使い始める前に準備する物
薪ストーブを本格的に使う前に、以下のアイテムを用意しておくと、より楽しむことができるので、事前に揃えておくことをお勧めします。十能(じゅうのう)
薪ストーブ内に溜まった灰を取るためのスコップです。灰をすくいやすいように、先がとがっていないのが特徴です。
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火ばさみ
薪を追加したり、薪ストーブ内の燃えている薪の位置を調整したりするのに使います。筒型などの奥行きがある薪ストーブでは、長い火ばさみでないと奥まで届かないので、奥行きに合わせて選ぶのがポイントです。
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耐熱グローブ
薪を追加する時に扉を開けるのに使います。短時間なら熾火を触ることもできるので、薪の追加中に熾火が転げ落ちたりした時に、直接つかんで炉内に戻すことができます。薪ストーブを使ってスキレットやダッチオーブンで調理する時にも使えるので、1双はもっていたいアイテムです。
米国のスタンコ社のグローブが有名ですが、色によって耐火温度が違うので、購入時には気を付けてください。
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薪ストーブ用温度計
絶対に必要という訳ではありませんが、適切な温度管理は薪ストーブを長持ちさせる秘訣でもありますので、余裕があれば用意しておきましょう。
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LOCTITE(ロックタイト) 焼き付き防止潤滑剤
殆どのアウトドア用薪ストーブの煙突は、差し込み式になっています。この差し込み式は、すり合わせが硬くなって抜けなくなることが良くありますので、焼き付き防止潤滑剤を塗っておくことをお勧めします。
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塗る量は、ごくわずかでよいです。すり合わせ全面に塗ると、写真のように熱で垂れてきて、煙突がめちゃくちゃ汚くなります(苦笑)
本格的に使う前に一度試し焚を行う
購入する薪ストーブによりますが、特に鉄製の薪ストーブは防錆剤などが塗られていることが多く、最初に焚いた時に異臭を放つことがあります。ですので、使い始めには必ず説明書を確認してください。特にテント内で使うことを考えている場合、異臭がテント内に充満するとタイヘンですので、外で試し炊きをしてからテント内に移動しましょう。
薪について
使用する薪についてですが、焚き始めは、ストーブ全体を暖める必要もあるので、まずは燃えやすく高火力な針葉樹の薪を用意しましょう。特に杉や檜はヤニが少なく、針葉樹の中では煤も出にくいのでお薦めです。松は燃えやすいですが、煤が多く出るので、特に窓ガラスが真っ黒になったりします。一旦火が着けば、火持ちが良い広葉樹の中割~大割が良いです。
薪のサイズや長さは、使用する薪ストーブにも左右されますが、概ね以下のサイズを参考にしてください。
小割:直径1cm以下の細い薪 焚き付け用
中割:直径3~5cm程度の薪 ストーブを暖めるまでの序盤から中盤にかけて
大割:直径10cm以上の薪 完全にストーブが暖まって平常運転になったら使用
薪に付いては、こちらにまとめてあるので、参考にしてください。
注意点としては、いずれの薪も、充分に乾燥したものを使用してください。キャンプ場などで売っている薪は、乾燥が十分でない場合も多いので、できればホームセンターなどで売っている薪ストーブ用の薪を購入してください。乾燥が十分でない薪は、燃えにくいだけでなく、煤が大量に出るのでガラス窓が真っ黒になりますし、煙突にも煤が溜まるので掃除がタイヘンです。
良質な薪が手に入らない時に私がお勧めするのは、焚きつけと火力調整用に杉の薪、平常運転向けにオガライトです。
この組み合わせが、一番失敗無く焚けます。
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オガライトは、おがくずを加熱圧着して成形されたものです。火が着きにくいですが、火力があり、1本で30分以上燃えます。
また、しっかりとした熾もできるので、調理にも向きます。煤は殆ど出ないのですが、炎は少なめのため、観賞用としては微妙です。
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似たような商品に、「ブリケット」というのがあります。触れ込みのように広葉樹の2倍以上の火持とまでは行きませんが、こちらもそこそこ火持ちが良く煤も殆ど出ません。
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薪の分量ですが、焚きつけ用の杉薪は1キロあれば十分です。
広葉樹の薪は、焚き方にもよりますが、1束5キロ程度で、3~4時間、オガライト1本あたり30分を目安にしてください。
薪ストーブの薪は上から燃やす
焚火は下から焚きますが、薪ストーブは上から焚くのがベストです。火の熱は当然上に行きますので、着火材の上に小割の薪、その上に大きな薪と置いていくのが焚火の基本ですが、これは、焚火がオープンな屋外で行われるためです。屋外では、焚火台を使っていても熱効率が悪いので、着火時の熱エネルギーを最大限使うことを優先します。そのため、細い薪を下に、太い薪を上にして、下から徐々に熱を上に伝えて太い薪を燃やしていきます。この細い薪が燃えいる時は、上の太い薪は熱量が十分でないので不完全燃焼状態になり、多くの煙を出します。但し、熱エネルギーを最大限に使うことができるため、完全に火が熾るまでの時間が短縮できるというメリットがあります。
逆に、薪ストーブは閉鎖空間で焚くので熱効率が良いため、上から焚くことで煙(煤)を少なくすることができます。上から焚く場合、最初の細い薪が燃えている時は、薪自体が燃焼するために熱エネルギーの殆どが使われるため、上に薪を積み重ねるより短時間で高温になります。この高温になった細い薪の輻射熱で下の太い薪が暖められて順次燃え移っていきますので、不完全燃焼を抑え、煙を少なくすることができるのです。
また、上から焚いていくことで、早く煙突が暖まり、ドラフト効果(煙突内の上昇気流)を高めて排煙をスムーズにすることができます。薪ストーブの場合は、煙突が排煙する力で吸気口から空気を吸い込むため、早くドラフト効果を上げることが重要になります。焚火と違って、薪ストーブはうちわなどで扇がなくても勝手に燃えてくれるのは、このドラフト効果によりスムーズな空気の流れが生まれるからです。
薪ストーブ内の薪の置き方と燃やし方
薪の置き方は、まず最初に中割の薪数本を置きます。使う薪は、写真ではクヌギを入れていますが、火が着きやすい杉などの針葉樹がベターです。大きな薪ストーブなら、なるだけ空気が通りやすい様に少し斜めにして重ねると良いです。
その上に、小割の杉か、割り箸を10本ほど入れます。
最期に着火材を入れて点火します。この時、吸気口は全開にしておき、ダンパーも全開にします(詳しくは後述)。
その後、下の薪まで燃えてきたら、広葉樹の薪を追加して本格的な燃焼に移っていきます。この時、熾火が少ないと広葉樹の薪は燃えませんので、状態を見なが燃えにくそうな場合は、小割の針葉樹薪を入れて火力を上げます。
大割の広葉樹薪が順調に燃えるようになれば、薪ストーブの温度は250度程度まで上がっているはずです。あとは、薪ストーブの適正温度(鉄製であれば350度が目安)を超えない範囲で運転していきます。
筒型の薪ストーブの場合は、最奥に煙突があるため、箱型とは着火方法が異なります。先に中割の薪を奥まで入れておき、手前に着火剤などを置いて着火します。
大割の広葉樹薪が順調に燃えるようになれば、薪ストーブの温度は250度程度まで上がっているはずです。あとは、薪ストーブの適正温度(鉄製であれば350度が目安)を超えない範囲で運転していきます。
筒形の薪ストーブは、前面から入った空気が煙突へと抜けていくため、前で着火した炎が、自然と奥へと燃え移っていきます。
そのため、着火に関しては、箱型よりも簡単です。
ダンパーを閉めれば、煙突からの排煙が少なくなるので、空気の流れが悪くなり、燃焼温度が下がります。吸気口とダンパーの両方を空けると、空気の流れが良くなり勢いよく燃えて温度が上昇します。特に大きな薪を追加した直後は、急激に炉内の温度が下がりますので、吸気口とダンパーを全開にして薪に火が回るまで火力を上げる必要があります。
注意点としては、扉を開ける時は、ダンパーを先に全開にしておくことです。ダンパーを全閉にしていると、扉を開けた瞬間に、庫内の空気が逆流してきて大変危険です。煙がテント内に入るだけでなく、火事の原因にもなるので気を付けてください。
基本的には、薪ストーブは本体温度が250~300度で運転するのがベターです。これぐらいが最も燃焼効率が良いからです。あまり調子に乗って薪をくべると、煙突まで真っ赤になりますが、この時の温度は、本体で軽く400度を超え、煙突は600度近くになっているはずです。ここまで温度を上げてしまうと、熱を殆ど煙突から外に捨ててしまうことになるので、燃費が悪く、ストーブ本体を痛めることにもなります。また、大量の火の粉を煙突から出すことにつながるので、特に化繊のテントは穴が空く可能性が高まります。
温度が上がりすぎた場合は、吸気口を閉めてダンパーも閉めることで、燃焼を抑えることができます。この時、気密性の低い薪ストーブの場合は、煙が漏れてくる場合がありますので、その場合は少しづつダンパーを空けて、煙が漏れてこない位置に調整してください。
ダンパーをある程度閉じて、空気の流れをあえて悪くすることで、燃え残った可燃性ガスを炉内で更に燃やすことができます。家庭用の据え置き型薪ストーブほどの本格的な2次燃焼は無理ですが、ダンパーを閉じてなるだけ炉内に薪から出たガスが長く残るようにすることで、2次燃焼を促進することができます。
目安としては、灰色の煙や煤が煙突から殆ど出ていない状態が理想です。ちなみに、白い煙は水蒸気ですので、薪の含水量が多いか、薪ストーブの温度が低すぎで不完全燃焼が起こっているかのどちらかです。
面倒ですが、吸気口とダンパーで燃焼を自在にコントロールできるようになれば、あなたも薪ストーブマイスターです!(笑)。
むしろ、薪ストーブは燃焼効率が良いので、完全に燃やし尽くせば、灰しか残りません。残った灰は、捨てずにとっておいて次回に使いましょう。特に鉄製の薪ストーブは、炉内に灰を敷いておくと熱から底板を保護することができます。この辺は、薪ストーブの種類によっても異なるので、説明書をチェックしておきましょう。
特に一酸化炭素中毒の心配が無い薪ストーブは、就寝時の暖房としてこそ威力を発揮してほしいわけですが、ダンパーと吸気口を全閉にしても2時間持ちません。
私も、薪ストーブの前で寝て、数時間毎に起きて薪を追加するというのに挑戦したことがあるのですが、見事に寝てしまいました。結局寒さで起きて、その度に着火材と薪を入れて燃やすという悪循環を繰り返すだけでした(苦笑)。
以上、薪ストーブの使い方について、私の経験も踏まえて解説させていただきました。
皆様の薪ストーブキャンプの参考になれば幸いです。
温度のコントロールについて
薪ストーブの温度管理は、吸気口とダンパーの開け閉めで行います。薪ストーブ下側にある楕円形の穴が吸気口 。 写真は吸気口を閉じている状態。 |
吸気口を空けた状態。 |
煙突内の円盤状の板がダンパー。 写真は閉じた状態。 |
ダンパーを開いた状態 |
ダンパーを閉めれば、煙突からの排煙が少なくなるので、空気の流れが悪くなり、燃焼温度が下がります。吸気口とダンパーの両方を空けると、空気の流れが良くなり勢いよく燃えて温度が上昇します。特に大きな薪を追加した直後は、急激に炉内の温度が下がりますので、吸気口とダンパーを全開にして薪に火が回るまで火力を上げる必要があります。
注意点としては、扉を開ける時は、ダンパーを先に全開にしておくことです。ダンパーを全閉にしていると、扉を開けた瞬間に、庫内の空気が逆流してきて大変危険です。煙がテント内に入るだけでなく、火事の原因にもなるので気を付けてください。
基本的には、薪ストーブは本体温度が250~300度で運転するのがベターです。これぐらいが最も燃焼効率が良いからです。あまり調子に乗って薪をくべると、煙突まで真っ赤になりますが、この時の温度は、本体で軽く400度を超え、煙突は600度近くになっているはずです。ここまで温度を上げてしまうと、熱を殆ど煙突から外に捨ててしまうことになるので、燃費が悪く、ストーブ本体を痛めることにもなります。また、大量の火の粉を煙突から出すことにつながるので、特に化繊のテントは穴が空く可能性が高まります。
温度が上がりすぎた場合は、吸気口を閉めてダンパーも閉めることで、燃焼を抑えることができます。この時、気密性の低い薪ストーブの場合は、煙が漏れてくる場合がありますので、その場合は少しづつダンパーを空けて、煙が漏れてこない位置に調整してください。
私の自作のダンパー |
ダンパーをある程度閉じて、空気の流れをあえて悪くすることで、燃え残った可燃性ガスを炉内で更に燃やすことができます。家庭用の据え置き型薪ストーブほどの本格的な2次燃焼は無理ですが、ダンパーを閉じてなるだけ炉内に薪から出たガスが長く残るようにすることで、2次燃焼を促進することができます。
目安としては、灰色の煙や煤が煙突から殆ど出ていない状態が理想です。ちなみに、白い煙は水蒸気ですので、薪の含水量が多いか、薪ストーブの温度が低すぎで不完全燃焼が起こっているかのどちらかです。
煙が殆ど出ていない状態が理想。 |
面倒ですが、吸気口とダンパーで燃焼を自在にコントロールできるようになれば、あなたも薪ストーブマイスターです!(笑)。
消火とあと片付け
薪ストーブを消すには、薪が燃え尽きるのを待つしかありません。水を掛けたりするのは絶対NGです!むしろ、薪ストーブは燃焼効率が良いので、完全に燃やし尽くせば、灰しか残りません。残った灰は、捨てずにとっておいて次回に使いましょう。特に鉄製の薪ストーブは、炉内に灰を敷いておくと熱から底板を保護することができます。この辺は、薪ストーブの種類によっても異なるので、説明書をチェックしておきましょう。
薪ストーブの欠点
火力が高く、調理もできる薪ストーブですが、唯一の欠点は、30分~1時間に1回は薪を追加しなければならないことです。キャンプ向けの薪ストーブは、コンパクトなため、据え置き型の薪ストーブのように大きく太い薪を入れることができません。大型の薪ストーブであれば、炉内に薪を積み上げて上から燃やしていけば、半日はもつのですが、小型の薪ストーブでは、積み上げても、2~3本ですので、長時間焚き続けることができないのです。特に一酸化炭素中毒の心配が無い薪ストーブは、就寝時の暖房としてこそ威力を発揮してほしいわけですが、ダンパーと吸気口を全閉にしても2時間持ちません。
私も、薪ストーブの前で寝て、数時間毎に起きて薪を追加するというのに挑戦したことがあるのですが、見事に寝てしまいました。結局寒さで起きて、その度に着火材と薪を入れて燃やすという悪循環を繰り返すだけでした(苦笑)。
以上、薪ストーブの使い方について、私の経験も踏まえて解説させていただきました。
皆様の薪ストーブキャンプの参考になれば幸いです。