オガワは、近年、毎年新作テントを精力的にリリースしています。ですから、私も、毎年この季節になると、オガワのグランドロッジに行って新作テントを試しています。去年は、ファシルを試して、気に入ったので後日購入してしまいました。
今年2021年の目玉は、何と言ってもオーナーロッジ ヒュッテレーベンです。
出典:ogawa |
フランスの、マルシャルやラクレのようなヴィンテージテントを彷彿とさせるデザインで、左右に長く伸びるルーフラインがとても印象的です。オガワから今年の新作発表があった時から、目を付けていたテントですので、早速グランドロッジ小平で試してきました。
ルーフラインが美しいちょっと変わったロッジ型テント
オーナーロッジ ヒュッテレーベン(以下ヒュッテレーベン)は、正面から見るとシンメトリカルなデザインで、左右に大きく広がっている珍しい形のテントです。スタンダードなロッジ型テントであれば、奥行き方向が広いのですが、ヒュッテレーベンは幅520cm、奥行き225cmと横長のテントです。
名称のヒュッテレーベンはドイツ語で、ヒュッテ(Hutte)は山小屋、レーベン(Leben)は生命・人生という意味ですから、さしずめ「人生の山小屋」という意味でしょうか。
近年のオガワのテント同様、全面がフルメッシュですから、夏でも風通しの良いテントです。
幕内は、中央にリビングがあり、左右に吊り下げ式のインナーを設置することができます。
左右の低い小窓も、メッシュ状態だけでなく、フルオープンにもできるなど珍しい構造になっています。小さいお子さんがいれば、基地感があって楽しめること間違いナシ(笑)。
メッシュ状態。 |
オープン状態。子供ならここからも出入りできそう! |
リビングは、高さ最大205mmですから、かなりの解放感があります。
また、スチールのフレームがリビングを囲んでいるため、ランタンやハンガーなど、かなりの重量物を吊り下げることができます。
リビング部分には、ライナーシートが吊り下げられているため、結露しても水滴が落ちてくるのを防いでくれます。
背面側の切妻部分には大きなベンチレーションがありますので、換気も万全です。
特筆すべきは背面で、アップライトポールで跳ね上げることができるサイドウォール付のフライシートは、状況に合わせて3パターンの跳ね上げ方があります。
※写真はアップライトポールを使わず、手で支えているので、ちょっとヘンですがご勘弁ください。
サイドウォール付の場合は、急な雨でも吹込みを防いでくれます。
サイドウォールを畳み込んでしまえば、より開放的になります。
更に、メッシュスクリーンも全部跳ね上げて、前の出入口も開ければ、リビングを貫通した状態になり、抜群の解放感と風通しを誇ります。
そして、私が更に注目していたのがファスナーの構造なのですが・・・
左右ともトリプルファスナー仕様になっています!
もう、これは、薪ストーブを使えと言っているのに違いありません!
トリプルファスナーですから、どの高さからでも煙突が出せるので、冬でも完璧です!!
いやー、今年バージョンアップしたアポロンT/Cが、サイドパネルにトリプルファスナーを採用していたので、ヒュッテレーベンもと期待していたのですが、期待に違わぬ出来栄えに、思わずテンションが上がりました(笑)。
テクニカルコットン(T/C)ベースで結露にも強いテント
ここで、少し素材もチェックしておきましょう。ルーフとひさしはポリエステルですが、サイドウォールは全てT/Cが採用されています。専用インナーもT/Cですから、結露にはかなり強いテントです。また、T/Cは火の粉にも強いので、薪ストーブとの相性が良いです。ただ、ルーフはポリエステルですから、煙突の位置には注意が必要です。
ルーフの耐水圧は1,800mmとオガワの他のテントと同様、T/C素材は350mmとなっていますが、これはT/Cだからで気にすることはありません。T/Cは、ポリエステルとコットンの混紡ですから、コットン生地が水を吸うのが当たり前です。当然、コットンが水を吸うから雨漏りするという訳ではありませんから、心配無用。
重量については、これだけの幕体で、ポリコットンを多く採用していますから、本体総重量が19.6kgとかなりあります。ただ、収納袋が、幕体とポールの2つに分かれていますので、持ち運びは重量の割には楽です。
設営方法
ヒュッテレーベンは、ロッジテントとしては、組み立てやすい方だと思います。
では、詳しく手順を見ていきましょう。
①スタンディングテープを広げる
②屋根フレームを組み立てる
赤いジョイントパーツが付いているのが、棟のフレームです。左右のフレームは、ジョイントパーツが青と白に塗り分けられていますが、色が互い違いになるように設置します。
撤収時の注意点ですが、ジョイントパーツは、初めからポールに取り付けられているので、ポールのバネが半月形になっている部分のみ外れます。
角型になっている方は外す必要はありません(というか普通には外れないようになっています)。
③脚部ポールを差し込む
脚部ポールを差し込みます。
この時、一番下の節を差し込まずに折り曲げておいて、先にフライシートをかぶせてしまう方が楽に組み立てることができます。脚部を完全に立ち上げてしまうと、最大高205cmですから、身長160cmの私には結構フライをかぶせるのが大変でした(笑)。
④ライナーシートを取り付ける
ライナーシートを取り付けます。
③で脚部を折ったままの場合は、ここでライナーシートを取り付けておくと、後で高い所に手が届かなくて苦労しなくて済みます。
背が届くのであれば、本体が組みあがってから最後に取り付けても問題ありません。
⑤フライシート(本体)をかぶせる
フライシートをかぶせます。フライシートは、正面側からかぶせていきます。
マニュアルでは、③でひさしのポールを差し込むことになっていますが、そうすると、フライシートのひさしの穴を探してポールに差し込む必要があるので、ちょっと手間です。
それよりも、とりあえずフライシートをかけてしまって、位置を微調整しながら、ポールを差し込んだ方が作業がやりやすいと感じました。
ひさしのポールを差し込んだら、フライシート側のベルクロテープに留めます。
⑥テントを立ち上げる
フレームの脚を折った状態でフライシートをかぶせた場合は、ここでフレームを完全に立ち上げ、スタンディングテープのハトメ→フライシートの裾のハトメと通します。
⑦外側4隅をペグダウンしサイドポールを立ち上げる
フライシート4隅をペグダウンし、サイドポールをハトメに差し込んで立ち上げます。
⑧ガイロープをペグダウン
各ガイロープをペグダウンし、全体をピンと張ります(全10か所)。
⑨テント内のベルクロテープを留める
フライシートのベルクロテープを、室内側からフレームに固定します。
嫁と2人で組み立てたのですが、ペグダウンとガイロープ無しで13分でした。全てペグダウンしたら20分はかかったと思います。
まあ、この手のテントとして、慣れてしまえば割と簡単に建てられそうです。
インナーについて
実は、インナーの入荷が4月以降ということで、今回は試せなかったのですが、インナーは別売となっています。インナーも素材はT/Cですから、結露にはかなり強いテントに仕上がっていると思います。ただ、インナーサイズが210×130cmとのことで、店員さんも2人が限度と言っていました。うちは3人家族なので、どうしてもインナーが2つ必要になります。インナーを2つ吊るしてしまうと、リビングが210×225cmとなってしまうので、少々狭いかもしれません。この辺は、昼間はインナー1つで、寝るときに2つにするなど、工夫が必要となりそうです。
寝る方向としては、短辺に平行に寝ることになるため、端に寝る人は、最低天井高が60cmありませんから、少し窮屈に感じるかもしれません。この辺は、リビング側に頭を向けて寝られると良かったのですが、そうすると、全幅が更に1mは増えてしまうので、流石に大きくなりすぎるので無理だったのだと思います。
まとめ
ヒュッテレーベンは、一言で言えば「オガワらしいテント」だと言えます。T/Cをうまい具合で組み込んで、快適性と重量バランスをうまく両立させており、トリプルファスナーなどの機能性も充実させています。
実は、大きさとしては、ティエラよりも小さく、特に短辺が225cmというのはかなりコンパクトな部類に入ります。私の使っている3人用2ルームのファシルでも短辺265cmですから、かなり短いといえます。ただ、ロッジ型ですから立ち上がりが垂直ですので、数値ほどの狭さは感じません。
むしろ、この幅の狭さは、狭小サイトでもタープを張ることができるので、サイト選びの上でも有利に働きます。
ヒュッテレーベンのデザインは、 90年代のクロスターオーマルハウスに似ていますので、完全なオガワオリジナルデザインという訳ではありませんが、このオールドスタイルな感じが逆に新鮮です。正面から見たシンメトリカルで優雅な佇まいは、良く言えば美しいデザイン、悪く言えば映え狙いという感じです(笑)。
ちなみに、このスタイルのテントとしては、現行品ではMLIMA(リマ)のBAHARI-4ぐらいですから、キャンプ場でも目を引くこと間違いナシです!
僕も1張り買っとくかなー