ST-310のCB缶分離化計画【キャンピングムーンのガス器具 その1】

2020年10月19日

キャンプ沼

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私は、SOTOのST-310というガスバーナーを愛用しています。軽量・コンパクトで、CB缶(カセットボンベ)が使えるため、ランニングコストにも優れています。独自のレギュレーター機構が組み込まれているため、低温下でも安定した火力が得られ、出力も2,500kcalとCB缶としては十分です。ST-310は、性能だけでなくコスパにも優れており、2020年1月に価格改定されたため値段が少し上がりましたが、それでも6,000円台前半で購入できるとあって、ビギナーからベテランまで、多くのキャンパーから支持されています。



私も、ST-310を2台使っており、2バーナーコンロとして重宝していますが、1つだけ欠点があります。ST-310は、バーナー部分にCB缶を直結する構造のため、大きな鍋や鉄板を使うと、輻射熱でボンベが破裂するリスクがあるのです。

一応、遮熱板は付いていますが、サイズが小さいので、安全性の面では十分ではありません。元々が、ソロクッカーなどに対応した製品ですから、コンパクト性を優先しているため、遮熱性の面では限界があります。


そんなST-310ですが、ゴトクを使えば、こんな感じで鉄板焼にも使えてしまうので、ボンベの輻射熱対策が悩みの種でした。



この、大きさ51cm×35cm、厚さ6mmの極厚鉄板を使うためには、ボンベへの輻射熱対策は欠かせず、ユニフレームのユニセラをバラシて、遮熱版の代わりに使ったりと、色々工夫していました。


出典:SOTO(新富士バーナー)


実は、バーナーとボンベが分離されたST-330「フュージョン」という新機種が、2019年に発売されており、これなら鉄板に干渉しないため、輻射熱問題が解決されます。ただ、これが結構高いのです。定価9,900円(税込)で、人気もあるため、Amazonなどでもほぼ定価で販売されています。ST-330に置き換えることも考えたのですが、2台で2万近くしますので、流石に購入を躊躇していました。


そんな時に見つけたのが、今回ご紹介するCanping Moon(キャンピングムーン)のCB缶アダプターとマルチガスホースラインのセットです。



これを使えば、バーナーからボンベを分離することができるのです!!



キャンピングムーンは、スノーピークの焚火台や、ユニフレームの焚火テーブルなどの大ヒット商品を丸パクリしている、中国の会社です。オリジナルを完全コピーと言えるレベルでコピーした商品を、Amazonや楽天などで売っている会社で、コピーの精度が高いため、耐久性もオリジナルに近く、皮肉にもオリジナルの設計品質の高さを証明しているという困った会社です。

そんな困った会社ですが、元々は、厨房製品やガス器具を作っていた会社のようで、今回のガスホースなどは、それなりの工作精度があります。とは言え、PSマークは取得していませんので、一般の小売店で販売することはできません。

購入にあたっては、安全性の面などで迷いもあったのですが、この手の製品を日本のメーカーが作れる訳もなく(安全基準の問題で)、キャンピングムーンのようなアングラな会社しか選択肢が無いのも事実。値段も、Amazonで1セット3,380円とお手軽だったので、2セット購入してみました。


セット内容は、以下の通り。



Z10(CBメス→ODオス 変換アダプター)
Z13(ODメス→CBオス 変換アダプター)
Z16(ODオスーメス ガスホースライン)


ガスホースがOD缶仕様になっているため、CB缶をOD缶に変換、再びOD缶をCB缶にアダプタで変換してガス器具に接続するようになっています。


使ってみて分かったのですが、各アダプターはガタつきも無く、しっかりと組み付けることができます。また、アダプターやガスホースラインの口金には逆止弁が付いているため、ホースを取り外したりしても、ガスが漏れません。

この辺の基本的なことをしっかり押さえているあたり、ガス器具の開発・製造ノウハウがそれなりにあることが伺えます。



ホースは、表面は金属メッシュで保護されており、硬すぎず柔らかすぎずで、取り回しも悪くありません。耐久性だけは使い続けないと分かりませんが、国内で販売されている家庭用ガス器具のホースなどに比べて、それほど劣っているようには見えません。ただ、細かく見ていくと、一部ネジが欠けている部分が見られ、やはり品質面ではイマイチです。



写真のようなネジの欠けは、今回購入したホース4本のうち1本に見られました。

まあ、耐久性などに不安は残りますが、これで、ST-310のCB缶を分離することができ、安心して大型の鉄板を使用することができます。


この、Z10/Z13/Z16のセットですが、Z13はイワタニ等の磁石式の接続方式には対応していません。アダプター全体がジュラルミンの切削加工で作られているため、磁石が付かないのです。また、台座の直径も小さいためサイズが合いません。そのため、イワタニなどの磁石式のバーナーやカセットコンロに使用したい場合は、姉妹商品のZ13Mのセットを購入するのがベターです。



写真の左がZ13、右がZ13Mです。白く見えるのは、磁石がくっつくように鉄のプレートがはめ込んであるからです。




キャンピングムーンによると、イワタニの磁石式に合わせて作られているため、全ての磁石式に適合するわけでは無いと記載されています。写真は家にあったニチガスのカセットコンロですが、問題なく使えました。




ちなみに、ST-310はどちらも問題なく使用できます。


さて、キャンピングムーンには、OD缶をCB缶に変換して使用できるようにする製品もあります。私は、バルブ付きのOD缶ガスホースと、磁石式に対応したOD→CBアダプターがセットになった商品を追加購入しました。



Z21(ODメス(バルブ付き)→ODオス マルチホースライン)
Z13M(ODメス→CBオス(磁石式対応) 変換アダプタ)


これを使うと、OD缶をST-310 で使うことができます。



一見、コスパの悪いOD缶をわざわざST-310 で使うことに意味は無いように見えますが、雪中キャンプなどの気温が氷点下になるような場面では、OD缶が威力を発揮します。標準的なCB缶はブタンだけですが、OD缶はイソブタンやプロパンが混合されており、低温でも使用できます。また、特にプロパンは高火力ですので、火力が欲しい中華料理などを作りたい時にも向いています。

CB缶でも、SOTOのパワーガスはイソブタンが混合されていますが、プロパンは入っていません。プロパンは、気化温度が-42.1度と低く、圧力も高いので、より高圧に耐えらえる構造のOD缶でしか使えないからです。



Z21には、プラスチック製のスタンドが付属しており、OD缶をひっくり返して液出しで使えるため、これを使えば更に高火力を得ることができます。

因みに、これをCB缶アダプターのZ10と組み合わせて使うと、CB缶の液出しという変態的な使い方も可能になります(笑)。



ただ、バーナー側がこんな使い方には基本対応していないので、おすすめはできません(苦笑)。


さて、私がこのセットを購入したのには理由があります。Z21を使えば、CB缶側にバルブを持ってくることができるため、ST-310 側のバルブを全開にしておけば、CB缶側で火力調整が可能となるのです。


OD缶メス側にバルブが設けられているZ21のマルチホースライン。


ST-310 は、ゴトクの間にバルブがあるため、火力調整がやりにくいという欠点がありますが、このシステムを使えば手元で火力調整ができるので、とても便利です。



着火はできませんが、ガスを出してからスライドガストーチなどで着火すれば問題ありません。寧ろ、大型の鉄板を使う上では、ST-310の点火スイッチにも手が届きにくいですから、この方が楽に点火できます。



このシステムのおかげで、ようやく愛用の極厚鉄板をキャンプでフル活用できるようになりました。





早速キャンプで使ってみましたが、ガス漏れもなく、快適に使え、肉も美味しく焼けました(^o^)



私は、色々と試行錯誤しながら追加購入していったので、手元にこれだけのセットがあります(笑)。




用途別に分けると、以下のセットの中から自分にあったセットを購入することをおすすめします。

●単純に、CB缶を分離したい場合
  Z10、Z13、Z16のセット


●磁石式のバーナーを使いたい場合
  Z10、Z13M、Z16のセット


●CB缶を分離しつつ、手元でバルブを操作したい場合(CB缶で液出し変態プレイをしたい人)
  Z10、Z13 or Z13M、Z21のセット


最後に注意点を少しだけ。

ガスホースラインはねじ込み式ですので、Z21はバルブが水平になりませんので、場合によってはテーブルと干渉します。置き方などを工夫してください。

CB缶側のアダプターのZ10には脚が付いていますが、これはCB缶内のガス吸入口の向きに合わせてあるためです。CB缶は、横に寝かせて正しい向きで使わないと、液状のガスがバーナーから噴き出す場合があります。









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