冬キャンプで大活躍する薪ストーブ。
私の場合、冬キャンプをしたいと言うよりも、薪ストーブが使いたいから冬キャンプをしていると言えるぐらい、薪ストーブが大好きです(笑)
薪ストーブの魅力は、何と言ってもテント内で火遊びができるということにつきます。いくら焚火LOVEな私でも、テントの中でパチパチメラメラやるほどの酔狂ではありませんから、安全に火遊びができる薪ストーブは最高のアイテムです。
また、薪ストーブの温度を、ダンパーや吸気口を駆使して思い通りに操作するのも、魅力的です。薪を焚(く)べ、温度計を見ながら狙った温度にもっていく・・・この操作感こそ男のロマン!
自作のダンパー。これで排気量をコントロールする。 |
とまあ、ロマンはさておき、薪ストーブは暖房器具としてだけでなく、調理器具としても楽しむことができ、使い方によっては、絶妙の料理を私たちに提供してくれます。
今回は、薪ストーブを使った様々な調理方法を、ご紹介したいと思います。
薪ストーブ料理の基礎知識
先ずは、薪ストーブで料理するにあたっての基礎知識を、簡単にご紹介します。
薪ストーブで料理をするためには、温度管理は欠かせません。ですから、薪ストーブ用の温度計は必須アイテムとなります。
温度計は、薪ストーブの表面温度を測ることができますが、薪ストーブの場所によってかなりの温度差が生じます。一般的には、天板の中央から煙突周りにかけてが一番高温で、天板周辺部へ向けて温度が下がり、側面上~下へと更に下がります。
底については、熾火が増えると、天板よりも熱くなることもあり、注意が必要です。
私の私用しているテンマクデザインのiron-stoveちびの場合、天板中央が300℃程度だと、天板周辺で270℃前後、側面下部で250℃ほど、底が300~350℃といった感じです。
自分の使っている薪ストーブの温度が知りたい場合は、レーザーポイント付きの放射温度計が便利ですので、1台買っておくことをお勧めします。
※ステンレスは、表面反射により正確に温度が測れない場合があるので、購入前に確認してください。
薪ストーブは、200~300℃前後で焚くのがベストなのですが、調理方法によって温度をコントロールする必要があります。
炉内温度は、表面温度より200℃程度は高くなっていますので、オーブン料理を作るときには注意が必要です。炉内でオーブン料理を作る時は、薪が熾火(炭のような状態)になっていることが前提となります。熾火自体は800℃以上あり、火力が安定してるので、料理がしやすいからです。
また、薪を追加した直後は、薪を燃やすために熱エネルギーが使われるため、一時的に炉内温度が下がることも覚えておきましょう。
多くの薪ストーブでは、直火で調理できるように穴が空いていますが、直火ほど温度が上がらないので、火力を重視する料理には向きません。これは、炉内温度が高くても500℃前後だからで、無理して火力を上げるために薪を大量に焚べると、薪ストーブを傷めることになるのでおすすめしません。特に、鉄製の薪ストーブは、サビ対策に耐熱塗料が塗られており、限界温度は600℃程度ですから、それを超えると塗料が剥げ落ちます。ですから、表面温度が400℃を超えないように注意してください。
ステンレス製であれば、更に温度を上げることは可能ですが、それでも高温で運転し続ければストーブの寿命を縮めますし、燃費も悪くなりますので、上げすぎは禁物です。
薪ストーブを使って料理を作る方法
薪ストーブのによる調理は、3種類の方法があります。
天板の上で煮る・焼く・温める
最もポピュラーな、天板の熱を使った調理方法です。真っ先に思い浮かぶのは、ポットでお湯を沸かすことですが、調理に使わない手はありません。
天板温度は基本的に300℃前後で、天板からの熱伝導で温めることになるため、火力は高くありませんから、じっくりと煮込むような料理に向いています。調理時間を短縮したい場合は、バーナーで一度沸騰させてから天板上に移すと早く煮込むことができます。
逆に、弱火でコトコト煮込みたい場合は、火力が強すぎるので、ストーブトップ用鍋敷き「トリベット」を使えば温度を下げることができます。
日本の伝統工芸品である南部鉄器などには、瓶敷と呼ばれる物があり、こちらも使えるので、拘りの逸品を見つける楽しみもあります。
トリベットは、料理を保温する時にも役に立つので、1つあると薪ストーブの利用の幅が広がります。
焼くに関しては、低温でじっくり焼くものが向いていますので、パンや餅が向いています。天板に直接乗せると焦げた時に面倒なことになるので、フライパンを乗せ、その上で焼くのがベターです。
意外といけるのが、ベーコンやソーセージを焼く時です。時間はかかりますが、中までじっくり火が通るので、外はパリパリ、中はアツアツに仕上がります。
その他、缶詰などはフタを開けて直接置いておけば、いい感じで温めることができます。
炉内でのオーブン料理
キャンプ用薪ストーブは、炉内がそれほど大きくないので、使える調理器具は限定されますが、小型のダッチオーブンやスキレットなどを使えば、オーブン料理が可能です。
注意点としては、炉内温度です。天板温度が200℃程度でも炉内は300~400℃程になるので、長時間入れていると黒焦げになります。一般的なオーブン料理は180~210℃程度ですから、薪ストーブ内はかなり高温だということを頭に入れておいてください。
状態としては、薪が熾火状態になっており、熾火の量もちょっと少な目ぐらいの状態にするのがベターです。ですので、オーブン料理をする時は、初めから、あまり薪をガンガンに焚かないようにしましょう。
あと、調理器具については、把手のあるスキレットは使いにくいです。当たり前ですが、薪ストーブの中に入れるので、把手が物凄い高温になるので、鍋つかみが焦げます(笑)。
私もユニフレームの10インチのスキレットを使っていましたが、使い難かったので、把手がとれるCOCOpanプレミアの26cmを購入しました。
あと、テンマクデザインの 「ほ」スクエア スキレットも、リフターが外せるのでおすすめです。
底板の下を使ったオーブン料理
これはもう、ピザがイチオシです。薪ストーブによっては、ピザストーンを入れる引き出しが付いているモデルもありますが、無い場合でも、クッカースタンドを利用してピザを焼くことができます。
薪ストーブの下に、クッカースタンドを立て、その上にスキレットを置けば、立派なピザ窯の出来上がり。
できれば、ピザストーンをスキレット内に敷ければ良いのですが、キャンプ用で一般的な10インチの場合、鍋底の直径が20cm前後のため、これに合うサイズがなかなか見つからないのが実情です。
ただ、スキレットを最初から薪ストーブの下に置いておけば、充分に余熱可能なので、無理にピザストーンに拘る必要は無いと思います。
薪ストーブを使った簡単料理レシピ
牛スジカレー
調理方法:天板(250~300℃)
【材料 4人前】
牛スジ:200g
玉ねぎ:1個
オリーブオイル:大さじ1
塩・胡椒:適量
お好みのカレールウ:4人分
お好みで、ニンジン、ジャガイモなどの野菜
【作り方】
- ダッチオーブンを薪ストーブの上に置いて10~15分ほど予熱する
- 牛スジを1口サイズに切りそろえる
- 玉ねぎを繊維に沿って薄切りにする
- 予熱が完了したダッチオーブンに、オリーブオイルを引き、牛スジを炒める
- 牛スジを炒めている時に、塩小さじ半分、胡椒適量で軽く下味をつける
- 全体に軽く火が通ったら、ダッチオーブンから取り出す
- 玉ねぎを炒める(時間があれば飴色になるまで30分~1時間ほど炒める)
- 牛スジをダッチオーブンに戻し、カレールウと適量の水を入れて煮込む
- 煮込み時に、お好みの野菜を入れる
- 30分ほど煮込んだら塩で味を調え完成
【ポイント】
牛スジは、炒めていると多量の油が出ますが、その油を使って玉ねぎを炒めます。玉ねぎは長時間炒めるほど甘味が増すので、できる範囲で炒めてください。薪ストーブはガスコンロに比べて火力が弱いので、焦げにくいですから長時間炒めるのに適しています。
カレーが余れば、翌日少し水を足してご飯を入れてカレーリゾットにするのもおススメです。出来上がりにチーズをトッピングすると絶妙ですのでお試しください。
シーフードグラタン
調理方法:天板(250~300℃)+炉内
【材料 3人前】
シーフードミックス(解凍):200g
マカロニ:100g
マッシュルーム:10~15個(150g)
玉ねぎ:1/2個
チーズ:適量
バター:20g
オリーブオイル:大さじ2
ホワイトソース:1缶
牛乳:200ml
塩・胡椒:適量
お好みでニンジン、ジャガイモなど
【作り方】
- 薪ストーブの上で、マカロニを表示通り塩ゆでにしておく
- スキレットを薪ストーブの上に置いて10~15分ほど予熱する
- マッシュルームは半分に切り、玉ねぎは繊維に沿って薄切りにする
- オリーブオイルを引いたスキレットの上でマッシュルームとシーフードミックスを炒め、塩・胡椒で味を調える
- マッシュルームがしんなりしてシーフードミックスに軽く火が通ったら、一旦スキレットから取り出す
- バターを溶かし、玉ねぎを炒める
- ホワイトソースと牛乳を入れ、なめらかになるまで混ぜる
- マッシュルーム、シーフードミックスを戻し、マカロニを入れ、上にチーズをふりかける
- スキレットに蓋をして、薪ストーブの炉内に入れる
- 10分ほどで完成
【ポイント】
天板は火力が低いので、思ったより時間がかかりますので、時間が無い時は天板で調理する代わりに、ガスバーナーを使うと早くできます。
炉内でオーブン調理する時は、薪ストーブ内の薪が熾火になっていることを確認し、天板温度が200℃前後になるまで待つと、炉内が300℃前後となり、焦げにくくなります。炉内温度は普通のオーブンよりも高いため、焦がさないためにも、3~4分毎に状態を確認することをおススメします。
スキレットの蓋の上にも熾火を置くと、上面に焦げを作ることができます。
簡単ピザ
調理方法:底板
【材料】
ピザ生地(18cm程度)
お好みの具材(ピザソース、チーズ、ベーコン、ソーセージ、玉ねぎ、ピーマン、しめじ、マッシュルーム、バジル、etc)
【作り方】
- 薪ストーブの火力を強めにして、天板温度が350℃ぐらいになるように調整する
- 薪ストーブの底板の下にスキレットを設置し、15分ほど予熱する
- ピザ生地に具材を乗せ、焼く準備をする
- 炉内全体に熾火が広がっていることを確認し、ピザをスキレットに入れる
- 5分程で完成
【ポイント】
ピザを焼くためには、ある程度の火力が必要となるため、薪ストーブの温度を高めにしておくのがポイントです。火力が必要なら、ピザを焼いている途中でも、薪を足しても問題ありません。熾火が全体に広がっていても、どうしても火力にムラができてしまうので、時々焼け具合を確認しながら、スキレットの位置や、中身のピザを回転させたりして、ムラなく焼けるように工夫しましょう。
以上、薪ストーブを使った調理方法の解説でした。