ウバメガシの玉切り。手前の大きな玉切りは薪割台。左端はキャンプ場で使っている小型の薪割台。 |
ウバメガシは、名前に樫と入っていますが、コナラ属に属する種です。一般的に樫と言われるアカガシ、アラカシなどは、アカガシ属に属するので若干種類が異なります(コナラ属に分類されることもあるようです)。 さて、そんなウバメガシは、水に沈む木とも言われるほど重い木で、気乾比重(ある程度乾燥した木材の比重)が0.99となっており、乾燥前なら確実に水に沈みます。アカガシ、アラカシなどでも気乾比重は0.8~0.9近くありますが、ウバメガシには及びません。
比重が重いということは、それだけ木の細胞が詰まっているということで、つまりはとても硬いということになります。また、それだけ詰まっている木であるため、炭にした時も火持ちが良いので、ウバメガシは最高級備長炭に利用されています。
実は、ウバメガシが重くて硬くて割れにくいことは、知識としては知っていたので敬遠していた訳で、いざ体感するとやっぱり硬くて割れない木でした(苦笑)。
まず、いつもの通り、薪割台に乗せて、斧を振るいます。
この玉切りは、根元近くの部分で、中心にウロが入っています。
パッカーン!!
気持ちよく1発で割れました(^o^)
まあ、ウロが入っているので、強度的にはかなり弱い部分ですので、当然と言えば当然かもしれません。
含水率を測ってみると、15.5と結構低いです。
実家で切り倒したのがゴールデンウィークですから、それから半年は経っていますので、玉切りの状態でもそこそこ水分が抜けたようです。
気を良くした私は、早速次の薪に取りかかりますが・・・・
やっぱり予想通り割れません!
ウロのある部分ならいざ知らず、まともに詰まった玉切りとなると、全く歯が立ちません。
カエデなどは、斧を打ち込んだ瞬間に刃が跳ね返されるような感触があるのですが、ウバメガシは刃は刺さりますが物凄い粘りが感じられ、まるでとてつもなく硬い粘土のようです。
今回の玉切りは、直径20cm前後ですが、全然刃が入っていく気配がありません。割れ目から含水率を測ってみると、17.6%でした。少し乾燥しすぎたかもしれません。一般的には、乾燥すると木が締まって硬くなるので、薪割りがしにくくなります。
打ち込んだ刃を抜くのにも一苦労。とにかく刃に玉切りが喰いつくので、一旦、薪割台から下ろして斧をてこの要領で抜かなくてはなりません。
まあ、こんなこともあろうかと、こんな道具を用意していたので、早速割方を変えます。
鉄製の楔(くさび)です。
これを、斧頭の後ろで打ち込んでいくのですが・・・・
やっぱり、なかなか入っていきません。
色々工夫して打ち込んでみるのですが、斧で楔を打ち込むのはあまり効率が良くなく、やっぱりスレッジハンマーを買ってくるべきだったと後悔。
そして、打ち込んでいっても途中から殆ど入らなくなるので、むしろ抜けなくなる方が恐くなってきました。
愛斧ヘリテイジ嬢(?)も痛むので、楔を打ち込んで割るのを断念。
こうなったら、方法はただ一つ。
チェーンソーでぶった切る!
上から切っていって、8割ぐらい切れたところで、上から楔を打ち込んで割ります。
楔を打ち込むのには、ヘリテイジ嬢はかわいそうなので(笑)、別のウバメガシを使ってバトニングの要領で打ち込みます。
それにしても、硬いです。切り倒して玉切りにしたときはそれほど感じなかったのですが、切っている時にチェーンソーの刃が滑ります。あまりに滑る場合は、角度を変えるなどして慎重に切っていきました。
特に硬かったのが、少し曲がっていて節のあるこの部分です。刃が滑ってしまって、中々切り進めず、苦労しました。
なんとか、あらかた切りましたが、がっつり節の入った部分は切るのを諦めました。ただでさえ硬いのに、節なんて更に硬い部分を切るのはさすがに無謀と言うものです。
節の塊。左端の玉切りは、後日小さく切って、薪割台にする予定。 |
このまま焚火にくべるか、当分放っておくか・・・たぶん放っておきます(苦笑)。
さて、太めの玉切りを1つだけ残して薪割り終了。
含水率を測ってみると、だいたい18~23%ぐらいです。
もう少し乾燥させれば、今期の雪中キャンプで使えるかもしれません。
結局、最初に気持ち良く割れたのも含めて5個の玉切りを処理するのに、2時間以上かかりました。
チェーンソーを握り続けた右手は、プルプル震えるぐらい疲労し、数日間筋肉痛に悩まされることに。
いくら薪が欲しくても、ウバメガシには手を出してはいけないということを思い知らされた今回。
どう考えても、割に合わない薪割りでした。