日本最古のテントメーカーでありながら、 意欲的に新作テントをリリースし続けているオガワ。
特に今年は、シャンティRやオーナーロッジ Type78Rなど、注目の新作テントがラインアップされていますが、今年の目玉は何と言ってもピレウスでしょう!!
ピレウスは、2023年のオガワのカタログの表紙を飾っているテントですから、間違いなく今年の一押しテントということになるでしょう。
ちなみに、去年の表紙はクーポラでした(詳細はこちら)。
ということで、先日、GRAND lodge おおたかの森で展示されていたので、早速見に行ってきました!!
Pileus(ピレウス)の特徴
Pileusはラテン語で「頭巾雲」を意味します。
頭巾雲とは、積乱雲などの頂上部分に薄く広がる帽子状の雲のことです。
出典:ウェザーニュース |
オガワのピレウスは、この雲の名を冠するように、白い幕体が空に向かって立ち上がる独特のスタイルが特徴です。
出典:キャンパルジャパン |
外観だけで言うと、dodのヤドカリテントやZANE ARTSのロロなどが近いですが、構造や機能性は全く異なります。
ピレウスは、クロスポールに幕体を吊り下げる形状で、ティピ型のワンポールテントに近い形をしています。ティピ型テントは、テントの中心にセンターポールがあるため、ポールが邪魔に感じる場合が多いのですが、ピレウスはクロスポール化することで、そのデメリットを解消しています。
ただ、それだけであれば、最近はdodからセンターポールを二股化するポールなどが発売されており、爆発的なヒットを続けているテンマクデザインのサーカスシリーズでも、専用のトリポット(三脚)が発売されるなど、センターポールのデメリットを解消する方向にあります。
筆者所有のテンマクデザイン サーカスコットン。 典型的なティピ型のため、直線的なシルエット。 |
しかし、テント構造から見るとピレウスは、クロスポールを外側にもってきており、それに吊り下げる形式にしています。
これは、幕内の広さを確保するためと言うよりは、将に頭巾雲のような独特の形状を生み出すのに寄与しています。吊り下げ式にすることで、より曲線的なシルエットを実現しており、直線的なティピ型テントとは一線を画すデザインに仕上げられています。
そして、更に特徴的なのが、フロントポールによって立ち上げられた出入口。
ティピ型の最大の弱点である、出入りが不便という点を克服しつつ、個性的なデザインに仕上げられています。
基本SPEC
基本スペックは以下の通りです。
出典:キャンパルジャパン |
【サイズ】
- 大きさ(cm):幅340×奥行413cm×高さ240cm
- 収納時(cm):70x34x32cm
【重量】
- 総重量:約17.56kg(付属品除く)
- フライ:約5.05kg、インナー:約5.25kg、グランドシート:約1.22kg
- ポール:約6.04kg、付属品:約3.3kg
【素材】
- フライ:T/C(耐水圧350mm)、インナー:T/C
- グランドシート:ポリエステル210d(耐水圧1,800mm)
- メインポール:6061アルミ合金(φ32mm)
- フロントポール:スチール(φ22mm)
【付属品】
- 張り綱2mx6本、3mx2本
- セルフスタンディングテープ
- スチールピン25cmx17本
- スチールハンマー1丁
- 収納袋
大きさについては、幅が340cmというのは、ティピ型の代表的テントであるサーカスの420cmに比べて小さいですが、サーカスより高さがあるのと、吊り下げ型の独自の構造から、より広さを感じます。
独特の構造について
既に述べた通り、構造的にはアウタークロスポールを採用したティピ型に近い形状で、出入口に台形のフレームを入れる事で、グロッケなどのベル型とティピ型を足したスタイルに仕上げられています。
形状から、やや耐風性に劣るように見えますが、セッティングテープでガッチリ固定されるので、意外としっかりしています。
出入口は、高さが最大180cm近くありますから、出入りが快適なだけでなく、風通しの面でも優れています。
天井高は、240cmですから抜群の解放感がありますし、ベンチレーターも備えられているため、幕内に熱気が籠り難い構造になっています。
後ろ側も全面オープン可能で、左右にも大きなメッシュ窓があります。通風性に拘っているオガワらしいデザインですし、解放感の向上にも一役買っています。
ピレウスは、アウターポール式ですから、テント内にポールが無くより広く使えます。ただ、ベル型に比べるとサイドウォールの立ち上がりが無いので、インナーテントの裾部分についてはデッドスペースとなっています。
ただ、そこにメッシュ窓を設けて通風性を向上しており、デッドスペースを有効活用する工夫が見られます。
ちなみに、後部側のファスナーは、トリプルファスナーですから、色々な用途が考えられます。
後述する通り、4シーズンテントとしてはやや難点のあるテントですが、あえて薪ストーブをインストールして使うのもアリかもしれません。
フロアは、六角形ですが、左右の張り出しが小さいのでほぼ四角形として使用可能。
左右のメッシュ窓の張り出し部分を除いても幅は約300cmありますし、奥行きも280cmありますから、かなり広く感じます。
このサイズなら大人4人でも楽々です。
因みに、インナーのグランドシートは着脱式となっているので、シェルターのような使い方も可能です。
更には、フライシートだけでも使えるので、豊富なバリエーションが楽しめます。
出典:キャンパルジャパン |
設営に関しては、六角形のセッティングテープを先にペグダウンし、そこにインナーとフライシートを取り付け、クロスポールに吊り下げて立ち上げるという方式になります。
店員さん曰く、慣れるまでは、広げた幕のどこを留めるのか分かりづらいので、設営には慣れが必要とのこと。
あと、設営上の注意点としては、インナーを後から取り付けるためには、吊り下げ位置が高いため、脚立などが必要となります。
幕体は、フライ・インナー共にT/Cで、インナーのグランド側だけポリエステルになっています。オガワは、フライシートは、ポリエステルを使用する傾向にあるので、フライシートまでT/Cというのはかなり珍しく、他にはピルツ15T/CとツインピルツフォークT/Cぐらいです。
T/Cですから結露に強いテントですが、スカートは付いていないため、冬場の暖房性能にはやや劣ります。特に、独特の形状のフライシートは、両サイドが曲線になっていて、インナーのメッシュ窓がフライシートの外側に張り出しているなど、機能性よりもデザイン性が優先されています。
まとめ
以上、機能性の面から言うと、ピレウスは3シーズンに特化したテントに仕上がっていると言えます。
しかし、ポジティブに捉えるなら、寝袋も3シーズンと冬で全く異なるように、テントも3シーズンと冬では求められる機能が異なるので分けるべきです。そういった観点から言えば、風通しが良く、天井の高いピレウスは、真夏でも快適に過ごせるテントと言えますし、全体が白に仕上げられたデザインは、映えだけでなく、夏場の直射日光を防ぐ上でも有効と言えます。
それに、何よりも「頭巾雲」の名を冠するように、雲のように白く美しいテントは、他に類を見ません。このデザイン性は、ガレージブランドも含めて一石を投じるのではと個人的には思っています。
オガワは、スノーピークがキャンプ事業に進出する以前から、ロッジテントを製造・販売していた老舗です。そういう事もあって、ロッジシリーズに見られる伝統的なデザインや、アポロンに見られる質実剛健さが魅力的なテントメーカーなのですが、ピレウスはよりデザイン性に振ったオガワらしくないアプローチが光る逸品です。
私にとっても、オガワの質実剛健さが、ガレージブランドも含めた他社に無い魅力だと感じていたのですが、ピレウスはそんな固定観念を大きく覆してくれた良幕だと思います。オガワのテントで、デザイン面でこれほど魅力を感じたのは、ツインピルツ以来です(そう言えばツインピルツも白が際立った幕でした)。
ひょっとすると、このテントが新しいオガワブランドを築くエポックメイキングになるかもしれません。
うーん。
欲しい~
(^-^;
【2023/8/9更新】
ピレウスを購入しました!!
徹底リポートはこちらからご覧ください!!