本日、ゆるキャン△ VIRTUAL CAMP ~本栖湖編~が発売となったので、早速プレイしてみました。
ゆるキャン△の詳細は割愛しますが、2018年にアニメが放送されて爆発的にヒット、アニメファンからキャンパーまで、幅広く支持されたマンガ・アニメ作品です。
この、ゆるキャン△ VIRTUAL CAMPは、原作やアニメの本編には直接関係ありませんが、登場キャラの「各務原なでしこ」と「志摩リン」が、2人で本栖湖の洪庵キャンプ場に行くという設定です。
私が購入したのは、PS4版。ゲームシステムの詳細などについては、ゲーム専門サイトに任せるとして、私はあくまでキャンパー目線でプレイ感をお伝えしたいと思います。
※注意!ここからはネタバレ有り。
先ずは、プレイ始めの冒頭。
3月4日は「なでしこ」と「あおい」の誕生日だそうです。アニメは全編観ていますが、そんな細かい設定までは覚えていませんでした(笑)。
で、ゲームプレイ後、その日放送のアニメ版を見ると、誕生日のエピソードが入っていて納得。それにしても、ゲームの発売日は比較的簡単に合わせられるでしょうが、アニメの方は、放送回を3月4日に合わせて放送スケジュールを調整していたのでしょうか・・・。だとしたらかなりスゴイ!
ちなみに、後日確認してみると、原作マンガにも誕生日が3月4日という同じエピソードが出てきますから、アニメ用に創作した訳ではなく、制作側の熱意と言うか執念を感じます(笑)。
最初に、SNSでなでしこがリンちゃんをキャンプに誘う展開。アニメでも度々こういったシーンが出てきますので、ゆるキャン△ ファンにとってはなじみ深いカットです。
次のカットで、洪庵キャンプ場に到着し、記念撮影。
この辺は、入場手続きのシーンとか、上から本栖湖を見渡すシーンが欲しかったところです。
記念撮影が終わると、チェアに座ってまったりするシーン。ここでは、リンちゃんと喋ったり、飲み物を飲んだりすることができます。マグカップに視線を合わせると、ドリンクを飲むかどうかの選択肢が出てくるのですが、その後のバーナーでお湯を沸かすシーンはカットされており、暗転して音声のみとなります。
むむーっ。SOTOのウィンドマスターを使いこなすシーンが無いというのは、キャンプ感の点では盛り下がります(-_-)
あとは、本栖湖畔に近づいて、富士山の写真を撮ったりすることができます。
テーブル脇には、松ぼっくりが落ちていて、視線を合わせると、「コンニチワ!」。ゆるキャン△の定番です(笑)。
視線を薪に合わせると、焚火ができるのですが・・・
やっぱり、火熾しの部分はカットされています。焚火は、あの点火の瞬間がドキドキして一番楽しいのに!
どうやら、このゲームを作った関係者は、キャンパーとしてはド素人のようです(-_-メ)
焚火の次は、晩御飯。
料理のレシピは、大塚明夫さんのナレーションで詳細に紹介されます。この辺は、ゆるキャン△を意識して作り込まれています(といっても静止画ベースですが)。
で、調理シーンはカットされて、食事シーンへ。
リンちゃんが、旨そうにカレーを食べています(笑)。
食後は、星空を見上げたりできます。
んん?なんか星空が微妙です。天の川がありません。これぐらいはちゃんと描こうよ。
あとは寝て翌朝。
富士山が綺麗です。
SNSでみんなに写真を送って終了。
最後に、ゆるキャン△お約束の、冬キャンプの注意事項が表示されます。
プレイ時間は、ざっと30分ほどです。
ここからは、私の感想ですが、先ず、ボリューム感が少ないです。
ロケーションとしては、テント周りと、湖畔際の2つしかありません。
テント周辺 |
湖畔からキャンプ場入り口方面 |
洪庵キャンプ場の場内は広く、高台になっている施設近辺にも林間サイトがあり、今回のテントサイトの裏側にも、松林が広がっています。湖畔がメインのキャンプ場ではありますが、色んなロケーションが楽しめるキャンプ場ですから、もう少し、場内全体を歩くことができればよかったのにと思います。
次に、薪集めです。
洪庵キャンプ場は、場内の伐採木を自由に使えるので、それを拾い集めて焚火をするのが一番のアクティビティなのですが、そのシーンがありません。これは、ゆるキャン△第1話でも入っているシーンですから、林間で薪拾いするシーンは欲しいところです。
私も、このキャンプ場では、折り畳みノコギリとキャンプ斧を片手に、伐採木から薪を切り出すのがルーティーンになっているので、それが再現できないのは残念です。
そして、キャンプ全体の再現性です。
バーナーでお湯を沸かす、焚火を熾す、コッヘルやフライパンを使って調理するなど、要所要所の動作が全部カットされているので、キャンプ感がダダ下がりです(怒)。
ドラマ性が重視される作品においては、調理シーンなどをカットするのは常套ですが、むしろゆるキャン△ではそういったシーンこそ、キャンプらしさを演出するのに一役買う訳ですから、この演出は頂けません。
あとは、自由度です。
VRゲームとしては、動ける範囲がかなり狭いです。リンちゃんに近づこうとしても、すぐに範囲外になってしまいます。ですので、リンちゃんにハグすることは出来ません(笑)。
プレイ中に立ち上がっても、すぐに範囲外になるため、VRといっても、周囲を見渡すぐらいしかできることがありません。
この辺は、PSVR初期の作品である「サマーレッスン」より明らかに劣ります。ゆるキャン△ VIRTUAL CAMPは、ある意味PSVRが枯れた技術になってからのタイトルですから、もっとしっかりとVR感を活かした作品作りを期待したのですが、そういう意味でもかなり残念な作品となってしまいました。この辺は、同時発売として、スマホ版とニンテンドーSwitch版、Oculas版があるので、マルチプラットフォームとして他のプラットフォームに引きずられた感があります。PSVR向けとして、もう少し作り込んでいればマシだったはずですが、まあ大人の事情もあったのでしょう。
アニメ作品からスピンアウトしたVRゲームとして捉えれば、アニメっぽいポリゴンの処理や、キャラの表情などもそれなりの完成度ですが、せめて、テントの中を覗き込んだり、テーブル周りで少し移動して辺りを見渡せるなど、一工夫欲しいところです。
あと、視点をなでしこからだけでなく、りんのバージョンも作っていれば、もう少し楽しめたのにと思うと惜しいです。どうせ次作でなでしこが出てくるので、ポリゴンデータはあるのですから、視点を変更するだけなら、ボイスデータ等も変わらないので、簡単に実現できたはずです。
視点の変更は、ボリュームアップ手段としては邪道ですが、こういうファン向けの箱庭的なゲームであれば、充分アリだと思います。リンちゃん視点で、なでしこがハバネロパウダーについて語っているシーンを観たいファンは多いはずです(笑)。
30分で終わる程度のボリューム感、ロケーションの少なさ、キャンプ再現性など、総合的に考えると、2,420円は高いです。逆に言うと、もう千円高くてもいいから、今の3倍ぐらいのボリュームであれば、納得できるのですが・・・。
ゲームとして評価すると、この手のゲームは、やり込み要素がありませんから、作り込みによるディテールと、歩き回れるロケーションがキモとなる訳ですが、明らかに手抜きです。逆に言うと、制作者側の作品への愛が感じられません。どうしても、作品がヒットしているので、関連商品としてヲタクだまし的な商品をでっち上げたと感じてしまいます。
結局、ゆるキャン△VIRTUAL CAMPは、ヲタク向け、ゲーマー向け、キャンパー向けの何れの視点でも、ちょっと及第点を与える訳にはいかない作品でした。私はこの3つとも兼ね備えているので、評価が辛くなりますが、色々と期待していただけに、ガッカリです。
洪庵キャンプ場は、新型コロナの緊急事態宣言を受けて、3/7まで全面閉鎖されています。そんな時期だからこそ、VRで楽しみたいと思っていたのですが(苦笑)。
第2弾の麓キャンプ場編が4月発売予定ですが、あの広大なふもとっぱらをどこまで楽しめるのか今から不安です。
って、文句言いながら買うんかい!!