新型コロナウィルス拡大でキャンプ場でテレワークを推進!?政府の愚策について一言いいたい

2020年4月9日

コラム

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昨日、新型コロナウィルス(COVID-19)でふもとっぱらキャンプ場が休止したことを書きましたが、全く逆の政策が環境省で閣議決定されたことをニュースで知りました。

新型コロナウイルスの緊急経済対策で環境省は、国立公園内に休暇(vacation)を兼ねて滞在して仕事(work)をする「ワーケーション」を後押しする。キャンプ場などにテレワークに必要な通信環境を整備する。そのほかの対策と合わせて、7日に閣議決定された2020年度補正予算案に関連経費計115億円を盛り込んだ。
新型コロナの感染拡大の影響で、国立公園への観光客は大幅に減っているが、キャンプ場などは屋外で比較的感染リスクも低い。新型コロナでテレワークも普及しつつあり、感染収束後に自然の中で息抜きをしながら仕事をするワーケーションが広まることを見据え、約6億円かけて国立公園内のキャンプ場などに通信環境を整備する。また関連ツアーの実施費用を支援する。
出典:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/topics/word/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF.html

この内容、どう考えても、キャンプは不要不急の外出では無いので、どんどん行ってくださいと言っているようにしか聞こえません

緊急事態宣言による不要不急の外出とは


キャンプは、不要不急の外出では無いのでしょうか。キャンプは、普通に考えると、都市部の人間が地方に遊びに行く行為です。しかし、現在は7都市に緊急事態宣言が出されて、外出を自粛するように要請されています。テレビでも盛んに言われている通り、地方出身の東京在住者が、帰省することに対しても感染拡大に繋がると問題視されており、一部のテレビコメンテーターからは殺人者呼ばわりされているぐらいです。だいたい、日本人は同調圧力が強く、社会の風潮や根拠の薄い常識論に流されがちです。そのため、緊急事態宣言が出ている都市から、キャンプのようなレジャーに行くことには猛烈な批判にさらされることは想像に難くありません。

そんな時期に、環境省はキャンプ場の利用拡大を促進する措置を採るというのです。私も目を疑いましたが、特に奇異に感じたのが「キャンプ場などは屋外で比較的感染リスクも低い」ということを理由にしている点です。3密の考え方からすれば間違いではありませんが、そもそもキャンプは不要不急の外出にあたるのではないのか、という前提が抜け落ちています。
緊急事態宣言を出し、市民に外出を自粛を要請する一方、外出を促進する政策を環境省が出すというのは、政府として矛盾していると言わざるを得ません。緊急事態宣言が出されていない地域の方のみ、キャンプに来てくださいということなのかもしれませんが、このタイミングで新型コロナウィルス対策としてキャンプ場利用を促進する政策を出すことは矛盾としか言えないでしょう。先日の記事で書いたように、悩んでいた私がバカみたいです(苦笑)。

武漢からCOVID-19が中国全土に拡大したのは、春節で大量の武漢在住者が移動したからですので、感染者の多い都市部から市民が他地域に移動することを制限しようという動きは、感染症対策としては合理的政策です。いくらキャンプ場が3密に当たらないと言っても、キャンプ場までの道中や周辺施設で感染を広めてしまうリスクは避けられません。
空気を読む、出る杭は打たれる日本社会において、帰省すら攻撃されるのに、外出自粛要請のある地域の市民がキャンプ場に殺到すれば、猛烈な非難に曝(さら)されるでしょう。現に首都圏近郊の公営キャンプ場は、休止が相次いでおり、緊急事態宣言が出ていない茨城県大洗町でも、公営キャンプ場が臨時休業しています。
http://www.oarai-info.jp/page/page000505.html

緊急事態宣言の政策の弊害

そもそも、通信環境の整備は総務省管轄なのですが、それを省庁の壁を越えて環境省が行うことも異例です。どう考えても、新型コロナ対策を理由にした、どさくさ紛れの予算の取り合いにしか見えません。キャンプ場のWi-Fi整備だけで6億円ですよ!?総予算115億円って、これが今回の新型コロナ対策に有効とは、いくらキャンプ好きの人でも思わないでしょう!!
こんな議論をする以前に、もっとやらなければならないことがいっぱいあります。そもそも、外出自粛を要請するのであれば、飲食店・小売業・旅行業・宿泊業など直接打撃を受ける業種に対して売り上げ減少に対する補償をしなければなりません。4/8現在、東京都と政府が休業要請を行う業種に、理髪店やホームセンターを入れるかなどで揉めていますが、何をいまさらやっているのかと思います。こんな議論は、緊急事態宣言を出す前に提示しておかなければならず、外出自粛と補償は一体で行わなければなりません。政府は、今のところ外出自粛要請の状況を2週間ほど見てから具体的な休業補償を検討する考えで、これは、市民の善意で感染が縮小すれば、飲食店や小売業への保証もあまり行わなくても大丈夫だろうという、極めて楽観的で希望的観測のもとに行っていると言えます。つまり、利用者もサービス提供者もお互いの善意でなんとかしてよという、市民に責任を丸投げしている政策です。
本来であれば、外出自粛要請と共に、それによって被害を受ける全業種に対する補償を行った上で休業要請を行うべきです。単なる外出自粛要請だけで、飲食店に代表される各種サービス業に対して何の救いの手も差し伸べないのは、真綿で首を絞めるようなものです。

希望的・演繹的な考え方しかできない日本人

こんな無策状態は、海外と比べても異常と言わざるを得ません。日本人は、帰納的に物事を考えることが極端に不得意で、常に視野の狭い演繹的な手法を採る悪癖があります。中途半端な現状分析から未来を希望的に予測し、目先の対策を打っていくため、結果として場当たり的な対応に終始して抜本的な解決ができなくなるのです。今回の新型コロナ対策に当てはめると、検査数の少ない現状で、どれぐらい患者が増加するかという予測は、できるだけ少ない数字を採用し、緊急事態宣言も外出自粛要請だけでお茶を濁そうということになります。
感染症は地震と異なり、事前に対策が検討できる災害です。どの程度の人数に感染すると医療崩壊が起こるか、感染スピードがどの程度になれば感染爆発(オーバーシュート)が起こるかなど、基本的には統計学により予測可能です。そうなる前に、ここまで来たらこういう対策を打つというガイドラインを事前に決めておけば、あとはそれに従って行動すれば良いのです。だいたい、どのような状態になったら緊急事態宣言を出すかですら、事前に決めていなかったため、企業や市民は突然の宣言に右往左往することになるのです。
特に日本の行政は、数字を隠す傾向にあり、政府にとって不都合な情報を公開することを極端に嫌います。COVID-19の感染者数を正確に把握することが、感染対策を行う上で最も重要なことですが、未だにPCRなどの検査を渋っている状況です。某芸能人が、なかなか検査しておらえなかったことを告白していることをご存じの方も多いと思いますが、これが日本の実情だと言えます。
ドイツでは、1日約5万件の検査を行っており、日本の1日約2千件の実に25倍に達します。これに加え、更に新しい検査方法が開発されており、よりスピーディに、安全にCOVID-19の検査を行えるように体制を整えていっています。
日本が、なぜこれほど検査を行わないかと言えば、厚労省を主体とする行政サイドが現実を知りたくないからとしか思えません。現実の数字を正確に把握してしまえば、発表せざるを得なくなり、その責任を誰がとるのかという問題が発生してしまうので、常にグレーにしておくのが良いと考えている訳です。グレーにしておけば、責任を取らされることも無く、たとえ問題が生じても、詳細は不明なためとして逃げ切れるからです。
勿論、安倍首相への忖度も働いていることでしょう。無策で、いたずらにCOVID-19による感染を放置し、オーバーシュートでも起こした際は、首相の責任問題になりかねません。万が一オーバーシュートが起こっても、「実態を把握するのが困難だった」とか「想定外だった」などの言い訳ができるように、わざとまともな検査を行っていないのではと勘繰りたくなるのも無理からぬことでしょう。

同調圧力を助長するマスコミ

テレビに代表されるマスコミにも問題があります。現在、マスコミは、外出自粛を呼びかけています。品川駅前の朝の通勤ラッシュを映して、あまり外出が自粛されていないなどと批判的に報道してるのを見ると、全く現実を分かっていないマスコミのレベルの低さに辟易します。だいたい、働き方改革が遅々として進んでいない日本企業が、突然テレワークと言われても、そのインフラさえ整っておらず、急に対応できるはずがありません。また、製造業中心(マスコミが大好きなモノづくり日本)の企業は、現場に出てこないと仕事にならない訳で、社員全員がテレワークできる企業など極一部に限られます。
品川駅の通勤者だって、できればテレワークしたいと思っている方が大多数でしょう。そのような、現場の業務の詳細を調査もせず、単なる印象論で報道するなど言語道断です。このような報道が、かつて日本でも横行したことがあります。マスコミと体制翼賛的な市民が一体になって「欲しがりません、勝つまでは」と叫んでいた、あの時代です。新型コロナに勝てないのは、外出自粛要請にも係わらず外出する人が悪いと、市民のせいにする風潮が起こらないとも限りません。敵はあくまでCOVID-19であり、悪いのは無策な政府であるのに、感染者が悪者にされないとも限らないマスコミの風潮に私は苦慮しています。

日本は本当に感染が少ないのか

日本の感染者数は、4/8現在、感染者4,257名、死者81名(いずれもダイヤモンド・プリンセス号患者を除く 出典:厚生労働省)となっています。単純計算では、死亡率約1.9%です。
一方、4/8現在の海外の状況は、米国で感染者363,321名、死者10,845名、ドイツで感染者103,228名、死者1,861名となっており(出典:WHO)となっており、死亡率は、米国が約3%、ドイツが1.8%となっています。
確かに、見かけの感染者数は少なく、死亡率もドイツと近いので、現状では感染はそれほど広がっていないと推測することはできます。ただ、検査数に対する発症者数や人口密度なども踏まえて総合的に判断する必要があるため、これだけで日本は大丈夫とは言えません。

さて、外務省は、国別の1万人当たりの感染者数を発表しているのですが、それによると、日本は1万人当たり0.33人と極端に低い数値になっています。


単純比較では、日本より欧米の方が圧倒的に感染が広がっているように見えますが、これも、人口密度と検査母数が考慮されていないため、科学的には意味がありません。
日本政府は、中国の数字に無症状が含まれていないことを挙げていますが、諸外国に比べて検査数が圧倒的に少ないことにはまったく触れておらず、自分たちの数字も信用できないことは棚上げしています。

厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10752.html

WHO
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/
https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200408-sitrep-79-covid-19.pdf?sfvrsn=4796b143_4

外務省
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

感染拡大の意味

確かに、前述のとおり、死亡率が高くないことから考えると、実態として日本はまだそれほど感染が広がっていないとは考えられます。問題は、感染拡大の速度です。1次関数的な増加率であれば、病床数を超えない範囲で退院者との均衡を採ることが可能ですが、2次関数的な増加率になると、感染を止めることが困難になります。要は、単純に感染者1人が何人に感染させるかということになります(正確には感染期間も重要なのですが、計算がややこしくなるので省略します)。
1人が1人に感染させるのであれば、患者数は増加しません。これを感染率で表すと、1倍ということになります。1人が、1.2人に感染させるとすると、1.2倍ということになります。感染率が1.2倍だとすると、10日後の感染者数は約5人と緩やかな増加に留まります。ところが、感染率1.5倍では10日後に約38人と、大きな開きができます。わかりやすくグラフにしてみましょう。


感染率が1.2(青線)と1.5(赤線)では、感染者数が大きく変わってくることが判ります。
これが、1人が2人にうつすような感染率2倍の状態だと下記のようになります。


1日目に1人だった感染者は、10日で512にまで増加します。完全なオーバーシュートです。専門家会議で多くの学者が恐れているのは、このことなのです。いかに感染率を下げるかというのが重要になるため、接触者を少しでも減らし、感染率を下げるために外出自粛を要請しているというわけです。
ちなみに、東京都の新規感染者数を比べて上記のようなグラフが連日報道されていますが、はっきり言って統計学的には無意味です。今日は昨日に比べて〇人増えた・減ったなどと一喜一憂しても、未来は見えてこないのです。
未来を正確に予測するためには、十分な母数を得る必要がありますので、1日数十~数百人規模のPCR検査では、母数が少なすぎて、予測値が大幅にブレます。統計学上、正確に予測するためには、母数1万程度とされています。せめて東京都内だけでも毎日5,000件程度のPCR検査ができていれば、もう少し信頼できる予測ができるのですが、検査自体を嫌がる現状では、正確な予測すらできない状態です。
私は、理系出身ですので、正確に観測された事実と数字しか信用しません(笑)。

結局感染拡大の責任はだれがとるのか

今、安倍首相が2週間外出自粛を行うことでピークアウト(新たな感染者数が減少していく)すると訴えていますが、ピークアウトしなければ、だれが責任を取るのでしょうか。自粛要請をしたにも拘らず、外出して感染者数を増やした市民に責任があるというのでしょうか。私たちに責任を押し付け、最後はしょうがないよね、災害だもんね、といって誤魔化すつもりなのでしょうか。

現在、各国から日本の緊急事態宣言の甘さと検査数の少なさが批判を浴びていますが、論理的に考えれば当然のことです。日本人は、真面目で清潔だから海外のようにロックダウンしなくても大丈夫などと言う人もいますが、はっきり言って何の根拠もありません。感染率を抑えるためには、市民の行動を制限するしかありません。そのためには、飲食店や娯楽施設のような感染リスクの高い場所に、市民が行かないように休業することが重要となり、休業要請を行うためには保証が絶対条件になるのです。
検査についても、正確かつスピィーディに行うことで、知らない間に感染を広げてしまうことを防ぐことができます。私の周りでも、風邪の症状があって会社を休んでいる人がいますが、37.5度以上の熱が無いので、単なる風邪として処理され、PCR検査も受けずに復帰しています。このような合理的でない状態だからこそ、海外からも批判されている訳で、統計学的にも信用できないという日本の状態は、中国のことを批判している場合ではありません。
一刻も早く、この先進国(?)として恥ずかしい社会状態が正常化することを願っています。

COVID-19に対する抜本的な対策

政治学の素人な私がこのようなことを書くのは憚られるのですが、個人的な考えとして思っていることを書きたいと思います。
先ずは、国民の生活保障面です。これは単純に、前年ベースで3カ月分の収入を国が個人に支払えばよいのです。支払額は、会社員であれば去年の源泉徴収を元に計算すれば簡単です。個人事業主などであれば、確定申告の書類で計算可能です。これらを付けて、しかるべき窓口に申請すれば、3カ月分出るようにすれば良いのです。ここで問題になるのが、富裕層はどうするのかという話がありますが、そんなことは後から決めて所得税に上乗せすれば問題ないはずです。給料が一切減らない会社員も、後から税金で取れば、不公平感は減ります。一番大切なのは、スピード感ですので、こうすれば、会社をクビになろうが、給料が0円になろうが、当面は暮らすことができます。
一方で、会社は、家賃や減価償却など、様々な支出があります。社員の給与は前述の施策で3カ月は払わなくてもOKになりますので、売り上げゼロのタクシー会社などは、クビにせずに済みます。それ以外の会社の経費は、既に行っている無利子の融資で解決できます。融資窓口は、既存の取引銀行にすれば、スピィーディーに行うことができるでしょうし、融資の取引記録を元に国に申請すれば差額を税金で支給するようなシステムで運用可能なはずです。
このように、個人と会社の2本立てで、税金による社会保障を行えば、みんな喜んで自粛・休業し、速やかにCOVID-19の感染を抑え込むことができると思います。
私の友人は、この騒ぎで収入が無くなり、悲痛な叫びを上げています。政府には、とにかく最速の対応が求められています。


このブログは、あくまで私の趣味であるキャンプについてのみ書くつもりで、政治・社会についての議論を行うことは避けてきたのですが、今回だけは見逃せませんでした。

最後に、私の座右の書がありますので、それをご紹介しておきます。
現在の日本の問題点が良く分かる良書ですので、ご興味のある方は是非ご一読ください。




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