ここ数年のキャンプスタイルを見ていると、 随分とバリエーションが増えたと感じます。私がファミリーキャンプを始めた頃は、周りはまだまだコールマンとスノーピークの2強という時代でしたが、最近は、メーカーが増えただけでなく、グランピングまがいの物欲スタイルから、インスタ映えを狙ったオシャレスタイル、軍幕系、UL(ウルトラライト)系など、様々なスタイルが出てきました。
最大10人対応のクロンダイクグランデを家族3人で使う、我が家のグランピングスタイル。 |
私は、これまで典型的なファミリータイプのスタイルで、それが行き過ぎてグランピング物欲スタイルにまで至ってしまいました(苦笑)。しかし最近は、娘が高校受験を控えているということもあり、ソロで行く機会が増えました。また、今後のことを考えると、ファミリーというよりは、夫婦でデュオスタイルのキャンプが多くなると思い、それに向けてテントを新たに購入することにしました。
私は、ソロキャンではテンマクデザインのサーカス コットンVer.を使っているのですが、こいつは結構幕が重くて、折り畳みも一人では面倒なので、もっと軽くて便利なテントに変えたいと思っていました。一方、本格的な登山や、森林に分け入って野営するようなスタイルも好みませんので、UL系まで突き詰める必要もありません。キャンプ系テントのソロ・デュオ向けと言えば、真っ先にオガワのステイシーとコールマンのツーリングドームが思い浮かびます。あとは、今年発売になった、アポロンSも仲間に入れてもいいかもしれません。
ステイシーST-2 |
ツーリングドーム |
アポロンS |
しかし、ステイシーやツーリングドームは、約4kg程の重量があり、私にとってはやや冗長です。アポロンSに至っては、総重量13.2kgですから、これではグランピングスタイルに逆戻りです(苦笑)。
ということで、キャンプ用テントよりはもう少し軽量で簡便な物を求めて、山岳用テントを主軸に選ぶことにしました。
私が、モンベルのムーンライトを選んだ理由
改めて調べてみて分かったのですが、殆どの2人用テントは幅(短辺)が130cm以下だということです。MSRのエリクサーやフリーライト、アクセスなどは全て127cm、ニーモのタニやアトムは130cmでした。まあ、当たり前なのですが、山岳用テントは1gでも軽くすることを重視しているので、一切の無駄を省く傾向にあります。そのため、いずれのメーカーも2人用は幅が130cm以下が基本スペックになっているようです。ところが、130cmというのは、結構ギリギリのサイズで、マミー型シュラフに潜り込んで寝る分には構いませんが、のんびり寝るスタイルには狭く、せめて150cmは欲しいところです。
なぜ、私が150cmという幅に拘ったかと言うと、ダブルのインフレーターマットを敷いても快適に寝ることができるスペースを確保したかったからです。一般的なキャンプ用インフレーターマットの幅は、シングルが65cm、ダブルが130cmとなっています。ですから、テントのフロア幅も130cmあればダブルのマットを使用可能ですが、問題はドームテントのウォールが斜めになっていることです。マットと同じサイズのテントを使うと、余剰スペースがありませんから、顔のすぐ横にウォールが来ることになり、それが更に上に向かって狭まっていくため、非常に圧迫感があります。
アツアツのカップルなら、幅130cmのテントで身を寄せ合ってアツアツの仲を深めればよいでしょうが、アラフィフの夫婦にとっては、それは文字通りアツいだけで、寝苦しい以外の何物でもありません(苦笑)。
で、山岳用テントでメジャーなMSRとニーモに私の欲しいサイズが無かったので、モンベルを調べてみました。
モンベルも、ステラリッジ、クロノスドーム、ルナドームなどは全て130cmでしたが、そんな中でムーンライトだけが幅150cmでした。150cmなら、左右10cmの余剰スペースがありますから、圧迫感は大分違います。
モンベル ムーンライト テント2について
ムーンライトは、モンベルの長い歴史の中でも特に古くからある定番モデルです。2020年には大幅にリニューアルされ、軽量化と組み立ての容易化が図られました。
旧型のムーンライト。インナーがより鋭角で典型的なA型。 筆者所有のモンベルの2019年カタログより。 |
特に1型2型は、それまで典型的なA型だったフォルムを外に張り出すようなフレーム構造にすることで、居住性も大幅に向上しています。新旧比較で言うと、新1型は、棟に高低差がある旧1型(1~2人用)2型(2人用)、新2型は旧3型(2~3人用)に対応します。
色は、スプリンググリーンとライトタンの2色。他に、バードウォッチャー向けにカモフラージュ柄のフライが用意されています。
実は、ムーンライトの旧3型は、ゆるキャン△で主人公の1人志摩リンが使用していたことで有名になり、一時期在庫が無くなるほどの人気となりました。モデルチェンジを控えているのに、いきなり爆売れして、モンベルもさぞ驚いたことでしょう(笑)。
購入に当たって
購入に当たって、一番悩んだのが色です。定番のグリーンは綺麗で映えますが、落ち着いた色のタンも捨てがたい。結局、昭島のモンベルに行って、店頭で実際に色を比較してタンを選択。
余談ですが、映画ゆるキャン△が公開中ということもあり、昭島アウトドアヴィレッジにはこんなポップが置いてありました。
アウトドアヴィレッジが併設されているモリパーク内には、映画館もあるので、ついでに観たかったのですが、この日は時間が無かったので断念(苦笑)。
ムーンライト2型の設営方法
ムーンライトという名称は「月明かりの中でも簡単に設営可能」ということから来ており、その名の通りとても簡単に建てることができます。
ポールは、全てガイロープで繋がっており、Aフレームの頂点部分は丸いジョイントで結合する仕組みになっています。
旧型は筒状でしたが、新型では円形のジョイントにポールを挿し込むだけと、更に容易化が図られています。
この方式は、かつてオガワがアイレで導入していたスイベル方式に近く、ポールがクロスする部分の強度アップと組み立てやすさを両立しています。
ポールをインナーとグランドシートのポール受けに挿し込んで自立させます。
インナーをフックで吊り下げます。
実は、ここにも一工夫あって、Aフレームの頂点部分は、丸型のフックをジョイント下部に挿し込む構造になっており、簡単に取り付けられるようになっています。
旧型は、フライシートのゴムループを筒状のソケットに引っかける構造でしたから、より直感的に組み立てられるように進化しています。
フライシートをかぶせて、各部を留めていきます。
前室部分の、Aフレームの突き出た部分は、フレーム先端がボール状になっており、そこにプラスチック製の留め具を挿し込む構造になっています。
あとは、ベルクロで各ポール1か所づつ留め、シート端のフックをテントコーナーのゴムループにかけます。
完成しました。時間にしておよそ5分もかかりません。当たり前ですが、大型のキャンプ用テントに比べれたら、圧倒的に早くてラクです(笑)
ムーンライト2型の特徴
さて、設営してみて思ったのが、やっぱりラクだという点です。
円形のジョイントで結合されたポールは、迷うことなく組み立てられますし、テント側のポール受けも、簡単にはめることができます。他にも、ご紹介した通り、Aフレームの先端の留め具など、とにかく簡単かつ確実に組み立てることができるように、細部に渡って仕掛けが施されているのが分かります。
重量に関しては、ペグも含めて1.71kgですから、UL系のテントには及びませんが、キャンプ用テントに比べれば圧倒的に軽いわけですから、設営のラクさは段違いです。勿論、その分小さいわけですが、テント内は高さが最大110cmありますから、座るのには全く問題ありません。
シートは薄手ですが、フライを付けていれば、中が透けて見えるということもありませんから、プライバシーの面でも必要十分と言えます。
ベンチレーターは小型ですが、これは冬場の換気に役立ちます。
夏場は、前後をフルメッシュにすれば、風通しも良く、快適に寝ることができます。
それとなく入った、天頂部のクマのロゴマーク(モンタベア)も、個人的には気に入っています。
あとは、ポールの補修用パイプが入っているなど、細かい所まで考えられているのは、流石モンベルと言った所でしょうか。
タープにもなるフライシート
実は、オプションのグランドシートを使うと、フライシートだけで自立させることができるので、簡易のタープとしても使用できます。
ムーンライト専用のグランドシートは、通常のテント用グランドシートと異なり、4隅にポール受けとペグダウン用のループが付いています。そのため、インナー無しでも、ポールを自立させることができ、フライシートを簡易タープのように使用することができるのです。
私は、複数のテントを持っているので、グランドシートは他の物を流用するつもりだったのですが、簡易タープとして使える機能があることを店頭で知り、思わず購入してしまいました(苦笑)。
まあ、これをわざわざ海に持って行って使うかどうかは微妙ですが、専用グランドシートの価格は4,620円ですから、買っておいて損は無いでしょう(笑)
まとめ
モンベルのムーンライト2型は、2020年のリニューアルで、使いやすさが更に向上しており、室内も山岳向けとしては広めのテントです。
ですから、キャンプシーンでも、ソロなら十分な広さがありますし、デュオでも必要なスペースが確保できます。前室は、前後にありますから、靴やちょっとした物を置くスペースにもなりますし、雨の日でもそれなりに対応できるでしょう。
実際のキャンプでは、タープを張ってしまえば、殆どの時間はその下で過ごすことになり、テントは結局寝る時と着替える時ぐらいしか使いません。そうであれば、あえて大型のテントを苦労して張らなくても、ムーンライトで簡便に済ませてしまうのも十分アリだと思います。