで、はまゆうの航海速度は28.3ノット(時速52.4km)と、くれないの22.5ノット(時速41.7km)や、ふらのの24ノット(時速44.4km)よりも時速換算で10kmほど速くなっています。この速さが、横須賀-新門司間を20時間40分という短時間で結ぶことにつながっています。

尚、旅客数については、はまゆうは268名と、さんふらわあだけでなく、新日本海フェリーの船舶に比べてもかなり少ないです。近年のフェリーは、旅客600名前後が標準で、くれないに至っては716名に達しますから、3分の1程度です。

実は、フェリーは旅客船ではありますが、トラックを運搬する物流インフラとしての役割が主となりますので、旅客は二の次という側面があります。東京から九州へは、私のような数寄者のキャンパーや、ツーリング命のバイカーでない限り、飛行機を使いますから、旅客者は多くありません。また、旅客は季節の変動が激しいため、長距離航路にとってメジャーな客にはなり難いのです。

一方、働き方改革の一環で、2024年4月からは、トラック運転手にも残業規制が課せられるため、長距離トラックの運送ルートとしてフェリーが注目されています。CO2排出削減を目的とした、トラックによる物流を、鉄道や船舶に変えていくことをモーダルシフトと呼びますが、積み荷を駅や港に運ぶのはトラックですから、積み荷を乗せ換える手間がかかってしまうのが課題でした。その点、フェリーであればトラックごと乗せてしまうので、積み荷の乗せ換え作業が発生しません。また、運転手もフェリー内で休息できるため働き方改革にも対応できます。こういった背景から、モーダルシフトとしてのフェリーに期待が寄せられており、東京九州フェリーの就航に繋がったのです。

そんな訳で、フェリーでの旅客はあまり重視されていない航路であることが、はまゆうの旅客数の少なさに繋がっているのだと思います。とは言え、多少時間がかかることに目をつぶれば、フェリーの旅はとても快適で魅力的ですから、多くの人に広がってほしいと思いますし、フェリー旅がメジャーになれば、もっと航路が拡がるのではと期待しています。



さて、前置き(?)が長くなりましたが、はまゆうについて色々とご紹介していきましょう。

私たち家族が泊った客室は、ステート和洋室です。

はまゆうの客室は、上のグレードから、デラックス、ステート、ステートウィズペット、ツーリストS、ツーリストAの4種類。

デラックスは、2室限定で、テラスのある高級ホテルのような豪華な部屋。

ステートは、テラスはありませんが、そこそこの広さがある部屋で、ソファーベッドを使うことで最大4名の宿泊が可能。

ツーリストSは、ベッドと小さなテーブルのある個室。

ツーリストAは、カプセルホテルのような部屋となっています。

3人家族の我が家にとっては、最大4名が宿泊できるステートがベストチョイスとなります。新日本海フェリーや、さんふらわあなどにも、最大3~4名が宿泊できる客室が設定されており、私たち家族は毎回、そういった客室を選択しています。

ステートのソファベッドは、固めのクッションの座席を広げてベッドにするタイプです。その上にベッドパットを広げて寝るのですが、正直寝心地は悪いです。この点については、別府航路のさんふらわあ くれないのベッドの方が良かったです。


部屋には、テレビの他、給湯ポットなどのお茶セット、冷蔵庫などを完備。

トイレ、洗面台、シャワーもありますので、部屋でゆっくりとくつろぐことができます。


アメニティについては、さんふらわあ くれないが充実しすぎているので、それに比べれば劣りますが、シティホテル並みに揃っていますから十分です。


部屋への出入りは、乗船手続きで使用したQRコードをかざすタイプ。QRコードの画像をスマホに保存しておくことをおすすめします。

さんふらわあ くれないには、エントランスのカウンターでQRコードの印刷サービスがありましたが、はまゆうにはありませんでした。不便という程ではありませんが、船は出航してしまうと、電波状況が悪くなるので、事前にQRコード画像を保存しておくのが良いでしょう。


では、船内をご紹介しましょう。

国内フェリーは、カジュアルクルーズ船としても注目されていますから、エントランスのアトリウムは、各社が工夫を凝らしています。


はまゆうの3層吹き抜けのアトリウムは、かなりゴージャスなデザインで、ガラスエレベーターが設置されています。これは、他の船には見られない設備です。

アトリウム中央にはステージがあり、週末の便では様々なイベントが行われています。

私が乗船した時は、ジャグリングのパフォーマンスを行っていました。


はまゆうには、プラネタリウム&シアタールームがあります。

フロアには、ヨギボーが置いてありますので、くつろいで視聴することができます。


個人的には、一番の目玉だと思っているのが、フォワードサロン。

船の前側を観ることができる観覧スペースです。

この設備は、はまゆう・それいゆだけでなく、新日本海フェリーのらべんだあ・あざれあにもありますので、SHKライングループのフェリーには定番の設備と言えるでしょう。

生憎、私が乗船した時はシャッターが閉まっていて、観ることができませんでした(> <)

以前、あざれあに乗船した時は、フォワードサロン自体が使用中止になっていましたので、つくづく運がありません(苦笑)。


他にも、キッズルームやスポーツジム、カラオケができるアミューズメントルームなどがあります。


こういった、様々な施設が充実しているのは、特に長時間乗船する東京九州フェリーではありがたいです。フェリーでは、スマホもネットに繋がらないので、船内施設が充実していると、良い暇つぶしになります。

実は、フェリーは出航してしまうと、殆どネットが使えません。あたりまえではありますが、スマホの基地局は海上にはありませんので、殆どつながらないのです。たまに、沿岸の基地局に繋がればラッキーといった程度で、それでも速度が出ないため、Youtubeを観るのは厳しいです。

さんふらわあの大洗-苫小牧航路であれば、沿岸側の船室なら多少は繋がるのですが、それでも限界があるので、フェリーはある意味デジタルデトックスにも向いています(笑)。


暇つぶしという点では、船内ショップも重要なポイント。特に、東京九州フェリーは20時間以上乗船しますから、小腹が空いたときなど、何かと重宝します。

お店の前には、記念品などの各種グッズも取り揃えられています。


品揃えは、さんふらわあ くれないに一歩及びませんが、軽食からアルコール類まで充実しています。

何故か「二階堂」ではなく「いいちこ」があります(笑)。



ご当地のお土産も売っています。



あと、アイスクリームが充実していますので、甘い物が欲しくなったら売店へ行きましょう(笑)。


自動販売機類も充実しており、ソフトドリンクは勿論、アルコールやカップラーメンもあります。


特筆すべきは、アルコールドリンクの販売時間が、さんふらわあに比べて長いことです。さんふらわあは、何れの航路でも夜の23時までなのですが、深夜に出発する東京九州フェリーでは、午後2:30~午後9:30までが販売停止時間となっています。

おそらくこれは、フェリーという特質上、深夜は飲んでも良いが、下船前の6時間前からは飲酒制限のため販売停止ということだと思います。



レストランは、深夜、朝、昼、夕の4回営業しています。

メニューも豊富で、毎回メニューが異なるため、飽きずに食べることができます。


生ビールも販売している。さんふらわあと違いジョッキで飲める。

また、昼食については、船上デッキでのバーベキューもあります。数量限定ですから抽選になりますが、船上バーベキューはなかなか経験できませんので、キャンプ好きでなくてもおススメします。私も、以前あざれあに乗船した時にジンギスカンを楽しみました(笑)。



そして、何といっても一番は、大浴場でしょう。

眺望の良いお風呂だけでなく、小さいながら露天風呂があるのが最高です!!

潮風に当たりつつ、海を眺めながらの露天風呂は、いくらでも入っていられます。

更には、サウナもあるので、船上でととのうことができます。私も、時間を持て余した昼間、2時間近くサウナと露天風呂を繰り返してととのっていました(笑)。



さて、ここからは、船上での過ごし方をご紹介しましょう。

23時に乗船した私たちは、晩御飯は既に食べていたので、食堂は使うことなく、持ち込んだお菓子類をつまみつつ、軽く飲んで就寝。

朝食は、レストランで販売している焼き立てパンを買ってきて、部屋で食べました。


部屋でくつろぎたい派の我が家は、レストランを使うよりも、こういった軽食サービスを使うことが多いです。


その後、わたしは船内をウロウロ。

妻と娘は、部屋でゴロゴロ。


船内には、記念撮影スポットなどもあります。


内装は、カジュアルと言うより、ややゴージャスに振った雰囲気です。



壁に掛けられている絵画も、西洋画(ロートレック?)で、高級感が演出されています。


はまゆうは、給湯室やコインランドリーなどの設備も充実しています。

私たちは、下船後は帰宅するだけですから、使いませんでしたが、全国をツーリングしているような方なら、船上で洗濯できるのはありがたいでしょう。


船旅ならではの楽しみとして、甲板からの眺望があります。



そうこうしているうちに、10時過ぎに、姉妹船のそれいゆと行き会います。


航行速度が速く、相対速度は時速100kmに達しますから、すれ違いは思った以上に一瞬で過ぎていきます。


横須賀-新門司航路は、結構見所が多く、特に横須賀行きは、伊豆半島から伊豆大島沖を航行するので、景色を楽しむ事が出来ます。

伊豆半島沖を航行中の写真。貨物船の奥にうっすらと下田が見える。

船の位置は、部屋のテレビで確認できるので、これを参考にしながら、船上の景色を楽しむのが良いでしょう。

何時に何処を通過するかは、部屋に置いてある案内を見れば分かります。



お昼は、レストランで食べることに。

注文は、各テーブルに備え付けられているタブレットで行います。

メニューは色々あるのですが、それほどお腹が空いていなかった私と妻は、焼きカレー。

娘はグラタンとドリンクバーをチョイスしたのですが、少し酔い気味だったこともあり、半分ぐらい食べた所で終了。

この日は快晴で、海も凪いでいたのですが、娘は船酔いには神経質なこともあって、あまり体調が良くなかった模様。


その後は、部屋でダラダラ。

それいゆは、船内無線LANサービスで、マンガなどが読めるので、娘はそれで暇つぶしをしていました。

私は、部屋で一服した後は、既に書いた通り、サウナ&露天風呂でととのっていました(笑)。



そうするうちに、時刻は夕方。伊豆半島と伊豆大島の間を通過していくので、風景を楽しみます。

特に、伊豆大島は、かなり近くを通るので、街並みの様子なども見えます。昔、伊豆大島で友人と1週間過ごしたことが懐かしく思い出されます。イヤー、あの時は釣りにバーベキューにと遊びまくりました。



伊豆半島に沈んでいく夕日が眺められるのも、フェリーならではの光景です。


遠くには、富士山も見え、ゆっくりと沈む夕日に照らされるのを観ているだけで癒されます。



時刻は、19時過ぎ。横須賀港への到着は20時過ぎですからまだ時間があります。

夕食をレストランで食べてもよかったのですが、結局部屋でゴロゴロを選択した我が家。

レストランでテイクアウトできるソーセージの盛り合わせなどを買って、ノンアルコールビールを楽しみました。


そうこうするうちに、横須賀港に到着。

埠頭の奥に、軍艦三笠が見えます。


長かったようで短かったフェリー旅も終わり、これで12日間に渡った九州キャンプ旅行もフィナーレを迎えました。

距離的には、九州で1645kmを走破。

思えば、台風に始まり、終盤の福岡でも豪雨に遭うなど、雨に悩まされたキャンプでしたが、色々と楽しめました。

高千穂峡を始め、通潤用水など、計画通りに行かなかったこともあり、やり残したことも多いキャンプ旅行でしたので、いつかリベンジしたいと思います。


おわり


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