コールマンを代表する製品は何かと言えば、やっぱりランタンでしょう。
ランタンは、ロゴにも取り入れられている通りコールマンにとっては代名詞のようなものですが、創業者のWilliam Coffin Coleman(ウィリアム・コフィン・コールマン)は、元々タイプライターのセールスマンでした。そんなある日、当時ようやく市場に出回り始めた加圧式ガソリンランタンと出会い、その良さと将来性を見込んだコールマンは、ランタンのセールスへと転身します。
ところが、当時のランタンは、まだまだ品質が悪く、壊れやすかったため、売上は伸び悩みました。
そこで彼は、1900年に、現在のコールマンの前身となる「ハイドロカーボン・ライトカンパニー」を設立し、1週間1ドルでランタンのリースを開始、壊れた場合は無償で修理することにしました。このサービスは当たりましたが、修理が大変だったそうです。
その結果、より品質の良いランタンが必要となり、ランタンの開発・製造にも着手、1905年には、コールマン・アーク・ランプをリリースします。これは、フットボールのナイトゲームの照明に採用されるなど、大きな成果を上げました。
以来、120年に渡って、加圧式ランタンを作り続けてきたコールマン。今でも大手メーカーとしては唯一、ランタンを自社生産し続けています。
前置きはこの辺にして、本題に入りましょう。
コールマンのガソリンランタンで現在レギュラー販売されているのは、286A、290A、ノーススターの3種類です。
米国では、これ以外に自動車用ガソリンとホワイトガソリンの両方が使用可能なツーマントル デュアルフューエルランタン(285A)とパワーハウス デュアルフューエルランタン(295A)、ケロシン(灯油)専用の639Cがありますが、日本ではコールマンジャパンでの取り扱いは無く、直輸入品がAmazonや楽天で販売されています。
他に、毎年数量限定で販売されているシーズンズランタンがありますが、こちらは転売ヤーが多くて困ります(苦笑)。
さて、近年のキャンプブームもあってか、コールマンのランタンも急激に売り上げが伸びているようで、アウトドアショップの店頭でも殆ど見かけなくなってしまいました。特に、エントリーモデルの286Aは、コールマンジャパンのオンラインショップでさえ、今年に入ってから売り切れが続いており、とても入手が困難になっています。
私は、これまでケロシンランタンを使ってきたので、ガソリンランタンは持っていませんでした。ところが今年、
ガソリンバーナーを導入したのをきっかけに、ガソリンランタンも欲しくなってしまいました。そんなことで、286Aをずーっと探し続けていた訳ですが、先日コールマンの直営店でやっと入手することができました。
コールマン 286Aの概要
286Aは、構造がとてもシンプルなワンマントルランタンです。
支柱兼チムニーに真鍮製のジェネレーターが挿入されており、傘状のミキシングチューブでチムニーを通して下から入った空気と、ジェネレーターで気化されたガソリンが混合され、ノズルから吹き出します。
最新モデルのノーススターは、自動点火装置が付いていますが、286Aは昔ながらのマッチによる直接点火です。これを、古臭いと云うかノスタルジックと云うかは意見の分かれる所ですが、私はやはりシンプルな構造というのが故障に強いという点から、直接点火を支持しています。
ポンピングに関しては、コールマン共通のチェックバルブ付きポンプですから、非常に効率よく空気を入れることができます。私も、加圧式のバーナーやランタンを永らく使ってきましたが、コールマンのポンプが一番トラブルが無く、使いやすいです。
ポンプノブを、左に回すとポンプとタンクをつないでるチェックバルブが開き、タンク内に空気を入れることができるようになります。
ポンピングは、ガソリン満タンで20~30回程度で、ポンプがかなり固くなったら終了です。
ポンピング中は、中央の穴を指で押さえておきます。 中央の穴は、ポンプ内の空気が抜ける穴になっているので、ここを押さえないでポンピングすると、この穴から全部空気が抜けてしまいます。
尚、ポンピング終了時にポンプノブを戻す場合は、ノブを押し込む時に穴を開いた状態で押し込めば、ポンピングの空気が抜けてスムーズに押し戻すことができます。
あとは、ポンプノブを右に回してチェックバルブを閉じます。
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左からHK500用、639C用、286A用のマントル。 |
マントルは、HK500や639Cといったケロシンランタン用に比べれば、かなり小ぶりです。まあ、出力としてはケロシンの方が高火力ですから、ガソリンはこれぐらいの大きさが適正なのかもしれません
本体の大きさも、639Cより一回り小さく、タンク容量も590mlと少なめです(639Cは950ml)が、これでも7.5時間は持ちます。
明るさは、350CP相当の639Cに比べれば少し暗いですが、200CP(130W)相当ありますから、ヘタなLEDランタンよりも明るいです。
286Aは、プラスチック製のハードケースが付いてくるため、持ち運びにも便利です。
台座の底にはくぼみがあり、そこにマッチや予備のマントルを入れることができます。
マントルの装着と空焚きの注意点
マントルの付け方は、あまり迷うことは無いかもしれませんが、一応記載しておきます。
ノズルには、リング状の突起部が2つあるので、その間にマントルを取り付けます。
次に、マントルの紐を結びます。私はいつも固結びを2重にしています。
実は、私はこれまでケロシンランタンを使ってきたので、マントルの空焼きだけを行ったことがありませんでした。ケロシンの場合、アルコールによるプレヒートが必須となるため、プレヒートと同時にマントルの空焼きができるからです。
いつも、着火にはSOTOのポケットトーチを使っているので、マントルの着火にも使ったのですが、これが大失敗!
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ガストーチでマントルを炙ろうとする私。この後、悲劇が襲う。 |
何と、ガストーチの炎の勢いで、マントルに穴が空いてしまいました!
皆さんも、お気をつけください。
マントルの空焼きはマッチかライターを使いましょう(苦笑)。
給油にはガソリンフィラーがおすすめ
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コールマン純正のホワイトガソリン1L缶にガソリンフィラーを取り付けた状態。 |
ホワイトガソリンの給油についてですが、私はコールマンのガソリンフィラーを使っています。ケロシンランタンにはフューエルファネルを使っていますが、ホワイトガソリンを使う286Aには、ガソリンフィラーの方が便利です。
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コールマンのフューエルファネル。しっかり挿し込んでおけば、こぼれることなく満タンまで入れることができる。 |
と言うのも、ガソリンフィラーは、コールマンのホワイトガソリン缶に合うサイズに作られているため、缶の口にねじ込むだけで簡単に給油できるからです。
コールマン純正のホワイトガソリンは、ブリキ缶に入って売っていますので、そのままフューエルボトルとして使用可能です。しかし、缶の口は注ぎやすい構造にはなっていないので、フューエルファネルを使うより、ガソリンフィラーを使った方が注ぎやすいのです。
ガソリンフィラーの注ぎ口をしっかりとタンクに挿入して、フィラーを押し込むと、ガソリンが入ります。満タンになれば、給油が自動的にストップします。
また、フィラー内にストッパーが設けられているため、ひっくり返しても漏れないので、ガソリンを安全に給油することができます。
点灯・消火について
286Aを点灯する時は、先に火を点けたマッチやライターを、下の穴からホヤの中に入れ、その後バルブを全開まで開きます。
点火時は、勢いよく炎が上がりますが、5~10秒程度で火が落ち着き、マントルが光りだします。
その後、追加でポンピングしてマントルの光が安定すれば終了です。
この手順、ガソリンランタンを使用しているユーザーにはお馴染みでしょうが、私のように普段ケロシンランタンを使っている人は、かなりビビると思います。と言うのも、ケロシンランタンは、しっかりとプレヒートすることが前提となっており、点火時に炎上するのはプレヒート不足を意味するからです。
私も最初は、どうしても派手に炎上してしまうため、手順を間違ったかと思ったのですが、コールマンのオフィシャルサイトを見て、炎上するのも手順の一つと知って、納得しました。ガソリンは、ケロシン(灯油)に比べて気化しやすいので、最初の炎上でジェネレータが暖まれば、直ぐに正常運転になります。
ホワイトガソリンは、生ガス状態で炎上させても煤が少ないこともあり、プレヒートを省略しているわけですが、個人的にはどうかと思います。
正直、この点灯時の炎上、何度やっても気分的には慣れないです。
それに、いくら煤が少ないとはいえ、炎上状態ではそれなりに煤が出るので、ベンチレーター周りは煤で黒くなります。
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トップフードの裏側は煤で真っ黒! |
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ベンチレーター周りも煤だらけになるので、個人的にはかなり気になる。 |
うーん、ケロシンランタン用のプレヒートカップを追加するかなー。
消火については、バルブを閉じればOKです。ジェネレーター内のガソリンが残っているので、暫くは燃え続けますが、じきに消えます。
その後、タンクが冷えたら、タンクの給油キャップを回してタンク内の圧力を抜いておきます。
キャップの内側には、溝が彫られているため、キャップを完全に外さなくても圧力が抜けます。
使ってみて気付いたこと
購入してからキャンプで何度か286Aを使ってみましたが、ガソリンはやっぱりケロシン(灯油)に比べてラクです。プレヒートが不要なのもありますが、一番はやっぱり匂いです。灯油は、匂いがきついですし、常温では気化しないので、手に付いたら拭き取るのも一苦労。ランタンを点ける夕方は、晩御飯の下ごしらえをしていることが多く、灯油を入れたりするとどうしても手に付くので、食材を触る前に手を洗いに行かなければいけません。
石油は、油に近い性質があり水をはじくため、石鹸でしっかり洗わないと取れないのも難点です。
一方、ホワイトガソリンは、常温でも直ぐに気化し、気化後は手に残りませんから、こぼしても気にしなくて良いです。ホワイトガソリンは、染み抜きなどに使われるベンジンと同じ成分ですから、衣類についても匂いは残りません(色落ちはしますので注意は必要!)。
ただ、燃費に関しては、ホワイトガソリンが1Lで800~1000円に対し、灯油は80~90円と、10倍以上の差がありますから、頻繁にキャンプで使うと、結構サイフに響きます(T_T)。
まあ、これは最初から分かっていたことなので、バーナーと燃料を共通化する時など、キャンプ装備の組み合わせを考えながら使っていきたいと思います。
マントルが黒くなる原因
さて、私が1つハマったことがあります。 使っていると、何故かマントルが黒くなるのです。
黒いのは、ガソリンの煤が溜まっているのですが、煤が溜まった部分は発光が悪いため、全体が暗くなってしまいます。
マントルに煤が溜まるのは、ケロシンでも、ヴィンテージランタンなどでは、たまにあるのですが、新品で購入した286Aなのに、マントルを取り替えても直ぐに黒くなってしまいます。
色々と試行錯誤した結果、どうもコレ、マントルに僅かな歪みがあるようです。マントルの歪みによって、網の穴に大小ができてしまい、火が均一にならず、ムラになった部分に煤が溜まっているのです。
原因は、点火時に、炎上する度に私がビビってバルブを閉じてしまったことにあり、バルブの開閉を繰り返すことで、火が点いたり消えたりするうちにマントルが歪んでしまったようです。
ペトロマックスのHK500を始めとするケロシンバーナーに慣れた私にとっては、炎上は天敵ですから、なるだけ炎上しないように点けようと無意識に火力調整を繰り返してしまっていたのです(苦笑)。
その後、炎上を無視してバルブ開きっぱなしにするようにしてからは、ヘンに煤が溜まることは無くなりました。
皆さんも、286Aはビビらずに炎上上等でいきましょう(^_^;