数多あるペグの中でも、ソリッドステーク(略してソリステ)を愛用する私ですが、愛用するには理由があります。
ソリッドステークは、スノーピークが販売しているペグですが、ただのペグではなく、鍛造で作られているペグです。鍛造とは、熱した鉄をハンマーなどで叩いて成形する技術で、包丁や鉈などの刃物類によく使われている製法です。金属を叩くことで、内部の隙間を潰して密度を上げ、衝撃によって金属結晶の方向を均一に整えることができるので、金属の強度と粘りを出すことができます。
そんな鍛造製法によって作られているソリステは、強力極まりなく、ペグハンマーで叩けば叩くほど、土中の石なども砕きながら食い込んでいきます。ソリステがあまりに強力なため、下手なプラスチック製などのハンマーでは、一発でハンマーが折れます(私の体験談)。
さて、そんな強力極まりないソリステですが、あまりの強力さ故の失敗談もあります。
左から50cm、40cm、30cm、ペグハンマーPRO.S |
以前キャンプをした時、タープを張るのにソリステの30cmを使ったのですが、なかなか食い込んでいきません。そのキャンプ場は、全体的に地面が固いので、流石のソリステでも刺さりが悪いのですが、とある1本だけ、特に刺さりが悪かったのです。とは言え、そこはソリステ、スノーピークのペグハンマーのパワーと相まって、打ち込めば着実に刺さっていくのでした。私は、硬い粘土層か、大きな石の割れ目にでもはまったのだろうと思って、力づくで打ち込み、あとはキャンプを楽しんだのです。
ところが翌日、いざ撤収となって、そのソリステを抜こうとした時、全然抜けなくなってしまったのです。全身の力を入れて抜こうとしても、ピクリともしません。
スノーピークのペグハンマーには、ソリステの穴にあうフックが付いているのですが、そのフックにソリステを引っかけて引っ張ってもウンともスンとも言わず、ねじって回そうとしても全く動きません。
これまでにも、岩の間などに打ち込んだりしたことがあるのですが、意外と回したり、ゆすったりしていると抜けるものなのですが、今回ばかりは手に負えません。これはもう、抜くのを諦めるかと考えかけたのですが、1本400円以上するこのペグをほったらかして帰るのも勿体なくて、何とか抜こうと考えました。
そこで、とりあえず、ペグに添って、別のペグを打ち込んで穴を拡げる作戦に出たのです。この方法は、場合によっては二重遭難する可能性があるので、ちょっとずつ、慎重に打ち込んでいきます。それにしても、昨日は、よくこんな硬いグランドに打ち込んだなと感心しつつも、疲れててめんどくさくて力づくで打ち込んだことを後悔しました(苦笑)。
さて、少しづつペグを打ち込んで、周りを掘りながら穴を拡げていくと、何やら木の良い香りがしてきました。
「・・・ん?・・・」
「・・・・・松?・・・松!?」
やってしまいました!
見事に土の中に隠れていた松の根にソリステを打ち込んでいたのです!!
そら抜けんわ~
まあ、ペグといっても、ソリステはでっかい釘みたいなもんですから、力づくで打ち込めば木の根にも刺さります(苦笑)。
原因が分かったからと言って抜けるかどうかは別の話。別のソリステを周囲に打ち込んでみても、肝心のソリステがびくともしないのには変わりがありません。こんなことなら、でっかい工事用バールを常備しておくんだったなどと、たわけたことを考えている自分が情けなくなりつつ、とりあえず周りの土を掘り起こしていきます。
写真を撮っておけばよかったのですが、その時は必死だったので、分かりづらくて申し訳ございません(苦笑)。
とにかく直径15cmぐらいの穴を掘って、木の根にどんな形で刺さっているのか確認してみました。すると、かなり太い根に見事に打ち込んでしまっているようで、本当に釘のように刺さっていました(苦笑)。
「あちゃ~」と思いつつ、打ち込んだソリステに沿って、別のソリステを慎重に打ち込みます。数センチ打ち込んでぐりぐりやってと、少しずつ周りを拡げていきます。そうしていると、ようやく本体のソリステが動くようになってきましたので、同じ作業を繰り返しているうちに、ついに抜くことができました。
抜けたソリステは、松の良い香りがしました(笑)。
松には、申し訳ないと謝りながら穴を埋め戻しました。
それにしても、流石はソリステ。最後は力任せにぐりぐりしたので、多少曲がったのではと思いましたが、他のと比べても曲がっているようには見えず、改めてソリステの打たれ強ささに舌を巻きました。
皆さんも、打ち込んでいるときに変な抵抗を感じたら、打ち込む場所を変えましょう。
ソリッドステークに関する紹介は以下をご参照ください。
リンク
リンク