発売が大幅に遅れていたスノーピークの焚火台SRが、ようやく販売開始されました。
出典:スノーピーク |
焚火台SRが発表されたのが、2019年末。スノーピークの2020年カタログに掲載され、私も、スノーピークが満を持して発売するソロキャンプ用焚火台ということで、大いに期待していました。
2020年は、焚火台の当たり年で、ソロ向けも、ベルモントのTABIを始め、ユニフレームのファイアグリルsoloなど、様々な焚火台が発売されました(詳しくはこちら)。
ところが、肝心の焚火台SRは、いつまで経っても発売されず。
そうこうしているうちに、2021年のカタログが届いたので確認したところ、しれっと焚火台のページに掲載されているではありませんか。
知らない間に発売されたのかと思い、急ぎスノーピークのオンラインストアを確認したところ、未だ発売されておらず、どないなっとんねんと独りで突っ込んでいました(笑)。
そこで、去年の年末にヘッドクォーターズでキャンプをした時、さすがに本社直営のショップなら売っているだろうと、店内をくまなく探すも見つからず。仕方が無いので、店員さんに聞いたところ、2021年春頃には発売予定と聞いて、「1年遅れか~」とガックリ。当初予定より大幅に遅れているのは、社内のテストに合格しなかったため、設計から見直しているからだとの話を聞き、スノーピークらしい拘りにむしろ感心してしまいました。
さて、ようやく発売となった焚火台SR。私も直営店で早速確認してみましたので、詳細をレビューしていきたいと思います。
焚火台SR。写真はオプションの「焼き網ステンレスハーフPro.」をセットした状態。 |
第一印象は、思ったより少し大きいでした。ソロ焚火台は、コンパクトな製品が多く、長辺が30cm未満の物が多いのですが、焚火台SRは40cm以上あります。
市販の薪は、規格が決まっている訳ではありませんが、短めの物で35cm、標準的な物で40cm程ありますから、薪をすっぽり収めるためには、長辺が40cm以上必要となります。スノーピークは、そこに拘ったようで、ルーズに薪を燃やしても地面には落ちないようにと、薪が完全に収まるサイズに作ったのでしょう。
次に、焚火台SRを持ち上げてみると、重っ!と思わず声をあげてしまいました。
見た目から想像するよりずっと重く、総重量4.3kgもあります。
これは、悪い意味では無く、流石はスノーピーク。ソロ向けと言えど耐久性に振り切った結果と言えます。
火床のステンレス板の厚みといい、折り畳み部分に使われているステンレス棒の太さといい、ベストセラーの焚火台譲りの質実剛健さは、将にスノーピーク(笑)。
オプションの焼き網もステンレス製で、BBQ網は消耗品という固定概念を吹き飛ばす出色の出来です(高いですが・・・苦笑)。
展示されていた焚火台SRを分解しようとした時のこと、どうやって分解するのかちょっと迷いました。
火床は、フレームにガッチリ固定されているため、外そうとしてもウンともスンともいいません。
暫く構造を観察してみたところ・・・
ベースプレートを外すんか!
横から見ると、フレームが台形状になっており、下のベースプレートが台形の底辺となっており、フレームを留める構造になっています。
ベースプレートを外した状態。 |
ベースプレートが、灰受け・輻射熱の遮断・フレームの一部と3役を兼ねているのです。
よく考えたな~
折り畳めばそれなりにコンパクトになる。 |
さて、1年以上遅れた理由を少し探ってみましょう。
先ず、トップのフレームは、棒状の物からL字に変更されています。
またフレームの接合部分は、三角形の補強が施されており、溶接強度が上げられています。
火床とフレームの連結部分は、特に変化は見られませんが、メインフレーム自体の幅が少し太くなっているようです。
火床との連結部分のすぐ下には、横フレームが追加されており、剛性が高められています。
ベースプレートと連結される下のフレームも、トップ同様、L字に変更されています。
どうやら、社内のテストが通らなかったのは、このフレーム周りに理由がありそうです。きっと、ダッチオーブンを乗せたら曲がっちゃったんじゃないかな~などと想像するのが楽しいです(笑)。
ベースプレート自体は、あまり変化が無さそうですが、プレート周囲の曲げ加工が強化されているようにも見えます。
フレーム以外の違いについては、火床にプロトタイプでは無かった、細いスリットが入れられています。
マニュアルを確認してみると、これは、ひずみ防止と燃焼効率アップのために設けられているとのこと。
以上、焚火台SRは、発売まで1年以上の時間をかけただけのことはある製品に仕上がっています。
一般的に、ソロ向けの焚火台は、コンパクト化・軽量化のためにワイヤーフレームやステンレスメッシュを採用した物が多く、耐久性の面では難があります。その点、焚火台SRは、オールステンレス製で、総重量も4.3kgと、焚火台Mの3.5kgを凌ぐ程ですから、最強クラスの強度と耐久性を誇ります。
オプションではありますが、焼き網や深底のグリルプレートなどを使えば調理も可能ですし、台形型のブリッジ構造は、工夫次第で様々な利用法が考えられ、独自のカスタマイズを楽しむことができる玄人志向のデザインと言えます。
一方で、高い位置にある火床や、熱対策を兼ねたベースプレートなど、自然への配慮もされたこの焚火台は、初心者からベテランまで安心して使える焚火台でもあります。
サイズは、480×265×385(h)mmと、ソロ向けには少し大きく、収納サイズも、455×265×60(h)mmと他の製品に比べればコンパクトとは言い難いですが、オートキャンプであれば問題無いサイズでしょう。
さて、べた褒めになってしまいましたが、良い製品には違いないので、ソロ・デュオにおすすめの焚火台になります。
そんなに言うならお前が買え!
と言われそうですが・・・
実は、待ちきれずにこれを買ってしまいました。
モンベル フォールディングファイヤーピット |
スノーピークさん、
ごめんなさい!