家でもアウトドアでも主力!鉄フライパン「極SONS COCOpan」

2021年10月12日

キャンプ沼

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皆さんは、極(きわめ)SONS COCOpanという鉄フライパンをご存じでしょうか。
鉄製のフライパンとしては、唯一「とってのとれる」フライパンです。

ココパン中華鍋(炒め)で焚火チャーハンを作る

把手(とって)がとれるので、重ねてコンパクトに収納可能で、キャンプに持っていくのに大変便利なフライパンです。

何故、鉄のフライパンがプロに使われているのか

「とってのとれる」と言えばティファールが有名ですが、この手のノンスティック加工のフライパンは、どうしても寿命があります。ノンスティック加工とは、食材のくっつき防止のため、フライパン表面をフッ素樹脂等でコーティングすることを指します。テフロン加工、ダイヤモンドコートなど、様々なコーティング加工がありますが、何れも、ノンスティック加工の一種です。
ご存じの通り、この手のフライパンは、錦糸卵などの焦げ付きやすい料理が簡単に作れ、油も少なくてヘルシーということもあり、一般に普及しています。しかし、ノンスティック加工は、どんなにコーティングの耐久性が高いものでも、数年でダメになるので、買い替える必要があります。
また、ノンスティック加工フライパンは、高熱に弱いという弱点があります。フッ素樹脂は、比較的高温に強いプラスチック素材ですが、連続耐熱温度が260℃となっていますので、高温になる中華料理などに使うとコーティングがダメになります。フッ素樹脂加工以外には、連続耐熱温度が400℃以上のセラミックコートがありますが、くっつき難さではフッ素樹脂加工に劣りますので、使い勝手は落ちます。

一方、プロの使うフライパンは、総じて鉄製のフライパンが使われています。鉄は、ノンスティック加工フライパンに使われているアルミに比べて、熱伝導率ではアルミの約3分の1と劣りますが、蓄熱性に優れます。また、アルミよりも薄く作ることができるので、熱伝導率の悪さを補うことができます(むしろ、アルミ製フライパンは、蓄熱性を上げるために厚く作られている)。
中華鍋をイメージしてもらうと分かりやすいと思いますが、鉄のフライパンは、熱しやすく冷めにくいので、火力を細かく調整する必要があり、素人には使い難いと言えます。しかし、スキルさえあれば、高火力が必要な炒め料理から、低火力でじっくりと仕上げる卵料理まで、自在に調理することができます。焦げ付きに関しては、食材のタンパク質が鍋面の微細な凹凸に入り込み、熱で固まってしまうことが原因ですから、適度な油を引き、細かく食材を動かすことで防ぐことができます。

「とってのとれる」フライパンが便利な訳

ココパンのセット

さて、鉄のフライパンの良さは分かって頂けたかと思いますが、「とってのとれる」に話を戻しましょう。私はこれまで、ティファールやアイリスオーヤマの「とってのとれる」フライパンを多用してきました。理由は、CMでも喧伝されている通り、とにかく嵩張るからです。ハンドルが固定されたタイプは、どうしても重ねて収納ことが難しく、場所をとります。飲むのも食べるのも好きな私は、美味しい肴で一杯やるために、料理を作るのが好きです。ですから、晩酌では3~4品は作るため、いつも3口コンロがいっぱいになります。そうすると、どうしてもフライパンを3枚同時に使うこともあるため、それなりの枚数を揃える必要があります。ですから、「とってのとれる」フライパン類は、嵩張らず省スペース化できるので重宝してきました。
そんな私が見つけたのが、「極SONS COCOpan」です。

極SONS COCOpan開発秘話

ココパンで豚肉とネギを炒めている。バーナーはホエーブスを使用。

極SONS COCOpan(以下ココパン)は、鉄のフライパンとしては珍しく「とってのとれる」フライパンです。製造は、鉄フライパン「極JAPAN」シリーズで有名なリバーライトです。ココパンは、販売元の株式会社ここの平井清博氏が、リバーライトの岡山晄生(おかやまあきお)社長に製造をお願いしたことに始まります。岡山社長は、把手がとれる意味が解らず、それまでにも同様の依頼があったのを全部断ってきたそうです。
リバーライトのフライパンは、創業者の堀江光氏が、アメリカのテーラー&ウング社の鉄製フライパンに出会ったことに始まります。以下、リバーライトのWEBサイトから引用します。

当時アメリカで人間性の復活を唱えていたヒッピーの1人がデザインしたというそのフライパンは、「フライパンはメンテナンスが楽なフッ素樹脂加工のものより、料理が美味しく出来、体に良い鉄製のものの方が優れているのだ」という考えから生まれたものでした。取っ手は汚れの付きにくい樹脂よりも、あえて手馴染みが良く熱が伝わりにくい木製。鉄と木で作られた、シンプルな構造のフライパンに、堀江は“もの造りの原点”を見たのです。

リバーライトは、今でもテーラー&ウング社から引き継いだ鉄と木のフライパンに拘って創っているのですから、その「把手がとれる」ようにする意味が解らなかったのも無理はありません。鉄フライパンは重いため、それを確実に振るためには、しっかりと固定された握りやすいハンドルが必須です。とれるようにしてしまうと、その良さをスポイルしてしまうことになります。
ところが、平井氏は、「とれないとって」に拘る岡山社長に「とってをとれる」ようにしてほしいと頼み込みます。平井氏は、当時主催していた「俺たちの料理」というオヤジ向け料理教室の参加者から、習った料理をキャンプで家族にふるまいたいので「とってのとれる」フライパンが欲しいと言われます。その後、料理教室の他の参加者にそのことを話すと、多くの参加者が欲しいと手を挙げたそうです。そこで、料理教室で使っていたフライパン「極ROOTS(現、極JAPAN)」の製造元である、リバーライトの門戸を叩くこととなったのです。

ココパンの銘板

前述の通り、把手がとれる意味が解らないと言っていた岡山社長ですが、平井氏の熱意~料理を家族に振舞いたいというオヤジの思い~に共感し、「とってのとれる」鉄フライパンを作ることを快諾。こうして、「極SONS COCOpan」が誕生することになりました。
「極SONS」は「極JAPAN」の息子(SONS)という意味を込めて、岡山社長から贈られた名称です。

極SONS COCOpanの3つのシリーズ

ココパン 炒め、プレミア、ベーシック
写真上から時計回りに、炒め、プレミア、ベーシック

ココパンは、ベーシック、プレミア、炒め、という3つのシリーズを主軸に展開されています。

ベーシック

底板の厚さ1.6~2mmと標準的なフライパン。
焼く、炒めるなど、オールマイティに使える。
16cmから28cmまで7サイズのバリエーションがある。

プレミア

底板の厚さ3.2mmと、ベーシックより厚くして蓄熱性を高めたフライパン
ステーキや、ローストビーフ等の肉料理に適している。
24cmから28cmまで、3サイズのバリエーションがある。

炒め

底板の厚さ1.6で、より深底にすることで、炒め料理に適した形状のフライパン。
炒飯などの炒め料理の他、鍋料理や燻製などにも使用可。
20cmから28cmまで、5サイズのバリエーションがある。


これ以外にも、目玉焼きやベーコンを焼くのに適した「モーニング」、底板の厚さ3mmの「鉄鍋」、ガス台のグリルやオーブントースターで使える「グリル」など、個性豊かな製品がラインアップされています。

中には、調理用鉄板・兼焚火台という「グリドル」というユニークな製品もあります。ペグを刺し込む穴が空いた厚さ3.2mmの鉄板で、金属製のペグを脚として使うことで、焚火台にもなるというワイルドなキャンプをしたい方にはぴったりのアイテムです。

出典:極SONS COCOpan

出典:極SONS COCOpan

窒化処理について

ココパンの鍋肌
窒化処理によって、独特の鍋肌を持つCOCOpan。

窒化処理とは、金属の表面に窒素を浸透させることで、金属をより硬化させる処理のことです。特に、鉄を窒化処理した場合、表面が硬化することで耐摩耗性・耐衝撃性が上がり、通常の鉄よりも耐久性が高くなります。また、同時に酸化被膜ができるため、錆にも強くなります(錆びない訳ではありません)。
ココパンは、この窒化処理が施されているため、シーズニングが不要で、油ならしを行うだけで、すぐに使うことができます。
一般的な鉄フライパンは、錆止めのためにラッカーなどが塗装されているため、最初に使用する時に、空焼きをしてラッカーを飛ばす必要があります。その後、油でくず野菜を炒めるなどのシーズニングも必要となります。
しかし、窒化処理されているココパンは、錆に強いためラッカー塗装されておらず、空焼きの必要がありません。また、酸化被膜+窒化鉄層がフライパン表面に形成されているので、シーズニングを行って油を鉄の表面に馴染ませる必要もありません。

使い初めには、表面を水洗いし、その後油ならしと言う処理を行います。油ならしは、多めの油を入れ、油がフライパン全体に馴染むように回しながら弱火で5分ほど加熱します。その後、火を止めて油をオイルポットなどに戻し、キッチンペーパーで、残った油を鍋肌に刷り込むように全体を拭き上げれば完了です。

さて、いくら窒化処理が錆に強いとはいえ、強い酸性の料理を入れっぱなしにすると錆びます。特に、ラタトゥユなどのトマト料理は注意が必要で、フライパンのまま食卓にサーブして食べていると、フライパンが錆びます。そのため、酸味や塩分の強い料理の場合は、別皿に空けるようにするのがベターです。

私が愛用しているCOCOpan

ココパン各種

私は、ベーシックを20cm、22cm、26cm、28cm、炒め28cm、プレミア26cmの合計6枚を所持しています。
プレミアは、スキレットだけでも5枚持っているので不要と思っていたのですが、把手がとれるので薪ストーブ調理向けに追加購入しました(詳細はこちら)。

ココパンに鍋蓋をセットした状態

ココパンには、専用の「ステンレスカバー」という蓋が別途販売されていますが、私は、24cmから28cmまで使える汎用の蓋を使っています。これ1つで、各フライパンに対応できるので便利ですし、蓋も含めてコンパクトに収納できます。

ココパンと一般的なフライパンを比べると、立ち上がりがココパンの方が緩やかです。これは、フライパンを煽る動作に向いており、炒め料理でその使いやすさを実感します。一般的なフライパンは、IHなどにも対応するために底が平らで、立ち上がりが急なため、下手に煽ると中身が飛び出します(苦笑)。
また、ココパンは、この立ち上がりのカーブをうまく使うことで、きれいなラグビーボール状のオムレツを焼くことができます。

ただし、緩やかな立ち上がりのため、底の面積がやや狭く、餃子を大量に焼くのには、一般的なフライパンに一歩譲ります(笑)。

ココパン炒めを振るってチャーハンを作っている

炒めは、中華鍋感覚で使えます。重量が約1kgあるので、ココパンの持ち手ではやや不安がありましたが、慣れてしまえば通常の中華鍋と変わらない感覚で使用できます。

COCOpanは、焚火料理でこそ真価を発揮する

把手がとれて耐久性の高いココパンは、焚火料理でこそ真価を発揮します。特に大量の熾火で高火力な調理を行う場合、普通のフライパンでは、輻射熱で把手まで熱くなりますので革手袋が欠かせません。ですが、把手が取れれば熱くなる心配がありませんので、快適に焚火料理を楽しむことができます。

ココパンで肉を焼いている

それに、焚き火台の上で複数のフライパンを使うのであれば、把手が取れた方が、場所も取らず何かと便利です。

スウェーデントーチを使ってココパンでソーセージを焼いている
不安定なスウェディッシュトーチの上でも調理がしやすい。

後片付けについても、窒化処理のおかげで、汚れが落としやすくて助かります。普通のフライパンやスキレットなどは、洗剤を使うことは避けるべきですが、ココパンはそれほど神経質にならなくても良いので、汚れが酷い場合は洗剤を少しつけて金属タワシでガシガシやることができます。特に、煤と油の焼き付いた底の汚れは、普通のフライパンであれば落とすのが大変ですが、ココパンは意外と簡単に落とせるので、将に焚火料理向けのフライパンと言えます。

「とってのとれる」鉄フライパンは、家でもアウトドアでも主力!

ココパンを重ねた状態を横から見た写真

以上、色々と書いてきましたが、ココパンは、我が家の主戦力となっています。収納性が高く、窒化処理された使いやすい鉄フライパンですから、キャンプだけでなく日々の家庭でも役立ちます。
そらそうです。元々、家庭用に作られた極JAPANを、把手がとれるようにしたのがココパンですから、ある意味、日々の家庭使いでこそ真価を発揮します。
それに、焚火料理で煤が付いてもガシガシ洗えるので、家庭と両立させても何の問題もありません。

ハンドル(もち手)に、ロック機構が無いため最初は戸惑いましたが、すぐに慣れました。ハンドルの見た目がショボい(失礼!)ので、強度に不安を感じるかもしれませんが、しっかり握っていれば調理中に外れることは無く、鉄フライパン自体も強度が高いため、掴んでいる所が曲がったりすることもありません。

ココパンと把手

自宅で使う場合は、ハンドルにロック機構が無いというのは、安全性よりも、手を離すとハンドルが取れてしまうことの方が気になります。そこで、私はゴムバンドでハンドルを留めて、手を放しても簡単にはとれないようにしています。私は、ハンドルを2つ持っているので、フライパンを2枚同時に使う場合は、ハンドルを付けっ放しで使うことができて便利です。
逆に、キャンプでの焚火料理などでは、とってを外しておくことで熱くなるのを防げるので便利です。

極SONS COCOpanは、ノンスティックのフライパンよりは高価ですが、家庭でもキャンプでも使えて、しかも一生使い続けられることを考えれば、むしろリーズナブルだと言えるでしょう。










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