先週の山中湖に続き、今週は銚子川に行ってきました。
銚子川は、三重県の紀北町を流れる川で、日本の清流の中でも有数の透明度の高さを誇っています。銚子川の源流は、奈良県と三重県にまたがる大台ケ原で、最大標高1695mの山々に年間5000ミリもの雨が降る、日本有数の降雨地域です。私は大台ケ原には何度か行ったことがありますが、朝は晴れていても、じきに霧が立ち込めてきて雨が降るぐらい、天候の変化が激しい山です。
そんな山を源流に持つ銚子川は、直接降った雨だけでなく、大台ケ原を中心とする山々からの伏流水が川の中で湧き出ており、それが無類の透明度につながっています。
週末の連休に、所用で大阪に戻った私たち家族は、折角なので東京への帰りに銚子川に立ち寄りました。
目的は、もちろん先日衝動買いしたパックラフト(笑)。
銚子川の河口付近は、川幅が広く流れも穏やかなので、パックラフト初心者でもダウンリバー(川下り)を楽しむことができます。
この日は、河口からの風が強かったので、ダウンリバーとはならず、むしろ上流へ押し戻されるぐらいでした。
幸か不幸か天候にも恵まれたため、日照りの暑さが、川風の冷たさで和らぎ、とても気持ちの良いひと時を過ごすことができました。
私たちは、「種まき権兵衛の里」という施設の駐車場を利用したのですが、その施設の上流側は瀬が浅く、軽いホワイトウォーター状態。
そこで、パックラフトでちょっとしたダウンリバーを体験。
パックラフトは、ゴムボートに近い構造のため、水上を滑るように進みますから、浅い瀬でも比較的安全に下ることができます。
娘も、ちょっとしたホワイトウォーター体験に「おもしろかった!」と興奮気味。
「もっかいやる?」と聞くと、「めんどくさいからもうええ。」
軽いとはいえ、パックラフトを担いで河原を歩くのはしんどいので、娘は一言で拒否(苦笑)。
まったく、この根性ナシは誰に似たのか・・・
さて、その後、再び下流の川幅が広い所でパックラフトを楽しんだ私たち。
条件が良ければ、パックラフトが空中に浮いているような写真が撮れるのですが、今回は断念。
まあ、清流を楽しめたので良しとします。
それにしても、BBQ等を目的とした人の多さにはびっくり(閉口)しました。
銚子川は、交通の便が悪くマイナーな川だったのですが、ここ数年で随分とレジャー客が増えたようです。どうも、2018年にNHKスペシャルで取り上げられたのがきっかけで、一般に知られるようになり、紀勢道の開通と相まって、大阪や愛知・静岡方面から大勢の客が来るようになった模様。
川沿いの堤防などには、車が所狭しと駐車されており、河原の至る所にタープが建てられていました。また、川に沿った道路沿いは、数キロに渡って注意看板とテープで駐車禁止とされており、要所には警備員が配置されていました。おそらく、急激にレジャー客が増え、トラブルが多発したのでしょう。
種まき権兵衛の里の駐車場 |
私たちが利用した種まき権兵衛の里の駐車場ですが、その周辺で勝手にキャンプをする輩が後を絶たないようで、施設の至る所に「ここはキャンプ場ではありません」「キャンプ禁止」と書かれていたり、トイレには「食器を洗ってはいけません」などの張り紙がしてありました。
駐車場にある売店とトイレ。周囲には「キャンプ禁止」の張り紙が。 |
河原でのBBQについては、キャンプブームが再燃する以前から、問題が散見されていました。私が長年通っている東吉野村には、小さな平野川という川があるのですが、以前はホタルやカジカガエルがいるとても美しい川でした。ところが、最近はホタルの数が減り、もう10年以上私は見ていません。また、以前はカジカの鳴く声がうるさくて夜も眠れないぐらいの勢いだったのですが、今では、ちらほら聞こえる程度になってしまいました。
水質が変わったのは、上流の護岸工事など、様々な理由があるのでしょうが、河原でのBBQなども原因の一つではないかと私は思っています。GWやお盆休みだけでなく、週末となれば平野川沿いの道路に数十台の車が停まっていることを目撃するようになったのは、ここ10年ぐらいだと思います。河原には、トイレや炊事施設などありませんから、川の水で食器を洗ったり、そのへんで用を足したりする輩もいることでしょう。そういった行為が、河川の水質に少なからず影響を与えていることは、科学的に因果関係を明らかにするのは難しくても、想像に難くありません。
一部の地区では限界集落と言われている東吉野村が、BBQ中心のレジャー客で賑わっているというのは皮肉な話です。
銚子川の話に戻すと、BBQ目的のレジャー客が増えると、必ずゴミ問題が起こりますので、清流が汚されてしまうことが心配されます。
んんー。
そんなにBBQしたいなら、普通のキャンプ場に行こうよ。
ここは、清流を楽しむだけにしようよ。
マナーの悪さだけでなく、環境保全の観点からも、米国の国立公園並みの入場規制が必要と感じた銚子川でした。