キャンプとナイフの関係のところで書けばよかったのですが、マルチツールナイフは、これはこれで奥が深いので、改めてまとめてみました。
マルチツールナイフとは、ナイフだけでなく、ハサミや缶切り、栓抜きなど様々な機能が入ったナイフのことです。ビクトリノックスとレザーマンが2大メーカーですが、以前はこれに加えてウェンガーというメーカーもありました。ウェンガーはビクトリノックスの競合で、ビクトリノックスと同じく赤いプラスチックハンドル材を使ったマルチツールナイフを制作していました。このウェンガーの物もビクトリノックスと並んで俗にスイスアーミーナイフ(スイス軍に制式採用されていたためこの名がついた)と言われて人気があったのですが、2005年にビクトリノックスに吸収されてしまったため、今は無くなってしまいました。
話は脱線しますが、40代のおっさんであれば、スイスアーミーナイフと聞いてピンと来る人もいると思います。80年代のアメリカテレビドラマと言われて、ナイトライダー、エアウルフなどを思い出したあなたは間違いなくおっさんです!(笑)そんなアメリカテレビドラマの中で、ちょっと異色のアクションドラマがありました。主人公が銃嫌いで、豊富な科学知識と手近にあるものを駆使して、壁を爆破したり、鍵を開けたりするドラマ、冒険野郎マクガイバーです。当時は、ナイトライダーやエアウルフほどの人気はありませんでしたが、銃嫌いでお人よしという独特のキャラクターと石丸博也さんの吹き替えがマッチしていて、面白い作品に仕上がっていました。2016年からリブートも放送されており、再びマクガイバーの活躍が見られるとは思いませんでした(私はまだ見ていませんが)。
リンク
そんな、マクガイバーが愛用していたのがスイスアーミーナイフで、これを使って色んなものを作ったり、電子ロックを分解してショートさせたりと、自分の持っているナイフでもこんなことができるんだと感心したのを覚えています(マネはしていませんが)。
さて、そんなマルチツールナイフですが、ナイフ以外に様々な機能があるので使えるように思いますが、意外と使わないので、最近は私もキャンプにもって行かなくなりました。マルチツールナイフは、ナイフ以外にハサミや缶切り、栓抜きなどの機能が備わっていますが、結局どれも使わないです。ハサミはあった方が便利ですが、無くてもナイフで代用できます。缶切りは、今の缶詰はプルトップで開けるタイプですので使いませんし、栓抜きも瓶ビールを買わない限り使いません。コルク抜きが付いているタイプもありますが、ツールナイフのコルク抜きは、単にぐりぐりのらせん状の部分をコルクに刺してあとは力任せに引っこ抜くだけですので、ワインを開けたければ百円ショップのソムリエナイフを買うことをオススメします。
私も1年間、ビクトリノックスのマルチツールナイフを持ち歩きましたが、使ったのは手に刺さったトゲを抜くために使った毛抜きだけでした。
ちなみに、のこぎりの付いているモデルもありますが、のこぎりに至ってはキャンプどころかこれまでの人生でも使った記憶がありません。長さ6cm程度ののこぎりでは、小枝もろくに切れませんので、キャンプシーンでは使う気にもならないです(というか、薪集め用に小型の折り畳みのこぎりを持ち歩いているのでマルチツールののこぎりは全く出番がありません)。
じゃあ、マルチツールは不要かというと、そうでもありません。ビクトリノックスは使いませんでしたが、レザーマンのプライヤーは結構使いました。レザーマンはプライヤーつまりはペンチがメインのマルチツールで、これは、熱いものをつかんだり、ボルトが緩んだのを締めなおしたりと、なにかと活躍します。また、ドライバーも本格的なものが付いていて、サイズもプラスとマイナスそれぞれ大小2種類あるため、キャンプチェアの緩んだねじを締めたり、電池交換の時にフタがねじ止めされているのを開ける時などに重宝します。ビクトリノックスに付いているドライバーは、サイズが大きいため、実際には使える場面が殆どありませんが(モデルによってはドライバーが充実したモデルもあります)、レザーマンのドライバーはちゃんとねじの規格に合ったサイズになっているので使い勝手が良いです。
ツールの話ばかりになってしまいましたが、ナイフとしての機能もレザーマンはしっかりしています。ビクトリノックスのナイフも決して悪いわけではなく、材質はビクトリノックスのオリジナルステンレススチールで、錆に強く、靭性(粘り)があるので折れにくく欠けにくいのが特徴です。私の感覚としては、切れ味よりも錆びにくさと粘りに重点を置いたステンレスで、小型ナイフとしての使い勝手を考慮したものとなっています。
一方レザーマンのナイフは、モデルによって、420HC、154CM、S30Vという3種類の鋼材が使われています。420シリーズは、比較的安価なナイフで使われている鋼材で、耐食性と靭性はそこそこですが、耐摩耗性に劣る鋼材です(つまりは刃持ちが良くないのですぐに鈍ります)。
154CMは、ジェットエンジンのタービンブレードなどにも採用されており、特に耐摩耗性に優れ、420HCに比べ切れ味が長持ちします。レザーマンのWEBサイトによると、154CMと420HCで比較試験を実施し、154CMが3倍永く切れ味を保つことを確認しているそうです。
S30Vは、耐食性、靭性、耐摩耗性の全ての点で優れ、切れ味も良く、レザーマンのWEBサイトによると、420HCのナイフに比べ6倍切れ味に優れているそうで、フラッグシップモデルのCHARGE PLUS TTIにのみ採用されています。
で、結局どうなのよと言われると、ビクトリノックスのステンレスは、私の経験では420の耐食性を少し良くしたレベルに感じますので、レザーマンの標準モデルのナイフとほぼ同等と考えていいと思います。
左ビクトリノックス 右レザーマン(鋼材154CM) |
ちなみに、刃長は、ビクトリノックスが68mm、レザーマンが66mmでほぼ同じです。
さて、色々と書いてきましたが、マルチツールナイフについてまとめると以下の通りです。
- プライヤーは使える
- ドライバーはねじの規格に合ったものが必要
- 缶切りや栓抜きは不要
- ナイフのスペックも検討しよう
以上を踏まえて、私が使っているものを紹介しましょう。
LEATHERMAN ( レザーマン )
SKELETOOL CX(スケルツール シー・エックス)
プライヤーをメインに使うため、やはりレザーマンと言うことになります。レザーマンにも、ビクトリノックスと同様、ハサミや缶切りなどが付いたWAVE+やWINGMANというモデルがありますが、これらの機能は不要のため、SKELETOOL(スケルツール )というモデルをおススメします。機能的には、プライヤー・ワイヤーカッター、ドライバー(プラス大小、マイナス大小の4種)、ナイフと必要最小限で(カラビナ兼栓抜きはご愛嬌)、フレームやナイフブレードに肉抜き穴を空けて軽量化が図られています。そのため、重量も142gと軽量で、ポケットに入れて持ち歩く上でもとても良い製品に仕上がっています。
私の使っているSKELETOOL CXというモデルは、SKELETOOLのナイフの鋼材が420HCから154CMにアップグレードされているモデルで、刃の形状も、ノーマルは刃の半分が波刃になっていますが、CXは直刀になっています。ノーマルでも良いのですが、波刃の必要性があまりなく、154CMの方が耐摩耗性に優れるため刃持ちが良いという点でCXを選択しました。またCXは、フレームの一部にカーボン素材を使っていますが、重量はノーマルと変わりません。
CXの難点は、価格がとても高いという点で、ノーマルが定価で12,960円なのに対し、18,900円と6,000円近く高いです。実売でも、ノーマルは10,000円前後ですがCXは14,000~15,000円しますので、鋼材と半波刃にこだわりが無ければ、ノーマルのSKELETOOLをオススメします。
※レザーマンは日本法人が販売している正規品以外に並行輸入品があります。正規品は25年保障がついていますが、並行輸入品は補償対象外となります。
リンク
リンク