BE-PALを定期購読している私は、早速2021年1月号を入手しました。
近年は、毎年1月号はチャムスとのコラボアイテムが付録になっていますが、今年はオリジナル・マルチツールです。
2020年がLEDランタン、2019年がLED クリップライトでしたので、これで3年連続でチャムスです。ちなみに2018年は、コールマンのMiniランタンLEDライトでした。
ナイフ好きの私としては、やっぱりマルチツールは気になるので、先月号の付録予告を見た時から、内心楽しみにしていました。ただ、写真の見た目からは、ダイソーの300円のマルチツールにそっくりだったので、性能面で期待できないことはよく判っていました。
というわけで、早速開封です。
プチプチシートに包まれて、丁寧に梱包されています。
大きさは、手のひらに十分収まるサイズで、LEATHERMANのSkeletoolより小さいです。
プライヤーを開くとこんな感じで、見た目はまずまず使えそうな感じがします。
ツールとしては、全部で11種類。
プライヤー、ワイヤーカッター、ミニペーパーナイフ、ミニノコギリ、プラスドライバー、マイナスドライバー(3.5mm)、マイナスドライバー(2.5mm)、栓抜き、つめヤスリ、缶切り、マルチフック。
プライヤーには、バネが入っているので自動で開くため、使い勝手は良いです。
ただ、ペラッペラのフレームでハンドルとプライヤー部分を支えているだけなので、思いっきり握ると多分曲がります(笑)。
ワイヤーカッターは、針金を10回ぐらい切ってみましたが、問題なく使えました。見たところ、刃も痛んでないようなので、結構使えそうです。
ミニノコギリは、ノコギリとしては使えませんが、波刃状になっているので、セレーションナイフとして使えそうです。
切れ味は悪いですが(苦笑)。
栓抜きと缶切りも、小さくて厚みもペラいので、下手に使うと曲がりそうです。缶詰は、今どきほぼプルトップになっているので使わないでしょうが、栓抜きはコロナやハートランドを飲む時に使うかもしれません。
と言うことで、ハートランドを用意しました。
抜栓成功!
まあ、こんなもんでしょう。使えなくは無いですが、小さすぎてとても使い難いです(苦笑)。
爪ヤスリですが、これは正直使えませんでした。角が立ってないので爪が滑って削れないのです。まあ、元々期待していなかったので、ある意味問題ありません(笑)。
ダイソーのマルチツールと唯一違うのがマルチフック。ダイソー版では、マイナスドライバーなのですが、マイナスドライバー3個も要らない(笑)ので、BE-PAL版がマルチフックに変更になっているのは、アウトドア雑誌ならではの拘りと言えるでしょう。
マルチフックは、缶詰のプルトップを開けたり、靴紐を解く時などに使うツールとして、ビクトリノックスのトラベラーなどにも付属しているツールです。
さて、ある意味、私にとってはこっちがメインなのですが、ナイフです。
ミニペーパーナイフとなっていることからも分かる通り、エッジが丸くなっていて、全く刃が付けられていません。
おそらく、雑誌の付録と言うことで、自主規制したんだと思います。
ペーパーナイフとしては使えるので、このままにしておいても良いのですが、それでは面白くありませんから、研ぎ上げて刃を付けてみたいと思います。
砥石はシャプトン「刃の黒幕」。私は、中砥のオレンジからしか持っていないので、先ずはオレンジで刃付けしていきます。こんな時だけは、荒砥のモスかブルーブラックを買っておくべきかと思うのですが、そこまで刃こぼれさせることは先ず無いので、未だに買っていません。
片側数百回研いで、何とか刃らしい刃が付きました。一応、爪にあてれば刃が止まるので、そこそこの刃はついているはず。ただ、気になるのが、殆どかえりが出ないことです。普通のナイフは、研ぐと反対側にかえりというバリが出るのですが、このナイフは殆どかえりが出ません。一般的には、粉末冶金鋼などはかえりが出にくいのですが、このナイフはステンレス鋼ですから、それなりにかえりが出ても良いのですが・・・。
一応、5000番のエンジも使って仕上げていきます。
ブレードに反射光が出ているので、それなりに仕上がったはずです。
と言うことで、早速試し切り。
んー。あんまり切れない(苦笑)。
と言うか、切れない(笑)。
写真では切れているように見えるかもしれませんが、コピー用紙を上から切ろうとした時の、最初の食い込みが悪いです。所謂ナマクラの証拠。まあ、研いでいた時にかえりが殆ど出なかった時点で、こうなることは想像できましたが(苦笑)。
パッケージを確認すると、鋼材は「ステンレス(SUS420J1)」と記載されているので、そこまで悪い鋼材を使っている訳ではなさそうです。SUS420J1は、洋食器やハサミなどに使われる鋼材で、耐食性と耐摩耗性が高い鋼材です。但し、焼き入れ後の硬度がHRC51程度と低いため、本格的なナイフには向きません。
おそらく、このナイフは、鋼材の焼き入れ・焼き戻しという熱処理を行っていないのだと思います。一般的な鋼材は、製鉄所から板やロール状で販売され、それを適宜加工して使います。熱処理を行う前の鋼材は、硬度が低く加工しやすいので、ナイフの形状に加工後、熱処理をして仕上げます。
熱処理をしていないと、硬度が低いままなので、研いでも刃付きが悪く、所謂ナマクラになります。元々それほど硬度が高くないSUS420J1ですから、もしも熱処理をしていないとしたら、更に悪くなるのは当然で、この切れ味にも納得です。
まあ、刃長約35mmの小さなナイフを加工して、熱処理までしてたら雑誌の付録としては予算オーバーでしょうから仕方がありません(笑)。
というか、ペーパーナイフであれば、熱処理無しのSUS420J1でも充分ですので、逆にナットクの性能でしょう。
さて、切れないとは言え、それは154CMなどの本格的なナイフ鋼材に比べればということですから、日常的に、パッケージを開けたり、紐を切ったりという程度には十分使えますし、刃長わずか35mmのナイフで食材を切ることもありませんので、小型プライヤー+αとしては使えそうです。
このサイズなら、銃刀法がどうとか言われないからEDCするかな~。