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実は、初めはアウトバックを買う気満々でした。レガシィにも乗ったことがあるので、スバルのフルタイム4WDの出来の良さは知っていましたし、キャンプ場の近辺や場内は悪路も多いため、キャンプメインで考えれば私にとっては走りと両立できるSUVしか選択肢がありませんでした。
そんな時に現れた候補が、CX-8です。私が買い替えを検討していた2017年10月頃は、まだ発売前でしたが、車雑誌などでの評判は良好で、発売前からかなりの予約が入っているとのことでしたので、気になっていました。とは言え、試乗もせずに決める訳にはいきませんので、近所のディーラーに試乗車が入るのを見計らって、試乗に行きました。
マツダ CX-8
最初に感じたのが、剛性の高さと静粛性です。走り出してすぐ分かるぐらい剛性が高く、近所のちょっとしたワインディングを走っても、全く問題なく走り抜けられます。アウトバックも剛性は高いのですが、CX-8はそれ以上の高い剛性感を感じ、むしろ欧州車(ドイツ車)に近いです。また、ホイールベースが、2930mmとアウトバックより更に185mm長いので、安定性が更に高く、乗り心地もとても良いです。中央線の鋲を踏んでも、僅かにコツコツと感じる程度で、高い静粛性と相まって、乗り心地としては相当高いレベルの出来です(後日試乗したBMWX3と比べても遜色が無かったです)。
CX-8はAWDだと車両重量が1910kgと2トン近い重量なのですが、その重量を感じさせないぐらいの乗り味で、思ったラインでコーナーをクリアできます。SUVで重量があるので、スポーツセダンには程遠いですが、スポーティー感は出ており、コントロール性とスタビリティが高度にバランスしています。ステアリングがもう少しクイックならもっと良かったのにとは思いましたが、高速道路をのんびり流すには、これぐらいの方が良いというのもあるので、難しいところです。さて、トランク容量ですが、通常では239Lと少ないですが、CX-8は3列シートのため、3列目を倒すと、572Lという大容量が確保できます。3人家族で3列目が不要の私にとっては、3列目レスモデルがあれば更に良かったのですが、それでもアウトバック以上の容量が確保できる点はありがたいです。
エンジンは、マツダ謹製SKYACTIV-D 2.2Lディーゼルターボですが、これがもの凄いトルクがあるので、 加速もかなりのものです。ターボ特有のラグも殆どなく、低速で侵入した交差点でもスムーズに加速して抜けていくことが出来ます。よっぽど意地悪い乗り方をしない限り、ターボラグを感じることが出来ないくらいで、最近のターボは良く出来ているなーと感心しました。ディーゼルはトルクが太いので、重量のあるSUVには向いているエンジンですが、ディーゼル特有の騒音がうるさいという問題があります(トラックのガラガラという音)。これが、CX-8では見事に抑え込まれており、加速時(回転数2000ぐらいから)に若干感じる程度で、ボディ全体の静粛性とも相まって、車内はとても静かです。
さて、以上の通り、CX-8を試乗するまではアウトバックにするつもりでしたが、試乗してしまうと一気に心が揺らぎました。ここで、2台のスペックを比較してみます。
スバル レガシィ アウトバック
全長×横幅×車高:4820×1840×1605mmホイールベース:2745mm
トランク容量:559L
エンジン:2.5Lガソリン
車両重量:1570kg
マツダ CX-8
全長×横幅×車高:4900×1840×1730mmホイールベース:2930mm
トランク容量:239L(572L)
エンジン:2.2Lディーゼルターボ
車両重量:1910kg
全長と車高が若干CX-8の方が大きいです。
車両重量は、アウトバックと比べるとCX-8は340kgも重いですが、ディーゼルターボの加速力がそれを相殺して有り余ります。また、CX-8もアウトバック同様フロントヘビーですが、ボンネットを開けると、ぎちぎちにエンジン関連部品が詰め込まれており、バッテリーも一番座席側に寄せているなど、できる限り重量配分を考慮した設計になっています。アウトバックは、北米仕様の3.5Lエンジンを積むために、かなり余裕のある設計になっており(エンジンルームがスカスカ)、バッテリーもフロント側に積んでいるなど、あまり重量配分を考慮していないように見えます。
この辺りが、ステアリングを切った時のコーナリングに現れているような気がして、わずかにCX-8の方が回頭性が良いように思います。また、CX-8は、2WD(FF)とAWDを乗り比べてみたところ、その差は殆ど感じることは無かったのですが、ワインディングでは若干AWDの方が安定性が良く感じました。おそらく、AWDの場合は、ドライブシャフトやデフギアが後輪側に追加されているので、その分前後重量配分がバック寄りになって改善されているのが影響しているのではと思います。
BMW X3 xDrive20d xLine
ちなみに、BMWのX3も試乗しました。試乗したX3 xDrive20d xLineというモデルは、CX-8と同じくディーゼルターボモデルです。X3はエンジン違いで、4気筒2Lガソリンの20i、4気筒2Lディーゼルターボの20d、6気筒3LディーゼルのM40dがありますが、営業いわく売れている殆どが20dとのことでした。このBMWの4気筒2Lディーゼルターボも良く出来たモデルで、とてもパワフルなエンジンです。BMWユーザにはおなじみのスポーツモードが搭載されており、ノーマルではCX-8と同等の感じがしたのですが、スポーツモードではチョット踏むだけで物凄い加速をしてくれます。まあ、これはスポーツモードだと意図的にアクセル開度に対してオーバースロットルに設定されているためなので、総合的に速いという訳ではありませんが。SUVとしては回頭性も良く、8速ATのためスムーズな加速と相まってBMWらしいスポーティーな走りを感じさせてくれます。トランクルームも550Lとまずまずな量です。
が、とても高いです。720万オーバー!!
323を中古で買った私からすると、とても手が出る金額ではありません。
CX-8と比較して、静粛性は同等レベル、走行性はトルクの太さはCX-8、加速全体のスムーズさは8速AT(CX-8は6速)のX3、安定性ではCX-8と言えます。シートの座り心地は僅かにX3ですが、CX-8も殆ど遜色ありません(アウトバックも同等レベルでスバルは国産車の中ではシートが良いです)。
あとは内装に関しては流石にX3の方が上ですが、値段が2倍近いので当然でしょう。
逆に言えば、CX-8は3列シートで、ボディサイズ的には一つ上のクラスのX5(920万!!)に近いわけで、値段的には相当安く感じます。
車に詳しく無い方はピンとこないかもしれませんが、日本車が剛性や静粛性、安定性、走行性など多くの点で欧州車に近づいたというのは、凄いことです。メルセデスにも短期間乗っていたことがありますが、以前はトヨタも含めて日本車と欧州車の間には、値段以上の差を感じていたのですが、CX-8は明らかにその差が無くなってきたと感じます。
マツダは、2012年にSKYACTIVテクノロジーの第一号車としてCX-5を発売して以来、これまでとは明らかに違う会社になったと感じていました。デザインコンセプトを各車種で共有化し、モデル名も番号で呼ぶなど、欧州車(特にBMW)を相当意識した車づくりを行っていると思われます。
以上のことから、私はCX-8を購入することにしました。
CX-8は、3列シートで6人乗りと7人乗りのパッケージがありますが、私は3列目を常に倒して使うことになるので、2列目がベンチシートタイプの7人乗りXD PROACTIV 4WDを選択しました。
さて、いざ購入するためには、最後の関門である、嫁を説得する必要があります。
ここで活躍するのが、娘です。「将を射んとする者はまず馬を射よ」ではありませんが、「嫁を説得する者はまず娘を説得せよ」という感じです。
要するに、アウトバックとステップワゴン、CX-8を家族連れで試乗して説得したわけです。
乗り心地と静粛性ではCX-8が一番良かったので、予想通り娘は「CX-8がいい!」と即答です。車内で立っても頭が天井に当たらないステップワゴンも気に入っていましたが、シートの出来が良いのと静か(娘は車の中ですぐ寝ます)というのが気に入ったようです。2列目シートも今までより広くなるので、自分一人で占領する気満々です。買い替えに反対していた嫁も、乗り心地と静粛性は気に入ったようですが、車検を通して半年という点が引っかかっていました。
しかし、ここで引き下がっては元も子もありません。
これからまたキャンプに行くことを考えると、いずれ買い替えることになるし、今のままでは娘がかわいそうと説得したところ、ついに嫁が根負けして買い替え決定!
(実は、ディーラーで年末特別価格でBMW323を下取りするという一言も大きかったです。)
金額は・・・
438万円
(消費税、諸経費込み、下取り台を引いた金額)
キャンプ沼に沈んでいなければ、あと数年乗ったはずのBMWを手放して、遂にCX-8を買ってしまいました。
車まで買い替えさせてしまうキャンプ沼。おそるべし。
しかし、こうなると、9月に車検で交換したバッテリーが悔やまれます。車検はBMWのディーラーで受けていたのですが、バッテリーはずっと交換しておらず、あと数年乗るなら1回は交換しておこうと、今回変えたのです。そのお値段、何と10万!
失敗したー
CX-8に興味のある方は、下記の記事もご参照ください。
CX-8に1年以上乗って気付いたこと~キャンプで車中泊も快適に!!~