毎年、意欲的な新作テントをリリースし続けているogawa(オガワ)。
去年は、シンメトリカルなデザインが美しい「オーナーロッジ ヒュッテレーベン」が目を引きましたが、今年はある意味それを上回るテントがリリースされます。
出典:ogawa |
2022年の新作テント「クーポラ」です。
クーポラ(Cupola、キューポラとも)とは、イタリア語由来で、建築物の上にある小型のドーム状の構造物のことを指します。戦車マニアにとっては、戦車の砲塔上に設置された凸型ハッチの方が馴染みがあるでしょう(笑)。
名前の由来はさておき、私がこの写真を見て真っ先に思い出したのが、ゾックです。
ファーストガンダムに出てきたモビルスーツで、ジャブロー攻略戦でガンダムに1発でやられたことで有名です(笑)。
オガワの開発者が、ガンダム好きかどうかはさておき、何となくゾックの上半身に見えるこのテント、最近のオガワらしいシンメトリカルなデザインが秀逸に思えますが・・・
心の中では、シャアのセリフが響きます。
「見掛け倒しでなけりゃいいがな」
ということで、早速オガワのグランドロッジ小平に実物を見に行ってきました(笑)。
基本SPEC
先ずは、基本SPECを押さえておきます。
【サイズ・重量】
大きさ(cm):幅570×奥行270×高さ200
収納時(cm):70x34x34
総重量:15.95kg (付属品除く、付属品:約5.01kg)
フライ:約3.2kg、インナー:約5.75kg、グランドシート:約1.7kg
ポール:約5.3kg
対応人数:最大8名
【素材】
フライ:ポリエステル75d(耐水圧1,800mm)
インナー:T/C、ポリエステル75d(入口部のみ)
グランドシート:ポリエステル210d(耐水圧1,800mm)
ポール:6061アルミ合金(φ14.5mm、φ13mm)、7001アルミ合金(φ8.5mm)
【付属品】
張り綱2m×10本、アイアンハンマー1丁、
スチールピン25cm×34本、収納袋
全長570cmというのは、アポロンの585cmに次ぐ大きさですし、付属品込みの総重量は20kgオーバーと、かなり大型なテントです。
フライやグランドシートの耐水圧は、他のオガワ製品同様1,800mmと必要十分。
インナーは、結露に強いテクニカルコットン(T/C)と、こちらも最近のオガワではお馴染みの素材です。
対応人数は、最大8名ですが、4~5人でゆったり使うのが、このテントに合っています。
独特の形状が魅力的なクーポラ
クーポラは、カテゴリー的にはドームテントに属しますが、9本のポールで構成される複雑な形状は、これまでにない斬新なデザインに仕上がっています。
最近のオガワらしく、シンメトリカルに拘ったデザインで、左右だけでなく前後にも完全にシンメトリカルに仕上げられています。
うーん、やっぱりゾックだ(笑)。
左右の腕の部分は、メッシュパネルになっているので、前後の入口と合わせて、全方向から風が入る構造になっています。
更に、天井部には大型のベンチレーションが設けられているので、通風性は抜群です。
ちなみに、インナーテントのベンチレーションは、メッシュパネルまで全て開けることができますが、フライシート側のメッシュパネルは開閉できません。
虫対策としてはこれで良いのですが、ここが空くと、煙突ポートの代わりに使えたのですが・・・残念!
出入り口部分は、中央にポールが入っているため、独特の形状をしています。
庇は、ポールで張りだす形状になっており、雨でも快適に使えるように配慮されています。
出入口は左右独立して開くようになっており、形状も特殊で、底辺のファスナーと、アーチ状のファスナーの2つが独立しています。
また、ファスナーを閉じる部分は、三角形のあて布が施されており、強い雨でも雨漏りすることは無さそうです。この辺の細かい作りは、流石オガワです。
シェルターとしても使えるドームテント
このテントの特徴は、見た目だけでなく、グランドシートがテント中央で2分割されており、様々なバリエーションが楽しめることです。
一般的なドームテントは、グランドシートがインナーテントと一体化しているため、取り外すことができませんが、このテントはグランドシートを取り外して、シェルターのような使い方ができます。
グランドシートは、トグルをインナーテントのリングに留める形になっており、半分だけシートを敷いてツールームのような使い方をしたり、中央を開けて土間にしたりと、工夫次第で様々な使い方ができます。
グランドシートは、バスタブ状になっており、インナーテントのスカートを内側に折り込んだ上に取り付けることで、密閉性を高めています。
ただ、構造上、どうしても中央で2分割されてしまうため、全面にインナーシートを張った場合、中央のバスタブの立ち上がりが少し気になります。
クーポラのメリット・デメリット
さて、クーポラについて一通りレビューしましたので、メリット・デメリットについても少し解説しましょう。多少、私の独断と偏見が入っていますが、そこはお目こぼしを(笑)。
メリット
ありそうで無かった超大型ドームテント
着脱可能なグランドシート
抜群の通気性
見た目と実用性を兼ねた唯一無二のデザイン
デメリット
設営に時間がかかる
フライシートを跳ね上げられない
スカートが無いので真冬は寒いかも
では、細かく見ていきましょう。
ありそうで無かった超大型ドームテント
これまでも様々なドームテントが、各社から販売されていますが、8人対応というのはかなり大型で、珍しいサイズでもあります。
天井高は最大2m近くありますし、左右に下がっていきますが、端でも約1.2mの高さが確保されているため、内部はかなり快適です。
張り出した肩の部分だけでも大人2人が寝られる。 |
ワンポールテントは、大きさの割には有効活用面積が小さいですが、クーポラはその独特のデザインと相まって、最大限に活用できるのが良いです。
特に、全面にフロアシートを張った場合、その広さは相当なもので、小さなお子さんなら4~5人で遊べる広さが確保できます。
着脱可能なグランドシート
抜群の通気性
オガワのテントは、どれも通気性を重視した設計になっていますが、クーポラも同様で、特に大型のベンチレーションが特徴的です。
特に夏場は、暑い空気が幕内に溜まりやすいですが、この構造であれば、風が少なくても暑い空気がベンチレーションから自然に抜けていきます。
見た目と実用性を兼ねた唯一無二のデザイン
散々ゾックとか言っといてなんですが、この唯一無二のデザインは、キャンプ場でも目立ちますし、左右独立して開く入口など、遊び心も満載です。
勿論、通気性やセパレート式のグランドシートなどは、実用性も兼ねていますから、特に小さな子供のいるファミリーには最適なテントと言えるでしょう。
設営に時間がかかる
さて、デメリットですが、一番はやはり設営に時間がかかることでしょうか。ポールが9本もあるため、2人がかりでも30分程度はかかります。
ただ、各ポールは色分けされており、ポールを固定するハトメも着色されているので、手順さえ覚えてしまえば、ポール数の割には迷わずに組み立てることができます。
フライシートを跳ね上げられない
これは、独特の形状の裏返しではあるのですが、通常のドームテントのように、フライシートを跳ね上げて、簡易のタープのような使い方ができません。
そもそも、出入口部分にはフライシートが無いので、跳ね上げる以前の問題ですが(苦笑)。
スカートが無いので真冬は寒いかも
これも、デザイン性の問題で仕方が無いのですが、フライシートにはスカートがありません。そのため、冬場の防寒性には劣ります。
また、前述の通り、出入口部分はフライシートが無いので、そこだけシングルウォールになっています。
インナーテントとフロアシートの結合部分に関しては、バスタブ状になっているので密閉性は高いですが、完全に隙間風をガードできるかというと微妙です。
以上のことから考えると、真冬は本格的な4シーズンテントに比べると、やや寒いかもしれません。
まとめ
さて、メリットとデメリットを見ると、クーポラのキャラクターが見えてきます。
独特のデザインと、フロアアレンジも含めた遊び心は、ファミリー向けと言えます。他人と被らないデザインは、子供にとっては楽しいだけでなく、自分のテントを見つけやすいというメリットもあります。
スカートが無いことをも、デメリットと捉えるよりは、泥で汚れることもなくメンテナンス性が良いと考えればメリットですし、通気性の良いこのテントは、むしろ夏に最大の威力を発揮するように設計されていると言えます。
そう考えれば、いっそのことフライシートを使わずに、インナーテントだけで使うのもアリかと思います。
出典:ogawa |
天井の大口径ベンチレーションは、メッシュスクリーンを全開にできますから、ここから星を眺めるなどという使い方が一番かもしれません。
出典:ogawa |
小学生ぐらいのお子さんがいるファミリーであれば、普通は氷点下の冬キャンプはやらないでしょうから、むしろ、クーポラを3シーズンテントとして割り切って使うのが、最もこのテントにあった使い方だと思います。
以上、クーポラは・・・
ゾックに似ているとは言え、決して見掛け倒しのテントではありません!!