先日、スーパーに行った時のこと、イベリコ豚のでっかいバラ肉が売っていました。
イベリコ豚は、ドングリを中心とした餌で育てられたスペイン産の黒豚で、最高級の生ハム「ハモン・イベリコ」にも使われています。スペイン産の生ハムと言えば「ハモン・セラーノ」が有名ですが、使用している豚は普通の白豚です。一方、ハモン・イベリコは、希少性の高いイベリコ豚を使っており、ハモン・セラーノより熟成期間も長いため、流通量が少なく滅多にお目にかかることはありません。
さて、ハモン・イベリコは、後足のモモ肉を使いますし、2年以上の熟成期間が必要ですから、素人の私に自作は到底ムリですが、ベーコンなら何とかなります。
約1kgもある豚バラ肉、しかもイベリコ豚とくれば、これはもう「ベーコンを作りなさい」という神の啓示に違いないということで早速購入。
黒豚特有の濃い赤身が綺麗で、脂のサシも良い感じです。
では、ベーコンの作り方から焚火を使った燻製方法まで、解説していきたいと思います。
自家製ベーコンの作り方
自家製ベーコンは、それほど難しくはありません。
塩とハーブを擦り込んで1週間ほど寝かせ、塩抜きをしてさらに1週間ほど乾燥させた後、燻製するだけです。
材料
- 豚バラ肉 1kg前後
- 塩 50g(肉の重量の5%)
- ハーブ 各大さじ2~3杯
ハーブは、ローズマリー、ホワイトペッパー、セージ、タイム、コリアンダーがおすすめですが、クレイジーソルトやハーブペッパーを使うとより簡単に作ることができます。
1.肉に穴を空ける
最初に、バラ肉に味がなじみやすいように、フォークで小さな穴を空けていきます。
穴は、表側と裏側の両方に空けます。
2.塩とハーブを肉に擦り込む
肉にまんべんなく、塩とハーブを擦り込んで行きます。塩とハーブは、予めボールに入れて混ぜておきましょう。
より本格的にソミュール液を作って、漬けるという方法もありますが、塩とハーブを刷り込んだだけでも充分に味は付きます。
3.寝かす
バットに網を敷いて肉を入れ、ラップをして冷蔵庫で1週間寝かします。
最初の数日は、肉から水が出ますので、1日1回バットに溜まった水を捨ててください。その時に、上下を入れ替えてやると、均等に水分が抜けます。
4.塩抜きをする
大きなボールや鍋などに水を張り、肉を浸けて4時間から8時間ほど塩抜きします。
塩は、思った以上に抜け難いので、1時間おきに水を替えます。
4時間程度では、塩気が強いベーコンに仕上がりますので、市販のベーコン並みを目指すなら6~8時間程は塩抜きが必要です。
塩辛さが気になる場合は、端を切ってよく焼いて味見するのがベターです。
5.水気をペーパータオルでふき取る
塩抜きが終了したら、ペーパータオルで水気をよくふき取ります。
全体的にふき取れたら、ペーパータオルを肉全体にしっかりと密着するように押し付け、それを3枚ほど重ね合わせます。
この状態で、バットに移し、冷蔵庫の中で数時間おくと、塩抜きの水が完全に抜けます。より水気が取れやすいように、途中で上下を入れ替えましょう。
6.乾燥させる
肉から更に水気を抜くために、1週間乾燥させます。気温10度以下で適度に風があたる場所に吊るして乾燥させるのが一番良いのですが、自家製ではそこまでできませんので、冷蔵庫の中で乾燥させます。網を敷いたバットに乗せて、乾燥を促すためラップはしません。
できれば、冷蔵庫内の空気吹出し口付近に置くと、乾燥しやすいです。
乾燥前 |
乾燥後 |
1週間乾燥させると、熟成が進んで肉の色が濃くなります。
7.燻製する
最後は、60~80℃で3時間ほど、燻製します。燻製チップは、桜が一般的ですが、クルミやヒッコリー、ウィスキーのオーク樽などもおすすめです。
燻製器を使うのが普通ですが、焚火料理が大好きな私は、焚火を使って燻製にしていきます。
焚火台は、モンベルのフォールディングファイヤーピット、焚火ハンガーは、37キャンプのファイヤーラックハンギングとBBQスキュワー。
薪は、今年の春に割った桜の大割。
薪割してから8ヶ月ほどですが、日当たりの良い南側に積んでいたので、乾燥も十分。
良く燃えます。
と言うか、燃えすぎて煙が殆ど出ません(苦笑)。
スモークウッドを入れても、煙が立たず、燃えてしまう始末。
(T T)
しかも、フォールディングファイヤーピットは2次燃焼の機能が搭載されているので、元々煙の少ない焚火台なのです。燻製目的であれば、あえて燃焼効率の低い焚火台を使うべきで、今回は完全に選択を間違ってしまいました(苦笑)
とまあ、しょうがないので、別の方法を考えます。
ファイヤーラックのロストルに、軽く火が付いた薪を乗せて、それで燻すことに。
チョットおバカな感じですが、燻製にならないと意味が無いので仕方がありません(笑)。
ということで、燻すこと3時間。
十分に色が付いたところで、遠火で中までじっくり火を通して仕上げ。
「焼けたよー」と娘も大はしゃぎ。 |
良い感じで出来上がりました!!
早速、切って食べてみると・・・
(゚д゚)ウマー
本当は、燻製の香りが落ち着くまで、3~4日冷蔵庫で寝かせた方が良いのですが、出来立てのベーコンも旨い!!
こちらも自家製のクラフトコーラ。これで作ったハイボールと、塩気の効いたベーコンがサイコー!!
この日は、ベーコンを肴に、ハイボールと、ホットウィスキーを飲み過ぎてしまい、翌日は二日酔いで頭が痛かったです(苦笑)。
クラフトコーラは、ホットウィスキーに入れても美味しいので、冬キャンプには超おすすめです!
翌日は、自家製ベーコンを、イングリッシュマフィンに挟んでベーコン・エッグ・チーズ・バーガーに。
こちらも、ベーコンの塩気だけで十分いけました。
いやー、ホンマに旨いわー。
燻製の種類について
今回は、焚火で遠火で火を通しながら燻製にしましたが、本来の燻製についても簡単に紹介しておきます。
燻製には、比較的高温で食材に火を通しながら燻(いぶ)す温燻(おんくん)と、食材に火が通らないように30℃以下で燻す冷燻(れいくん)、80℃以上で短時間燻す熱燻(ねっくん)の3種類があります。
ベーコンの場合は、そのままでも食べられるように、肉の温度を70℃以上にしてしっかりと火を通す必要があるため、温燻にします。
冷燻は、燻製の香りをつける事を目的にしており、しっかりと風乾させたアマゴやヤマメなどに向いています。高温になると、食材に火が通ってしまうため、大型の燻製器が必要なので、ハードルが高いのが難点です。
熱燻は、燻製の香りづけと同時に食材に完全に火を通すことを目的とした燻製で、燻製と言うよりは調理方法の一種と言えます。塩漬けや風乾といった前処理が必要ないので、簡単に燻製料理を楽しめるという利点があります。
調理方法は簡単で、塩やハーブ等で下味を付けた肉や魚を、網で上げ底したダッチオーブンに入れ、底にアルミ箔を敷いて燻製チップを入れ、弱火で20~30分間蒸し焼きにするだけです。これだけでも、かなり本格的な燻製料理になりますので、ベーコンのように手間をかけるのはチョットという方は、先ずは熱燻に挑戦してみてください。
以上、自家製ベーコンの作り方でした。
焚火で燻すのに、私はBBQスキュワーを使いましたが、トライポットにS字フックを使って吊るすなど、色々な方法がありますので、手持ちの焚火ギアでトライしてみてください。
仕込みの手間は多少かかりますが、それほど難しくないですし、焚火を使って楽しく調理できるので、キャンプのレクリエーションとしてもおすすめです。