妻の実家から貰ってきた折りたたみ自転車、「トランジット ライト」を6段変速に改造したお話です。
前回の最後でお話した通り、苦労してスプロケットやリアディレイラーを取り付けたのに、最後にチェーンが合わないという、こんなかみ合わない話はありません(笑)
前回の顛末は、こちらからお読みください。
今回は、かみ合わないチェーンをかみ合うようにするお話です。
また、最後に改造後のインプレッションや、ダホンのスピードファルコとの比較も行っていますので、折りたたみ自転車(フォールディングバイク)にご興味のある方は、最後までお楽しみください m(_ _)m
チェーンとフロントギアがかみ合わない!
フロントギアの交換
フロントギアの選択
さて、フロントギアの交換となると、歯数の選択が重要となります。
オリジナルのトランジットライトの歯数は46個(46T)。
素直に交換するなら、同じ46Tにするべきですが、ここでスピードとの兼ね合いが出てきます。
私の選んだスプロケットは、14・16・18・21・24・28Tの6段で、最大ギア比となるギアは14Tです。実は、オリジナルも14Tなので、6段変速とはいえ、ギア比的には最大速度は変わりません。
6段化によって軽い側のギアは増えますが、重いギアは変わらないため、モアスピードを求めるのであれば、フロントギアを交換する必要があるのです。
この自転車を使うことになる妻は、別にスピードは出さないので、重い方のギアはいらないと言っていたのですが、娘の愛車スピードファルコに対抗するのであれば、それなりのギア比が必要になります。使用目的はポタリングですから、ロードバイクほどのスピードは不要ですが、時速20kmぐらいで巡行できるぐらいにはしたいと考えていました。
ギア比については、スプロケットを買ってから気が付いたので、いずれはフロントギアも交換するつもりではいたので、まあ改造が早まっただけと言えばそれまでのこと(苦笑)。
そうなると、46Tをどこまでアップするかが問題になります。
大径のフロントギアは50Tから60Tまで各種あります。ただ、歯数が多ければ良いという訳でもなく、ギア比が大きく重すぎれば、1速でもこぐのが大変になりますし、60Tともなるとギア直径が25cm近くになりますので、フレームに当たる可能性が出てきます。
ということで、私がチョイスしたのは、AKI WORLDの53T。もう少し大きなギアを選んでも良かったのですが、53Tならギア比が3.79と、オリジナルのギア比3.29の15%アップですからまあ妥当かと・・・
フロントギアとクランクのセット。 写真左下の小さな部品は、コッタレスクランク抜きという特殊工具。 |
と言うのは後付けで、Amazonで3,300円と安かったのが決め手でした(笑)
フロントギア・クランクの外し方
さて、フロントギアとクランクのセットが手に入ったので、先ずはオリジナルのクランクを取り外します。
クランクのキャップを外したら・・・
14mmの6角ナットでした・・・orz
事前にネットで調べると、クランクは6角レンチで外せると書いてあったのですが、6角ナットとなると、ソケットレンチが必要になります。
生憎、ソケットレンチを持っていない私は、三度ホームセンターに向かうことに(苦笑)
三度もホームセンターへ行く羽目になった、ソケットレンチ。購入したのは、TONE(トネ)のラチェットハンドルとソケット。 因みに、一度目はシフトケーブルのチューブライナー、2度目はリアハブのスペーサーに使ったワッシャーを買いに行った(苦笑)。 |
ソケットレンチで六角ナットを外します。
思ったより簡単に外れました。
さて、ソケットレンチでナットを外したら、あとはクランクを外すだけなのですが、ここで登場するのが、コッタレスクランク抜きという特殊工具。
初めて知ったのですが、自転車のクランクは、四角いクランクシャフトに強い力をかけて押し込んで留めているのです。なので、手で引っ張ったぐらいではビクともせず、コッタレスクランク抜きが必要となります。
使い方は、先ずコッタレスの大きいネジの方を、クランクにねじ込みます。
コッタレスが回らなくなったら、次に棒のような方をねじ込んでいきます。
たったこれだけの事なのですが、この棒をねじ込んでいくのがタイヘン!!
私もそこそこバカ力の持ち主のハズなのですが、モンキーレンチがビクともしません(+_+)
潤滑油(KURE5-56)を吹き込んでもウンともスンとも言わず・・・
仕方が無いので、ゴムハンマーで叩いて回すという暴挙(?)に・・・
ナントか外すことができました。
┐(´д`)┌ヤレヤレ
新しいフロントギア・クランクの取りつけ
取り付けは、取り外しの逆の手順となります。
クランクを、クランクシャフトに挿し込みます。
ナットをソケットレンチでねじ込みます。
正直、どこまでねじ込めば良いか分からなかったので、適当です。
ちなみに、クランクを取り付ける前に、クランクシャフト周りをグリスアップしてあります。写真を撮り忘れてしまいましたが、錆も無く、20年近く前に購入した自転車とは思えない程きれいでした。殆ど乗っておらず、長い間、妻の実家内で保管されていたので、状態はとても良かったです。
最後に、チェーンを張って終わりなのですが、長さを46Tに合わせてしまったので、カットしたチェーンを入れ直して再調整をするハメに。
挙句の果てに、ホームセンターで売っていたチェーンジョイントなる物を使ってみたのですが、これがリアディレイラーに引っかかるため見事に使えなかったというオマケ付き。
後からパッケージを確認すると「シングル用(外装変速用の自転車には使えません)」と但し書きが・・・
最後までトラブルの連続でした(苦笑)。
6段化最後の壁、リアディレイラーの調整
やっと組み上がった6段変速のトランジット ライトですが、最後の大仕事、リアディレイラーの調整が待っていました。
元々、後付けですから、「全段使えなくてもいいか~」ぐらいの軽い気持ちで改造を始めたのですが、ここまで苦労したら「全段使い切りたい!!」と心境が変化(笑)。
ディレイラーは、プラスドライバーで位置を微調整できるので、これで追い込んでいきます。
ディレイラーには、写真のようにネジが2本付いています。
上がH(ハイ)側、下がL(ロー)側のディレイラー位置を調整できます。
ハイ側の調整は、6段(スプロケットの最小ギア)に入れた状態で行います。
写真は調整後の状態。 |
この状態で、ネジを回してディレイラーの位置を微調整します。
- 右回し:内側(ロー側)に動く
- 左回し:外側(ハイ側)に動く
ロー側の調整は、1段(スプロケットの最大ギア)に入れた状態で行います。
写真は調整後の状態。 |
この状態で、ネジを回してディレイラーの位置を微調整します。
- 右回し:外側(ハイ側)に動く
- 左回し:内側(ロー側)に動く
ハイとローで、ネジを回してディレイラーが動く方向が逆になることに注意です。
この方法でも、6段全部にギアが入らない場合は、ディレイラーのシフトケーブルのテンションを調整することになります。
ディレイラーには、ケーブルのジョイント部分に調整ネジが付いており、それで多少のテンション調整ができますが、それでもうまくいかない場合は、ケーブルの止めネジを外して長さを調整することになります。
シフトレバーを6速に入れ、ギアをトップにした状態で、ディレイラーの位置をトップギアとほぼ一直線になるように合わせます。
これは、私の我流なので、やり方が合っているか分かりませんが、一応これで6速全部に入るようになりました(^_^)
あと、注意点としては、チェーンの長さが短すぎると、ローギア(1速)でチェーン外れが多発します。
私の場合、46Tに長さを合わせたまま53Tで使用すると、チェーンが外れて、前述の通りチェーンの長さを再調整するハメになりました(苦笑)。
試乗してみると、6速全部にギアがスムースに入るようになりました。
が・・・
6速でフレームにチェーンが僅かに当たります。漕いでいると、時々カラカラとチェーンが当たる音がします。
うーん、6速ではフレームとのクリアランスが十分取れないようです。
このまま乗っていても良いのですが、気持ち悪いので、1.6mmのワッシャーを追加。フレームをやや強引に開けることで、僅かなクリアランスを確保。
これで、チェーンとフレームが接触しなくなりました。
ようやく組み上がった「高機動型トランジット ライト」
では、完成した6速トランジット ライトをご披露しましょう(笑)
Before
After
フロントギアまで交換になったことは想定外でしたが、ギアを黒で統一したので、個人的にはカッコよくなったと思っています(笑)。
ペダルは、オリジナルを流用しましたが、ここまで来たらペダルも黒に変更した方が良さそうです。
小型のミニベロですが、ギア比もアップしたので、量産型ザク(ママチャリ)よりも速いハズ。
高機動型の要となる53Tのフロントギア。 |
6段スプロケットがカッコイイ!! |
折り畳むと、かなりコンパクトになるので、車載するには丁度良い感じです。
ただ、折り畳みがディレイラー側になるため、フロントタイヤとディレイラーが少し干渉します。
大したことではありませんが、よりコンパクトに畳むには、逆側に折れた方が良かったです。
因みに、ダホンのスピードファルコは反対側に折れます。
さて、町内を少し走ってみた感想としては、18インチのミニベロとしては結構走るようになりました。ギア比をアップしたこともあって、おもいっきりこげば、時速30kmぐらい出ます。これぐらい出れば、高機動型ザク(R-1A型)を名乗れそうです(笑)。
ただ、フロントタイヤが16インチと小さく、ホイールベースも短いので、安定性に欠けます。ですから、下り坂などで時速30km以上出すと、けっこう不安定になります。
ガチでこいでみて分かったのですが、フロントギアはもう少し大きめでもよかったと思いました。アラフィフで運動不足の私ですが、トップギアの6段に入れても、負荷的にはもう少し行けそうです(勿論、長続きはしませんが・・・)。
フロントギアが56Tであれば、ギア比が4段目で3.11、5段目で3.5、6段目で4となり、よりギア比が高くなるため、スピードアップが図れます。ギア比4オーバーとなれば、本格的なロードバイクに近づいてきますが、所詮18インチのミニベロですから、負荷的にはたかが知れており、使いこなせないレベルではありません。
スプロケットを14Tから11Tに下げることも考えましたが、調べてみた所、安価なボスタイプには無く、カセットタイプになるためホイールも変える必要があります。また、11Tが入っているスプロケットは、7速以上になってきますし、そうすると変速機からリアディレイラーまで全取り替えになってしまいます。それに、フレームとチェーンのクリアランスも更に厳しくなるので、最早費用面も含めて、自転車を買い替えた方が良くなります(苦笑)。
因みに、改造にかかった費用は、全部で20,449円でした。
費用には、コッタレスクランク抜きやソケットレンチ代なども含まれていますが、当初の予定より随分かかってしまいました。パーツ単体では、いずれも数千円ですが、流石にこれだけパーツを入れ替えてしまうと、塵も積もればナントやらです。
ダホン スピードファルコとトランジット ライトの比較
最後に、スポーツタイプの折りたたみ自転車の代表と言えるダホンのスピードファルコとの比較をお届けします。
BRIDGESTONE TRANSIT LIGHT改(R-1A)
DAHON Speed Falco
スピードファルコは、折りたたみ自転車とは言え、ロードバイク並みのスポーツ性能を追求したモデルですから、トランジット ライトに比べれば1周り大きいです。
タイヤサイズも、通常の20インチの406ではなく451と少し大きめのサイズが採用されていますので、16インチのトランジット ライトと比べると大人用と子供用の自転車ぐらいの差を感じます。
2台の前輪の軸を合わせると、後輪でこれぐらいの差があります。
ギアを比較すると、フロントは同じ53T。
一方リアは、
スピードファルコ:8段(11・13・15・18・21・24・28・32T)
トランジットライト:6段(14・16・18・21・24・28T)
7段と8段が、よりローギアード化されており、スピード性能の違いは明らかです。
因みに、スピードファルコに普段乗っている娘からすると、トランジット ライトは、フラフラして乗り難いとの事です。スピードはまあまあだそうですが、安定性の悪さは否めないようです。
トランジットライトは、スピードファルコに比べれば、特にフロントが4インチ以上小さく、ショートホイールベースと相まって、物理的な安定性が低下しています。その分軽量ではあるので、走り出しは軽快なのですが、長距離のサイクリングはちょっと辛いかもしれません。
安定性の面では、ホイールの大きさが重要になってきます。特に高速安定性については、大きくて重いタイヤの方が、ジャイロ効果が働いて安定性が良くなります。
以上、スピードファルコに比べれば一歩及びませんが、小型でそこそこスピードの出る自転車に仕上がりました。欲を言えば、フロントギアをサイズアップして、タイヤもインチアップすれば、更にスピードアップできそうですが、流石にそこまですると魔改造の域に踏み込むことになるので、この辺で妥協しておきます(笑)。
さて、この自転車の乗り手である妻に引き渡したところ、一言。
「スタンドとかごが無いから、買い物には使えんなー」
(´;ω;`)