焚火の定番フェザースティックの作り方とナイフ選び

2019年9月3日

キャンプtips 焚火

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三冬社発刊の「余暇・レジャー&観光総合統計2020-2021」によると、「キャンプについての調査」で、キャンプでやりたいアクティビティについて、3位が「焚火・キャンプファイヤー」でした(ちなみに、1位はバーベキュー、2位は花火)。焚火のための火熾し(ひおこし)の詳しい方法についてはこちらで紹介しましたので、今回は、焚きつけとして重要な役割を果たしてくれる「フェザースティック」の作り方をご紹介したいと思います。


フェザースティックとは、細く割った薪の表面を薄く削ってカールさせた状態の物です。フェザーとは鳥の羽のことで、薪の表面に作られたカール状の削った木が鳥の羽のように見えることからこの名が付けられました。
フェザースティックは、通常の薪に比べると、薄く削ることで着火しやすく、フェザーの間に空気が含まれるので燃えやすくなっているため、焚きつけに適しています。
昔は、焚きつけと言えば、杉の葉、杉や松の薄皮、乾いた落ち葉、小枝、松ぼっくりなどでしたが、近年ブッシュクラフトが流行りだしてからは、フェザースティックが着目されるようになりました。今でも杉の葉などはポピュラーな焚きつけですが、フェザースティックの良い所は、杉の葉などの焚きつけ材がキャンプ場近辺で手に入らない時でも、薪を数本持って行くだけで簡単に焚きつけを作れることです(本来のブッシュクラフトの趣旨からはハズレますが・・・)。

フェザースティックに向いている薪は?


フェザースティックは、簡単に着火できることを目的にしていますので、杉や松などの燃えやすい針葉樹が一番適しています。特に杉の薪は、ホームセンターなどでも簡単に入手でき、軽くて柔らかい木材なので削りやすく、フェザースティックには最適です。
広葉樹の薪は、とても硬いので削りにくく、フェザー作りには向いていませんし、着火性も劣るので、そもそも焚きつけには向いていません。
杉の薪は比較的安く手に入るので、事前に1束買っておき、そのうちの5~6本を焚きつけ用としてキャンプに持って行くと良いです。

フェザースティックの作り方

それでは、フェザースティックの作り方を説明します。
薪以外に用意するのは、ナイフです。折り畳みナイフでも出来なくはないですが、杉の薪を小割にするのにナイフを使いますので、ある程度の耐久力のあるシースナイフが必要となります。
初めてフェザースティック作りに挑戦するのであれば、安価なモーラナイフのCompanion Heavy Duty MGをおススメします。

バトニングで小割の薪を作る

まずは、フェザースティックに適したサイズの薪を作ります。市販の杉の薪は、5cm前後の太さがあるので、フェザースティックには少し太すぎます。フェザースティックには2~3cmの太さが適しているので、まずは薪を割る必要があります。
薪を割るには、斧や鉈が最適ですが、杉は柔らかい木材なのでナイフでも割ることが出来ます。

まず、薪を割るにあたって薪割台を用意します。本格的な薪割台があった方が良いですが、今回は簡便なバトニングを目指しますので、同じ杉の薪の中からなるだけ太くて角材に近い形のものを選んで台にします。


台にする薪の前後にも、同様に薪を置いておくと、誤ってナイフの刃が逸れた時にもナイフが地面に当たって傷むのを防ぐことが出来ます。


薪割台が設置できたら、台の上に薪を立てて、ナイフの刃を当てます。この時、ナイフを持つのは利き手と逆の方がやりやすいです。利き手でナイフを叩く方が、力が入りやすいからです。


ナイフのスパイン(峰)を薪で叩きます。


ナイフ全体が薪に食い込むので、その後は、ポイント(刃先)側を薪で叩きます。



ある程度、叩いていくと、最後は自然ときれいに割れます。


このようにバトニングで、小割の薪を作ります。

フェザースティックの作成

小割にした薪を削って、フェザースティックに仕上げていきます。
小割を薪割台の上で少し斜めに持って、手で押さえます。


ナイフの刃を上から押さえつけるようにして削っていきます。
ナイフの刃は、薪に対し直角ではなく、少し角度を付ける方が、抵抗が少なく削りやすいです。

最初は少し深く削り込みます。


こうすることで、削っているときに力を入れすぎてフェザーごと削り落としてしまうのを防ぎます。

深く削り込んだ少し手前まで削ります。


薪の角を削るようにしていくと、薄く削りやすいです。



削り落としてしまったフェザーや、削りカスなども立派な焚きつけですので、捨てずにとっておきましょう。


ティンダーフェザーとキンドリングフェザー


フェザースティックには、ティンダーフェザーとキンドリングフェザーの2種類があります。ティンダーとは火口(ほくち)のことで、火を付けるためのフェザーです。一方のキンドリングは、焚きつけのことで、小さな火を大きくするのに使います。
マッチやライターで火を付けるのであれば、キンドリングフェザーでも十分火を着けることが出来ますが、ファイヤースチール(メタルマッチ、フェロセリウム棒などとも言う)のように火花で火を着ける場合は、キンドリングフェザーでは厚みがありすぎて火が着きにくいため、より薄く削ったティンダーフェザーが必要となります。


ティンダーフェザーの作り方としては、まるで鰹節のようにとにかく薄く削る必要がありますので、片手に小割の薪を持って、ナイフの刃を当てて、薪を持っている方の手の親指で押すようにして削っていきます。


薄く削ることが出来れば、麻紐や脱脂綿が無くても火口として利用できますので、ファイヤースチールで着火することが出来るようになります。
アウトドアスキルとしてもカッコいい(?)ので、一度挑戦してみてください。




下記は、ティンダーウッドや白樺の薪までセットになっているので、焚火初心者には心強いセット。火熾しの説明書付き。



まずは練習から

フェザースティック作りはそれほど難しく考えることはありません。きれいにカールしていなくても、要は焚きつけとして使えれば良いわけですから、形にこだわる必要はありません。
それでも、普段からナイフを使ったことが無い場合は、戸惑うこともあると思いますので、そんな時は、割り箸で練習してみてください。割り箸も杉が使われているので、練習には丁度良いです。竹材などの割り箸もありますので、必ず杉の割り箸を使いましょう。

フェザースティックに向いているナイフ

フェザースティックと言っても、要するに焚きつけ用に木を削るだけですので、極端な話カッターナイフでも作ることが出来ます。まあそんな事を言ってしまうと元も子も無いので、私のおススメのナイフをいくつかご紹介します。
フェザースティックを作るのに向いているブレードの形状は、フラットグラインド、スカンジグラインド、コンベックスグラインドの3種類がありますが、どれがベストかというのは個人の癖もあるので一概には言えません。逆に言えば、色々使って一番手にしっくりくるナイフが自分に合っているグラインドということでもありますので、色々と使ってみることをお勧めします。

モーラナイフ Companion Heavy Duty MG

初心者向けの最初の1本として、最も安価で手に入りやすいナイフ。
MGはカーボンスチール製のため錆やすいが、切れ味はステンレスに勝るため、フェザースティック作りには向いている。ブレード形状は、スカンジグラインド。
タング(ブレードから繋がっているハンドル部分)がナロータングのため、耐久力には劣るが、杉や松などの針葉樹の薪であればバトニング可能。
今回紹介したやり方であれば、このナイフ1本で十分。
(詳細はこちら


モーラナイフ ROBUST(ロバスト)

刃長が約91mmとコンパニオンヘビーデューティーMGより少し短い。刃厚は3.2mmとMGと同じだが、刃幅が少し広く、ポイントのカーブもよりきつくなっているため、伝統的なスカンジグラインドに近いブレード形状になっている。
また、グリップ形状も若干異なり、特にヒルト部分が大きくなっている。
価格もMGより安く、伝統的なスカンジナイフの入門用としても最適なナイフ。
(詳細はこちら


ファルクニーベン F1

武生特殊鋼材のVG10を粘りのあるステンレスでサンドイッチしたクラッド鋼で作られており、切れ味と耐衝撃性、靭性を両立したナイフ。
厚さ4.5mmのブレードは、コンベックスグラインドに仕上げられており、タング構造もフルタングに近いラップドタングのため、バトニングからフェザースティック作りまでオールマイティーで何でもこなす高性能ナイフ。
(詳細はこちら


リアルスチール ブッシュクラフト プラス

スウェーデンのサンドヴィッグ社が開発したステンレス鋼である14C28Nを使用。
モーラのコンパニオンヘビーデューティーステンレスに使用されている12C27よりもエッジ保持力、硬度、耐食性がアップされている。
一見、フルタングに見えるが、グリップ内が肉抜きされているので、厳密にはフルタングでは無い。ただ、抜かれているのはグリップの2本のネジ間だけなので、耐久性には大きく影響はしない。
ブレードのグラインドは、フラット、スカンジ、コンベックスの3種類があるので自分の好みで選べるのも魅力。




ケラム プーッコ(KELLAM Puukko) スタンダードブレード

プーッコ(Puukko)とはフィンランド語でナイフのことを表しており、伝統的なスカンジナビア様式のナイフのことをプーッコと呼ぶ。ブレードは切れ味に優れた炭素鋼で、グラインドも当然スカンジである。刃長95mm、刃厚が3mmで、タングもナロータングのため、本格的なバトニングには向かないが、切れ味の良さと伝統的なグラインド形状から、フェザースティック作りには定評がある。
ハンドルはカーリーバーチで、本革製のシースのデザインもトラディショナルな雰囲気があり、工芸品としての美しさと実用性を兼ね備えている点も高ポイント。


ヘレ テマガミ

ヘレはノルウェイのナイフメーカー。刃厚は3㎜だが刃長が110㎜あるので、バトニングもやりやすい。タングは、上半分がグリップエンドまであるハーフタングのため、ナロータングよりも強度がある。
ドロップポイントのブレードをスカンジグラインドで仕上げており、トラディショナルなケラム プーッコに比べるとより現代的なデザインになっている。
グリップはカーリーバーチで、本革のシースが付属する。最近のブッシュクラフトブームから、品薄状態が続いている。



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